滑川市役所で働く管理栄養士宮下さんのインタビュー記事です。短大卒業後、病院の給食調理を4年間経験。管理栄養士の資格を取得し、病棟勤務を経て「病気になる前の予防」の重要性を痛感し、市役所へ転職しました。高齢者の長年の習慣を変える難しさに直面しながらも、地域全体の健康づくりに奮闘する日々と、充実したワークライフバランスについて語っていただきました。
- 病院での勤務を経て、上司の一言で掴んだ「管理栄養士」への道
- 「病気になる前にできること」。延命治療の現場で気づいた一次予防の重要性
- 大勢の前で話す楽しさに気づいた。公民館での健康教室と寄り添う指導
- 市役所に管理栄養士は1人だけ?職種を越えて支え合う温かいチームワーク
- 家族との時間も大切にできる。固定休と有給休暇の取りやすさで叶えるリフレッシュ
- 規模感が魅力。住民との繋がりを大切に、さらなる挑戦へ
病院での勤務を経て、上司の一言で掴んだ「管理栄養士」への道
ーまずは自己紹介と、これまでのご経歴を教えていただけますか?
宮下: 新卒で5年間、病院で勤務していました。最初の4年間は栄養士の免許を持っていたので、病院の給食を作る厨房にいて、調理をしていました。あとは食材の発注だったり、本当に病院の給食全般に携わっていました。
ーそこから管理栄養士の資格を取られたんですよね。
宮下:実務経験3年で管理栄養士の試験を受けられるのですが、私は管理栄養士を取る気も全くなくて、絶対無理だと思っていたんです。でも、当時の上司に勧められて。ではやってみようと1年半勉強し、資格取得をしました。その上司の勧めがなかったら絶対に受けていなかったですね。
「病気になる前にできること」。延命治療の現場で気づいた一次予防の重要性
ー管理栄養士になられてから、なぜ滑川市役所へ転職しようと考えたのでしょうか?
宮下:患者さんには様々な状況の方がいます。そこでやはり、健康で長生きするってすごい大事なことだなと強く感じたんです。だからこそ、疾病予防や一次予防のところに携わりたい、もっと健康で長生きする人を増やしたいと思うようになり、公務員を目指しました。
私は隣の富山市出身なのですが、滑川市役所は自宅から車で20~30分くらいで通えますし、ちょうど求人もあったので思い切って受験いたしました。求人を見つけてから1ヶ月での試験だったので、その1ヶ月間は必死で対策しました。
大勢の前で話す楽しさに気づいた。公民館での健康教室と寄り添う指導
ー無事に合格され、入庁後はどのようなお仕事をされているのですか?
宮下: 医療保健課という、国民健康保険や後期高齢者の方の保険関係の部署に在籍しています。ここでは後期高齢者の方を中心に、通いの場に行って健康教室を行ったり、健診結果をもとに1対1で訪問してお話ししに行ったりというのがメインの仕事になっています。 市役所に来ていただくというよりは、私が出向いていくことの方が多いですね。
ー繁忙期はいつですか?
宮下: そうですね。夏から秋くらいにかけてが一番、公民館に行って話したり、保健指導と呼ばれる1対1で喋るために出向くことが多いです。大体6月から12月ぐらいが忙しい感じで、午前も午後もどこかの公民館に行って、と結構席にいないことが多いですね。
ー公民館では具体的にどのようなことをされているのですか?
宮下: もともと週に1回、30分くらい体操する集まりが滑川市内の町内ごとにありまして。そこで私が講師として、フレイル予防や高血圧予防等についての講話をします。もともと話すのは苦手でしたが、1年目から実践ですごく鍛えられました。
ー苦手意識は払拭できましたか?
宮下:今では大勢の方の前で喋る方がやりがいを感じます。たくさんの方から反応をいただけますし、それで実際に食習慣を見直されて行動が変わる方もいるので、大きなやりがいに繋がります。
3年やってきて、住民さんも私の顔を覚えてくださって、より受け入れてもらえている感覚もあります。「今年度はこれでもう最後です」と言うと「また来られよ」と言われることは、成果ですね。
ー逆に、保健指導で難しいと感じる部分はありますか?
