これまでのキャリアで培った経験やスキルを、もっと直接的に、地域のために活かせたら。そう考えたことはありませんか。
「安定」したイメージの強い公務員ですが、その働き方は今、大きく変わろうとしています。民間企業での多様な経験を持つ人材を積極的に採用し、その新しい視点や発想をまちづくりに活かそうという動きが、全国の自治体で広がっています。
愛知県のほぼ中央に位置する、みよし市もその一つ。「みんなで育む 笑顔輝く ずっと住みたいまち」を掲げるこのまちでは、10月から社会人経験者向けの採用試験受付が始まります。
今回は、採用を担当する笠島さんに、みよし市が求める人物像、そして社会人経験者が自身のキャリアをアピールするためのエントリーシートや面接の具体的なポイントについて、詳しくお話を伺いました。
ーまずは、これから受付が始まる「社会人経験者採用試験」の特徴について教えていただけますか?
笠島:令和7年10月1日から、令和8年4月採用の職員採用試験(社会人経験者)の受付が始まります。
募集する職種は事務職、保健師、土木技師、保育職です。
みよし市では、令和6年度から社会人経験者向けの採用試験を始めたのですが、就職氷河期世代の方も受験が可能であることや、主に新卒向けに実施している試験とは違い、SPI能力検査がないことが特徴です。
今回の試験は、社会人経験者を対象としているため、事務職は5年以上、それ以外の職種は3年以上の職務経験を有する方が主な要件となります。
また、就職氷河期世代の方も対象としていることから、年齢は55歳(令和8年4月1日現在)まで、幅広く受験いただくことが可能です。
応募に関する詳細は、採用試験案内も併せてご確認ください。

ー今回の試験では、どのような人材を求めているのでしょうか?
笠島:みよし市では、総合計画に「みんなで育む 笑顔輝く ずっと住みたいまち」という将来像を掲げています。この実現に向けて、3つのポイントを「求める人材」として挙げています。
1つ目が「意欲と志を持った人」。2つ目が「自分の責任で考えることができる人」。そして3つ目が「仲間と協調できる人」です。
これは社会人採用だからというものではなく、みよし市で働く方々には、これらの視点をもっていただきたいと思っています。

ーちなみに、「求める人材」に加えて、笠島さんご自身はどのような方と一緒に働きたいと思われますか?
笠島:これは個人的な意見になってしまいますが、公務員の仕事は、周囲の方と協力して進める仕事がほとんどだと感じています。
そのため、人と円滑にコミュニケーションを取りながら、チームで業務を進めていくことができる方と一緒に働きたいですね。
ー採用試験といえば、まずは「エントリーシート」ですよね。見る側の立場として、何かアドバイスはありますか?
笠島:エントリーシートが手書きだった頃は、文字の綺麗さや丁寧さが少なからず印象に影響していたと思いますが、オンラインでの申込みになったことにより、今ではその差がなくなりました。
そのため、これまで以上に「内容」が重要になったと感じています。
誤字・脱字などの基本的な確認はもちろんですが、「読み手に自分の想いや経験を伝える」という点を強く意識して作成していただきたいですね
ー今回は「社会人経験者」向けの試験となりますが、エントリーシートや面接では、特にどのような点をPRしてほしいですか?
笠島:一定の職務経験があることを前提としていますので、やはりこれまで仕事で培ってきた経験を、「みよし市でどう活かせるか」をアピールしていただきたいです。
その際に、具体的なエピソードを交えてお話しいただくと、その方の人物像がよく分かり、私たちも一緒に働くイメージが湧きやすくなります。
また、職務経験のPRというと、「大きなプロジェクトやリーダーとしての経験などを話さなければ」と思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
リーダーを務めた経験がなくても、組織の中でどのような課題があり、その時の「ご自身の立場で」どのように考え、行動したのかを教えていただけたら嬉しいです。
ー志望動機についても、伝え方で悩む方が多いかと思いますが、何かアドバイスなどはありますか?
笠島:公務員を目指す方の中には、他の自治体と併願される方も多くいらっしゃると思います。それは当然の考えだと思いますし、それが評価に影響するということはありません。
ただ、志望度の高さに関わらず、「なぜ、みよし市で働きたいのか」という視点は必ず含めていただきたいですね。
どの自治体にも当てはまるような志望動機よりも、「みよし市でこんな貢献がしたい」「みよし市のこういう点に魅力を感じている」という、あなただけの理由を考えていただくと、熱意がぐっと伝わると思います。


ー面接に向けては、何かお勧めの準備などはありますか?
笠島:人により考え方が異なるところかと思いますが、個人的には面接に向け、ある程度回答を用意しておくことは必要だと思います。
ただ、回答の用意といっても、あまり格好つけた言葉で固めるのではなく、ご自身の言葉で表現していただくことが、その方の人柄を伝えるためには大切だと感じています。
暗記してきた文章をただ読み上げるだけでは、なかなか熱意は伝わりません。話したいことの要点だけを覚えておいて、面接官と「会話」することを意識してみてはいかがでしょうか。
また、面接に限ったことではありませんが、第一印象はとても大切だと思います。
これまで受付や控室で受験者の方をお迎えしてきましたが、その時の印象で「この方は合格しそうだなあ」と感じた方は、本当に合格されていることが多いんです。
第一印象を決める要素はたくさんありますが、個人的には「表情」がとても重要だと感じています。面接は誰でも緊張するものですが、少し口角を上げるだけでも印象は大きく変わりますので、ぜひ表情を意識してみてください。

ー逆に、これまで多くの受験者を見てこられた中で、「これはもったいないな」と思うような例はありますか?
笠島:ときどき見られる失敗例として、質問に対して違う回答をしてしまう、ということがあります。
面接の緊張からか、「質問されたことに的確に答える」というシンプルなことが、意外と難しくなってしまうんですよね。実は私も、就職活動の面接ではとんちんかんな回答をした苦い記憶があります(笑)
質問の意図から回答がずれないように、まずは一言で結論を答えてから、その理由や具体的なエピソードなどを補足していく話し方がおすすめです。
また、エントリーシートに書いた内容と面接での回答に一貫性がないと、その場しのぎの印象を与えてしまいます。ご自身が伝えたいことに矛盾がないか、事前に整理しておくと良いと思います。
ーちなみに、笠島さんにとって、みよし市役所で働く魅力ややりがいとはどういったところだと思いますか?
笠島:市役所は、本当にさまざまな分野の仕事を経験でき、その中で自分自身が成長できる職場だと感じています。
私も以前は子育て関係の部署にいて、そこから現在の人事課に異動してきました。業務内容が全く違うので、初めは転職したかのような気持ちになりますよね(笑)
でも、そうやって新しい分野に挑戦できることが、今ではとても楽しみだと思っています。市役所の業務は多岐にわたるので、皆さんがこれまで培ってきたご経験は、必ずどこかの部署で活かせるはずです。
ー最後に、みよし市職員を目指す方へメッセージをお願いします。
笠島:これからのみよし市の挑戦と発展に、ぜひあなたの力を貸してください!皆さんのご応募を心からお待ちしています。

ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年8月取材)