山形県金山町 健康福祉課包括支援センター長で保健師の松田千穂さんに、健康福祉課の業務内容、社会福祉士や保健師の募集の背景、金山町の特徴や魅力についてお聞きしました。
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お話をお聞きした方(保健師:松田さん)
ーご経歴を教えてください。
松田:看護系の短大を卒業後、看護師と保健師の資格を取得しました。県内での就職を希望しいくつかの自治体を受験する中で、金山町から合格通知をいただき、実家からも近く雰囲気が自分の育った場所と似ていて安心感があったため、入庁を決めました。
入庁後は、住民の方々との交流を中心に、健康診断や公民館で相談を受けたりする業務からスタートしました。住民の方々はとても温かく、外から来た私を歓迎してくれました。新人でしたが住民の方々や職場の先輩方から多くのことを教えていただき、日々学ぶことが多く面白いと感じながら過ごしていました。
そして約20年、金山町役場で母子保健、健康づくり、感染症対策など、さまざまな業務を経験してきました。近年は、高齢者の生活を支える地域包括支援センターの業務が中心となっています。
ー保健師を目指したきっかけはありますか?
松田:看護学生の頃に読んだホスピスに関する物語がきっかけです。安心できる場所で家族と過ごす最期の時間に憧れを抱きました。自分自身も家で過ごすことに安心感を持っていたため、在宅医療や在宅療養に魅力を感じ、訪問看護や保健師の仕事に興味を持つようになりました。健康福祉課について
ー健康福祉課の業務内容・体制を教えてください。
松田:健康福祉課には、福祉係、子育て支援室、子育て支援センター、健康係、医療介護係、地域包括支援センターがあります。新しく入られる保健師・社会福祉士の方は、健康福祉課に配属される可能性があります。
福祉係では、障害のある方や高齢の方、生活が苦しい方の相談や支援、生活保護の申請などを受け付けています。係長1名、主事級職員2名です。
子育て支援室では、児童手当の事務、認定こども園入園に関する手続き、出産や入学のお祝い、要保護ケースへの対応など、子育てに関する様々なサポートをしています。室長1名、主事1名です。
子育て支援センター(子育て支援室管轄)は、親子が安心してふれあい、交流できる場所を提供しています。今年度からは一時預かり保育も実施しています。保育士1名と支援員1名、補助のスタッフ1名です。
健康係では、健康診断や予防接種、健康づくり事業など、住民の心身の健康をサポートする仕事をしています。管理栄養士1名、保健師3名、看護師2名、主事級職員1名です。
医療介護係では、医療保険や介護保険の手続き、紙おむつ代や福祉タクシーの費用助成などを行っています。補佐1名、係長1名です。
包括支援センターは、高齢者の皆さんの生活を総合的にサポートするところです。介護予防事業、介護や認知症の相談対応、入院・退院の支援、地域支え合い活動の推進などを行っています。センター長は私で、保健師の資格を持っています。その他、会計年度任用職員として、主任介護支援専門員が1名、介護予防推進員と生活支援コーディネーターを兼務するヘルパー資格を持った職員が1名、そして主任1名です。
社会福祉士の募集について
ー社会福祉士を募集する背景を教えていただけますか。
松田:まず、私の所属する地域包括支援センターについてお話しします。
近年、業務は増加・高度化しており、広域連携の必要性も高まっている一方で、専門的なマンパワーが不足している状況です。
会計年度任用職員の方々は経験豊富で優秀ですが、状況判断や関係機関との連携強化には多職種がチームとして関わること、その中での専門職の存在が必要だと感じています。相談内容も多様化・複雑化し、高齢者本人だけでなく家族の問題にも関わるケースが増えています。
このような状況下では、1つの職種だけでは対応が難しく、地域の様々な資源や地域外の機関との連携が必要となります。そこで、社会福祉士の専門性が重要になると考えています。
