兵庫県相生市役所で保健師として働く川部さんのインタビュー記事です。看護師として2年間病院で勤務した後、保健師になるため相生市へ。
現在は入庁5年目を迎え、介護保険分野で活躍されています。なぜ相生市を選んだのか、看護師と保健師の違い、職場の雰囲気、そして男性職員としての育児休業取得経験など、リアルな声をお届けします。保健師を目指す方、特に男性の方は必見です!
ー まずはこれまでの経歴を教えていただけますか?
川部:4年生大学の看護学部を卒業後、看護師として2年間、赤穂市の病院で働いていました。その後、社会人3年目で相生市にご縁があって、保健師として入庁し、現在入庁5年目になります。最初の3年間は健康増進係に、そして現在の長寿福祉室(介護保険担当)に移ってからは2年目です。
ー 学生時代から保健師を目指されていたのですね。
川部:はい、元々看護大学の看護学部に入ったきっかけも、保健師になりたいという思いがあったからです。ただ、新卒ですぐに保健師になるというよりは、ある程度看護師としての臨床経験を積んでからの方が良いだろうと考えていました。

ー相生市を選ばれたのはなぜですか?
川部:正直いうと、たまたまです(笑)。もともと、具体的に何年働いたら転職と決めていたわけではないのですが、偶然相生市が保健師を募集しているのを見つけたんです。
相生市にはそれまで行ったこともほぼなかったのですが、1月頃の募集で、すぐに次の4月から働ける求人であり、何かの縁かなと受けてみました。
次年度に近いタイミングであり、他の市町村ではほとんど求人が出ていないタイミングでした。相生市だけが募集していた記憶があります。
さらに、私が受けた時の試験内容も、筆記の教養試験がありませんでした。集団面接と集団討論、それから小論文で、特に公務員試験の準備をしていなかった自分でも受けられるという点も魅力的ではありました。
ーそれでは入庁されてからのお仕事についても教えてください。
川部:最初の3年間は健康増進係で、健康診断や、子どもから大人までの予防接種事業、それから乳幼児健診などを担当していました。乳幼児健診では、お子さんの発達や成長に遅れや問題がないかを確認したり、保護者の方の相談に乗ったりという対応をします。
また、高齢者向けの介護予防事業にも関わっていました。本当に幅広い年代の方々の健康づくりに携わる部署でした。
プリセプター制度がありましたので、入庁当初は教育担当の先輩保健師がマンツーマンで指導してくださいました。すごく丁寧に教えていただけたので、とても助かりました。
―そして異動されたんですよね?
川部:はい、現在の長寿福祉室に移ってからは2年目になります。こちらは介護保険を担当している部署で、主に高齢者の方を対象とした介護予防事業や認知症に関する事業などを担当しています。
ちなみに、私が就職した当時は、保健師が配属されているのは健康増進係だけでした。今は、私を含めて3つの係に保健師が配属されるようになっていて、長寿福祉室はその1つです。より専門性を活かして、地域包括ケアシステムなどを推進していくための体制強化の一環です。
このため、現部署で保健師は私一人で、周りは事務職の職員がほとんどです。異動当初は「専門職として自分は何をすべきか」「自分の役割を果たせているだろうか」と悩んだ時期もありました。
でも、相生市役所は皆さん温かく、優しい方ばかりです。だからこそ、自分をすぐに受け入れてくださり、一緒に相談しながら業務には取り組んでいけました。

ーやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?
川部:保健師の仕事は、看護師と比べると個別の対応が千差万別です。関わる方一人ひとり、生活環境も抱える問題も違うので、ある意味「正解がない」仕事とも言えます。このため1日のスケジュールもいつも一緒ではないですし、長期的な視点で計画を立ててそれぞれの仕事を進めなければいけません。
だからこそ、悩み、周りの先輩保健師や関係機関の方々と相談しながら、どうすればその方にとって一番良い支援ができるかを考えていくプロセスそのものに、難しさと同時に大きなやりがいを感じます。
あとはやはり、関わった市民の方から直接「ありがとう」と言っていただけた時ですね。例えば、介護予防の教室に参加された方が「川部さんのおかげで元気になったわ」と声をかけてくださったり、子育てに悩んでいたお母さんが少しずつ前向きになっていく姿を見られたりすると、この仕事をしていて良かったなと心から思います。
地域に出て、住民の方と直接顔を合わせて関われるのは、行政保健師ならではの魅力だと思います。