宮下: 私が指導する方は75歳以上の高齢者の方ばかりなので、長年の習慣がなかなか変えられないという方が多いんです。体にいいとか、こうした方がいいということは分かっても、やっぱり変えるのは難しい。
公民館で話す時も、最初から「減塩が大事で、」と言うとなかなか難しいので、まずは滑川市にはこういう健康課題があるといった状況や分析をお話しした上で、「高血圧の人が多いんです。血圧はどうして上がるかと言うと、」と順序立てて組み立てながら、塩分を控えた方がいいというところを納得してもらえるように工夫しています。
市役所に管理栄養士は1人だけ?職種を越えて支え合う温かいチームワーク
ー入庁されてから、業務はどのように覚えていきましたか?
宮下: 市役所の中に管理栄養士は私しかいないんです。ただ、出先機関の健康センターに管理栄養士が2人いるので、そこで相談はしています。 あとは、一緒に事業をやっていた保健師さんがいて、その方に市役所の本当に基本的なところから、専門職として住民さんと関わるところの基礎中の基礎をたくさん教わりました。
ー管理栄養士がお一人ということで、不安はありませんでしたか?
宮下: 確かに管理栄養士の数は少ないのですが、他の「専門職」として、保健師や社会福祉士といった方々がいます。滑川市の健康課題を解決するため、市民の健康寿命を延ばすためにという目的はみんな一緒なので、色々と連携を取りながら進めていて、サポート体制はしっかりあると感じています。
家族との時間も大切にできる。固定休と有給休暇の取りやすさで叶えるリフレッシュ
ー病院から市役所へ転職して、働き方やお休みについての変化はありましたか?
宮下: 病院時代はシフトで動いていて、いろいろな体制があったのですが、今は休みが固定なので働きやすいですね。年度当初に年間のスケジュールが分かっているので、「急にこの日が残業だ」といったことはなく、事前に把握できているのはありがたいです。
割と有給休暇も取りやすい雰囲気です。家族が平日休みなので、私が有給休暇を取って平日休み、一緒に出かけたりして良いリフレッシュになっています。有給休暇を取りやすい雰囲気というのは本当にありがたいですね。

規模感が魅力。住民との繋がりを大切に、さらなる挑戦へ
ー今後、滑川市役所で挑戦してみたいことはありますか?
宮下: 滑川市は食育に力を入れていて、「健康づくり協力店」として市内の飲食店や薬局を認定し、そういったところと連携しながら市の健康課題に取り組む事業があります。これは主に健康センターでやっているのですが、いつか私もそういうところに携わりたいですね。今は(後期)高齢の方への関わりが中心になっているので、もっと幅広い年代の方と何かできたらいいなと思っています。
ー滑川市という街や、市役所の魅力はどんなところだと感じていますか?
宮下: 実際に3年間働いてみて、山も海もあって自然豊かですし、高齢の方も優しくて温かい方ばかりで、良い環境で働けているなと思っています。大きな規模の自治体だと、異動になれば関わる人もまた1から、0から始まると思うんです。
でも滑川市は人口3万人という規模なので、関わりが途切れず、関係性をずっと作っていけるのがすごく魅力的です。全体を見渡しやすく、課題に向き合いやすい規模感なので、滑川市に来て良かったなと心から思っています。
ー最後に、これから公務員の管理栄養士を目指す方へメッセージをお願いします。
宮下: 行政で働く管理栄養士は枠が少なく、私自身も「一握りのエリートの人しかなれない」というすごいイメージを持っていたんです。でも実際に入ってみると、もちろん優秀な方もいますが、入ってから自分で勉強したり努力を重ねたりできる人が長く続けていらっしゃるという印象を受けました。 疾病予防や一次予防に興味があれば、「自分には無理だ」と思わずに、とりあえずチャレンジしてもらえたらいいなと思います!
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年1月取材)
病院勤務を経て「健康で長生きする人を増やしたい」と滑川市役所へ飛び込んだ宮下さん。人前で話すことが苦手だった過去を乗り越え、今では大勢の住民の前で笑顔で健康教室を開き、「また来られよ」と声をかけられる。
人口3万人の滑川市だからこそ築ける地域との深く温かい絆が、宮下さんの日々のやりがいを支えていると感じました。