特に、一人暮らしや二人暮らしの高齢者が増える中、家族が遠方に住んでいたり、関係が途絶えていたりするケースが増えています。金銭管理や住まいの問題、入院時の身元保証人の問題など、様々な課題を抱える高齢者がおり、小さな町では十分に対応しきれないのが現状です。
成年後見制度の利用促進や、社会福祉協議会との連携による福祉制度の活用など、専門的な知識とスキルを持つ社会福祉士の存在は、包括的な支援体制の構築に不可欠です。
私たちと同じ目的を共有し、専門性を活かして地域の高齢者を支えてくれる社会福祉士の方に来ていただければ、大変心強く思います。
ー社会福祉士の方にどのような仕事をお願いしたいですか。
松田:身体的、精神的に障害を持った方や、支援が必要な子育て世代、高齢者等への直接的な対人援助業務から、支援のための地域資源の創出まで、幅広い分野での仕事をお願いしたいと考えています。医療・介護・福祉等の制度や情報、知識、ネットワークを持ち、健康福祉課内外の複数の部署係と連携し、包括的にケースを把握し対応していただければと思います。
例えば、現在、母子保健と児童福祉の機能を備えた「こども家庭センター」を運営しており、支援が必要な母子とその家族を対象に、問題把握、目標設定、計画策定といった業務を行っています。
現在は、この業務については、週1回委託している社会福祉士の方にその経験やネットワークを活かしご指導いただいており、成果を上げています。
そこで、社会福祉士の専門性を持った職員が常時いれば、母子保健や児童福祉の分野でさらに効果的な支援が期待できるのではないかと考えています。
ーどのような方が金山町の社会福祉士に向いていると思われますか。
松田:まず何よりも、困っている方の話を親身になって聞いてくださる方だと思います。相談者が「この人に話せてよかった」と思えるような、寄り添う姿勢を持っていただける方に来ていただけると嬉しいです。
次に、健康福祉課は複数の係で構成されているため、包括的にケースを把握し、他係と連携しながら業務を進められる方が望ましいです。例えば、あるケースで包括支援センターと福祉係が両方関わっている場合など、横断的な視点で連携できる能力が求められます。
また、町のことを知りたい、地域に貢献したいという意欲があり、積極的に情報収集や関係構築に取り組める方が、金山町で活躍できると思います。町内外の社会資源についてよく知っており、住民の方と適切な資源を繋ぐことができる方は、大きな強みとなるでしょう。
保健師の募集について
ー保健師を募集する背景を教えてください。
松田:健康福祉課に長年勤め、金山町の保健師活動を築いてきた保健師長がまもなく退職時期を迎えます。そのため、人数的な補充が必要であること、また、新たな世代の保健師を迎え業務の質の向上を図ることが今回の募集の背景です。
保健師業務は、成人保健、母子保健など多岐にわたり、少子化が進む中でも、手厚い支援が必要なケースや複雑な背景を抱える家庭への対応など、一人ひとりが日々奮闘しています。また、保健師自身の出産や育児等、私生活の充実も大事にしたいので、事務職や保健師OGとも協力しながら、育休時のマンパワー確保や業務の効率化等、工夫を凝らして業務に取り組んでいます。
住民へのより良い支援体制を築くために、専門的技術を活かし人や地域を動かすことのできる保健師の存在が不可欠です。
ー保健師の方にどのような仕事をお願いしたいですか。
松田:妊娠、出産、育児から働き盛りや高齢者まで色々な世代の方の、心や体の健康をサポートをしていただいたり、企業や地域等団体を対象にした健康面でのアプローチ等の業務をお願いしたいと考えております。まずは、住民の方々を知るために、全町民を対象とした健康診断や、各種予防接種、妊産婦さんや赤ちゃんなど多くの住民の方と直接関わる業務をしていただきたいと思います。
ーどのような方が金山町の保健師に向いていると思いますか。
松田:地域全体を見渡せる広い視野を持ち、自分たちの手で地域の情報をつかみ、課題解決に貢献したいという意欲のある方が向いていると思います。
地域のことを好きになり、住民の方と気さくに話せるような関係性を築ける方が望ましいです。金山町は住民の方々も役場の職員もとても仲が良いので、周りの声を素直に受け止め、自分の力に変えていけるような方がいれば、きっと活躍できると思います。