ー育児休業も取得されたとお聞きしました。
川部:はい、昨年度、子どもが生まれた際に育児休業を取得させていただきました。自分から相談するまでもなく、上司の方から「育休をいつ取る?」とで声をかけてくださったんです。男性の育休取得がまだそれほど一般的ではない中で、当たり前のように後押ししてくださる環境があることに、すごく感謝しています。
育休のタイミングも、妻が里帰り出産から自宅に戻ってくる時期に合わせて調整してくださり、本当に助かりました。職場復帰後も、周りの職員の方々が子育てに理解を示してくださるので、とても働きやすいです。
ー それは素晴らしいですね!ワークライフバランスの面でも働きやすい環境なのですね。
川部:そうですね。残業が全くないとは言えませんが、自分の仕事の進め方次第で調整できますし、子どもの急な体調不良などで休まなければならない時も、周りの方々が快くサポートしてくれます。休みも比較的取りやすい雰囲気だと思います。先ほどお話しした育休の件もそうですし、職員の生活を大切にしてくれる職場だと感じています。

ー職員同士の関係性はいかがですか?
川部:働いているときの雰囲気も良いですし、相生市にはペーロン祭があり、そちらに市役所チームとして参加しています。
相生市が誇るお祭りで、そこで「ペーロン競漕」とドラゴンボートのような長い船を複数人で漕ぐ競漕競技です。すごく活気のあるお祭りで、大会は5月の終わり頃にあるのですが、4月くらいから仕事終わりに市役所の前で練習していきます。
多くの職員が参加しているので、部署が違う職員ともこの練習や大会を通じて仲良くなれます。正直、最初は仕事で疲れているのに練習か…と思うこともありましたが(笑)、参加してみるとすごく楽しいですし、良い交流の機会になっています。

ー 仕事以外での交流も盛んなのですね。今後の目標もお願いいたします。
川部:今の部署(長寿福祉室)に来て2年目ですが、まだまだ介護保険制度について勉強中です。事務職の方々に教えてもらいながら、日々新しいことを学んでいます。
今後は、保健師としての専門知識やこれまでの経験を活かして、高齢者の方が住み慣れた地域で元気に安心して暮らせるような事業や施策に、もっと貢献していきたいと思っています。具体的には、介護予防事業や認知症施策などを、より効果的に、そして市民の方々に喜んでいただける形で展開していきたいです。
また、将来的には、自分がこれまで経験してきたことを、新しく入ってくる後輩保健師や、他の部署の職員にも伝えていけるようになりたいです。相生市は、部署間の垣根が低く、連携しやすい雰囲気があるので、保健師として多角的な視点を持って、市全体の健康づくりに貢献できる可能性があると感じています。
―最後に、保健師を目指す方へのメッセージもお願いいたします。
川部:保健師の仕事は、対象者の生活に深く関わり、その方の人生に寄り添うことができる、とてもやりがいのある仕事です。時には難しい場面もありますが、市民の方からの感謝の言葉や、支援によってその方の生活が良い方向に変わっていく姿を見た時の喜びは、何物にも代えがたいものがあります。
相生市は、職員同士の仲が良く、アットホームな雰囲気で、若手でも意見を言いやすく、チャレンジさせてもらえる環境があります。ワークライフバランスも取りやすく、子育て支援にも力を入れているので、長く安心して働き続けられる職場だと思います。皆さんと一緒に働ける日を楽しみにしています。
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年02月取材)