千葉県神崎町保健福祉課で保健師として働く岸本さんのインタビュー記事です。病院の看護師から行政保健師へ転身し、現在は町に2人しかいない保健師の1人として、母子保健から成人保健まで幅広く活躍されています。
人口約5,600人の神崎町だからこそ実感できる住民との距離の近さや、専門職としての裁量の大きさ、そして現在求めている「共に歩む仲間」への想いについて、お話を伺いました。
病院看護師から行政保健師への転身
ーまずは岸本さんのこれまでのご経歴から教えていただけますか?
岸本:私は平成20年に入庁しました。実は最初から保健師だったわけではなく、もともとは病院で看護師として3年間勤務していたんです。その後、免許を取得し、神崎町役場に入庁しました。
ー病院の看護師から保健師を目指されたのには、何かきっかけがあったのでしょうか。
岸本:正直なところを言ってしまうと、長く働き続けるための現実的な選択でもありました。病院勤務は夜勤も多く、体力的にもハードです。これから先、年齢を重ねていった時のことを考えたときに、夜勤のない働き方ができる保健師という仕事に魅力を感じたのがきっかけですね。
ー数ある自治体の中で、神崎町を選ばれた理由は?
岸本:県と市町村、どちらの保健師になるかと考えたときに、県は「市町村を支援する」役割が強いですが、市町村は「住民の方を直接支援する」ことができます。私はより住民の方に近い場所で働きたかったので、市町村を志望しました。

人口約5,600人。住民との「近さ」が生むやりがい
ー現在の神崎町における保健師の体制について教えてください。
岸本:現在、保健福祉課に私1人と、国民健康保険を担当する町民課に1人の計2名体制です。私は主に母子保健をメインに担当していますが、実質的には網羅的にあらゆる相談に対応しています。
ー一人で幅広い業務を担うのは大変な面も多いかと思いますが、神崎町ならではの魅力はどこにありますか?
岸本:一番は、住民の方との距離感が非常に近いことです。神崎町は人口が約5,600人、年間で生まれるお子さんは20人ほどです。そのため、お母さんの顔や家庭環境、ご家族の構成まで、ほぼ全員を把握することができます。大規模な市町村ではどうしても「点」の支援になりがちですが、ここでは一人ひとりの人生に「線」で寄り添うことができるんです。
ー顔が見える関係だからこそできる支援があるのですね。
岸本:そうですね。健診の時だけでなく、窓口に来られた際にも「最近どうですか?」と気軽に声をかけられますし、お母さんのキャラクターも把握しているので、その方に合った伝え方や支援ができます。この「密な関わり」は、小さな町だからこその強みであり、保健師としての大きなやりがいにつながっています。

小さな町だからこそ叶う、スピード感のある新規事業
ー業務の進め方についても、神崎町ならではの特徴はありますか?
岸本:住民にとって本当に必要だと思えることであれば、新しい事業を柔軟に、かつスピーディーにスタートさせることができます。大きな自治体だと合意形成に時間がかかることも多いですが、神崎町では「住民のためになるならやってみよう」と、背中を押してもらえる風土があります。
ー具体例などはありますか?
岸本:例えば、神崎町では大学生の医療費を無料にしています。これは千葉県内でも非常に珍しく、先進的な取り組みだと思います。また、帯状疱疹ワクチンの助成についても、定期接種化される前の段階から町独自の助成を早めにスタートさせました。こうした「小回りの良さ」を活かして、住民の方に喜んでもらえる施策を自分たちの手で形にできるのは、専門職としてとても面白い部分ですね。

共に学び、成長していける関係を
ー今回、新しく保健師の方を募集されるとのことですが、どのような方に来ていただきたいですか?
岸本:経験やスキルはもちろんあるに越したことはありませんが、それよりもお互いに意見を交わしながらまずは一度やってみようと思える方と一緒に働きたいですね。新卒の方でも、経験のあるベテランの方でも大歓迎です。
ー新しい方が入られた場合、どのような業務分担を想定されていますか?
岸本:まずは母子保健から担当していただこうと考えています。赤ちゃんからお母さんまで、地域の方々とじっくり関わる中で、保健師としての基礎やコミュニケーション能力を育んでいってほしいからです。私がしっかりとフォローしますので、失敗を恐れずにチャレンジしていただきたいですね。将来的には、お互いにカバーし合える体制を築いていければと思っています。
ー最後に、応募を検討されている方へメッセージをお願いします。
岸本:現在は一人体制ということもあり、正直にお伝えすると忙しい時期もあります。ですが、複数名体制になることで、ワークライフバランスもより充実させていけると考えています。 専門職としての悩みや迷いを共有し、一緒に町の健康を創っていけるパートナーを待っています。
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年05月取材)
神崎町保健福祉課の岸本さんにお話を伺い、小さな町だからこそ実現できる「ぬくもりのある支援」の形を強く感じました。一人体制の重責を担いながらも、住民の方々を想い、新しい事業に意欲的に取り組む姿は非常に頼もしく、同時に「仲間が欲しい」という切実な想いも伝わってきました。