保健師の資格を持つ方は、そういった資質をお持ちの方が多いと感じています。勉強を通して培われた知識や経験を活かし、一つ一つのケースから学び、地域全体を変えていくためのきっかけを作れるような方にきていただけると嬉しいです。
金山町は規模が小さいため、町全体に関わりたいと思えば、実際に足を運び、地域全体を把握することも可能です。自分たちが関わった仕事が、地域にどのような影響を与えているのかを実感しやすい環境です。
ー保健師の醍醐味や面白さを教えてください。
松田:一人ひとりの相談者の方と向き合い、自分の持つ情報やネットワークを駆使して、その方に合ったサービスや人との繋がりを提案し、計画を立ててマッチングしていくこと、住民とサービス、人と人の出会いをコーディネートすることにやりがいを感じています。
例えば、高齢者の方の場合、適切なサービスを利用することで笑顔が増えたり、いきいきとした生活を送れるようになったり、それが介護予防に繋がり、要介護状態になるのを遅らせることができたりと、良い結果に繋がったときに、この仕事をしていて良かったと心から思います。
さらに、それが地域全体に広がっていくと、一つの地区の課題解決に貢献できたり、住民同士の支え合いが生まれたりすることで、地域の雰囲気が明るくなり、活気が生まれるのを感じることができます。それは、福祉的な視点から見たまちづくりにも繋がっていると感じますし、関わった方々の表情が明るくなり、心配事が少しでも軽減されることで、この仕事の意義を強く実感します。
目に見える形での成果はなかなか難しいですが、地域の変化や人々の笑顔を通して、確実にやりがいを感じることができる仕事だと感じています。
金山町について
ー金山町の福祉面での特徴はありますか。
松田:住民の方の生活を少しでも良くしようという視点で業務に携わっている職員が多いです。
施設入所ではなく在宅で過ごせるようにしたり、介護保険料を下げるために介護予防事業を強化したり、住民の方や家族の方の希望を叶える支援をしています。高齢者だけでなく、障害分野や母子分野でも同様の取り組みをしています。
その結果、住民同士が声掛け合って介護予防に取り組むなど、支え合う活動が出てきています。
ー金山町で働く魅力を教えてください。
松田:職場関係が穏やかで優しい方が多く、困ったときは役場全体で関わってもらえる体制があります。面倒見のいい先輩たちが、福祉業務だけでなく、役場全体の業務や住民の方との接し方などを教えてくれます。行政職として、また専門職としての研修に参加しやすい体制もあります。
また、小さな町なので、住民の方との直接的な業務が多く、信頼関係を築きやすいです。信頼関係を築いた先には、まちづくりのビジョンを理解し共感してくださる住民の方が協力してくれる姿も見られるようになります。
実際に働いてみないとわからないことはあると思いますが、私はここで働けてよかったと思っています。住民の方の温かさがあり、長くここにいることができました。ここに来たら、自分たちのことをすごく温かく見守ってくれて、大事に思ってくれる人たちのために仕事ができます。やりがいがあって面白みもあります。
住環境としての魅力としては、自然豊かな環境でのびのびとした子育てができることです。金山町の子供たちは、幼少期からの自然に親しむような学びの中で育ち、小中学校でも地元の課題や魅力について学ぶ機会があります。そのため、子どもたちは地元への愛着が強く、就職後も金山町に住みたいと考える人が多いようです。
ー金山町を目指す方や就職活動中の方にメッセージをお願いします。
松田:新しく入ってきた方の視点や新しい情報は、私たちにとって刺激になります。地域の資源を繋いでいただける、大きな存在になるかと思いますので、ぜひ金山町に興味を持っていただき、一緒にお仕事ができると嬉しいです。
社会福祉士の資格をお持ちの方で、必ずしも専門的な業務経験がない方でも、これまでの業務や生活の中で培われたスキルは、必ず私たちの地域福祉に役立つと考えています。ぜひお気軽にご応募ください。
ーありがとうございました。
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