長崎県の島原半島に位置し、豊かな自然と温泉、そして温かい人々に囲まれた雲仙市。この街の未来を支える雲仙市役所には、高校卒業と同時に「地元のために」と飛び込んだ若き職員たちがいます。
今回は、入庁8年目の楠田さんと5年目の町田さんのインタビューをお届けします。社会人経験ゼロからのスタートで感じた不安、それを乗り越えられた理由、そして市民との交流の中で見つけた「本当のやりがい」について、たっぷりとお話を伺いました。
- 「地元に貢献したい」その真っ直ぐな想いが、雲仙市役所への扉を開いた
- 「電話対応が怖い…」。社会人1年目の不安とは
- 税の分野への人事異動。多様な経験が自分を成長させる
- 市民からの「ありがとう」。それが全ての苦労を吹き飛ばす
- 雲仙市の魅力は「人の温かさ」。支え合える仲間が待っています
「地元に貢献したい」その真っ直ぐな想いが、雲仙市役所への扉を開いた
ーまずは簡単なご経歴と、雲仙市役所に入庁したきっかけを教えてください。
町田:私は生まれも育ちも雲仙市で、地元の高校を卒業してそのまま市役所に入庁しました。きっかけは、中学生の頃に兄が市役所で働いていたことですね。兄の姿を見て、身近に感じていたのが大きいです。
また、幼い頃から街の行事などで警察や消防、市役所の方々と接する機会が多く、地域のために働く大人の姿が、自然と憧れの対象になっていました。
雲仙市は景色も綺麗だし、美味しいものもたくさんあります。「この素晴らしい街の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい」「大好きな雲仙市のために何か貢献したい」という想いが一番の原動力でした。
楠田:私は隣の南島原市の出身で、高校卒業と同時に雲仙市役所に入りました。入庁を機に雲仙市へ移住し、今ではこの街の住民として生活しています。
私の場合は、母が医療事務をしていた影響で、幼い頃から「いつかはお母さんのような事務の仕事がしたい」と思っていました。高校2年生の時に公務員という選択肢を知り、自分の得意なことを活かして地域を支えたいと考えるようになったんです。
ー南島原市出身の楠田さんが、あえて「雲仙市」を選んだ理由は何だったのでしょうか?
楠田:実は、兄が南島原市役所に勤めていたんです。兄弟で同じ職場だと採用に影響するかも……という不安が少しあって(笑)。
それで隣の雲仙市を調べ始めたのですが、そこで目にした「子育て支援の充実ぶり」に驚きました。
子どもが生まれた時の助成や保育園の無償化など、行政として市民の生活を本気で支えようとする姿勢に強く惹かれ、「ここなら自分の理想とする仕事ができる」と思って志望しました。

「電話対応が怖い…」。社会人1年目の不安とは
ー高校を卒業してすぐの入庁。社会人経験がない中でのスタートでしたが、不安はありませんでしたか?
町田:アルバイトすらしたことがなかったので、本当に不安だらけでした。特に1年目は「電話対応」が一番の壁でしたね。
窓口と違って相手の顔が見えないですし、住民の方からすれば私は「市役所のプロ」。新人だからなんて関係ありません。
専門用語が飛び交う中、どう答えればいいか分からないことも多かったので、電話対応は本当に緊張の連続でした。
楠田:私も同じです。実はすごく人見知りだったので、窓口で自分よりずっと年上の方々とお話しすることに、最初はかなりの恐怖心がありました(笑)。
「制度を間違えて伝えてしまったらどうしよう」というプレッシャーは、今でも鮮明に覚えていますね。
ーその不安や「壁」は、どうやって乗り越えたのでしょうか?
町田:とにかく、先輩方の姿を観察しました。隣で先輩がどんな言葉遣いで、どんなトーンで電話に出ているのかを必死にメモして。あとは、分からないことは恥を忍んで何でも聞くようにしました。
雲仙市役所の先輩たちは本当に優しくて、忙しい時でも「大丈夫、まずはこう伝えてみて」と的確にサポートしてくださるんです。その安心感があったからこそ、少しずつ自信を持てるようになりました。
楠田:私も、回数を重ねることで少しずつ慣れていきました。市民の方からすれば、私が新人かベテランかは関係ありません。だからこそ、【今の自分にできる精一杯の丁寧な対応】を心がけました。
分からないことをその場で適当に答えるのではなく、「確認しますので少々お待ちください」と正直に伝え、確実に正解を届ける。その積み重ねが、市民の方との信頼関係に繋がるのだと学びました。

税の分野への人事異動。多様な経験が自分を成長させる
ーお二人のこれまでの所属歴を教えていただけますか?
楠田:私は最初の1年、南串山総合支所に配属されました。住民票の発行から戸籍関係、福祉医療まで幅広い業務に携わりました。1年目で市役所業務の基礎を叩き込まれましたね。
その後、観光物産課へ3年。ここでは修学旅行の誘致のために九州各県の小学校を飛び回ったり、姉妹都市である韓国の求礼(クレ)郡へ中学生を引率して派遣したりと、かなりアクティブな仕事を経験しました。
今は税務課4年目で市民税の計算などを担当しています。
町田:私は最初の3年間、総合窓口課で国民健康保険の給付を担当していました。国保の加入・脱退の手続きや高額療養費の支給事務などが主な仕事です。
現在は税務課の2年目で、主に固定資産税の担当をしています。
ー現在の具体的な業務内容について教えてください。
町田:「税務課」というとデスクワークのイメージが強いかと思いますが、実は外に出ることも多く、固定資産税の担当として、新しく建った家の中に調査に行きます。
件数としては、多ければ月に20件近く回ることもあり、壁の材質は何か、キッチンのサイズはどれくらいか、一つひとつ実測して評価額を決めるんです。
国民健康保険とは取り扱う法律も全く異なり、最初は「固定資産税って何?」という状態からのスタートでしたが、一から勉強して新しい分野の知識が身につくのは、大変ながらもこの仕事の面白いところですね。
楠田:私は、住民税(市県民税)の課税業務を担当しています。
税務課は1月から5月が一番の正念場です。1月は事業所から提出される給与支払報告書を受け付け、2月から3月に確定申告の受付業務があり、それらの内容を基に4月から5月にかけて賦課額を決定します。
ミスが許されない非常に緻密な作業ですが、6月に無事通知書を発送し終えた時の達成感は、何物にも代えがたいです。
繁忙期は残業もありますが、それを過ぎれば定時で帰れる日も多く、オンとオフの切り替えがしっかりできる職場だと感じています。

市民からの「ありがとう」。それが全ての苦労を吹き飛ばす
ーこれまでで一番印象に残っているエピソードを教えてください。
町田:以前、手続きに困惑されていた市民の方へ手順を丁寧に書き出したメモをお渡ししたところ、後日ご本人から感謝のお手紙をいただきました。
「町田さんのメモのおかげで助かりました」という言葉を受け、当たり前のサポートが誰かの不安を解消できたことに大きな喜びを感じました。
税務課は厳しいお声をいただくことも多い部署ですが、真心を持って対応すれば想いは必ず伝わると実感しています。こうした市民の方との心の通い合いこそが、日々の業務に向き合う何よりの原動力であり、私にとってかけがえのない宝物です。
楠田:私は観光物産課時代の韓国派遣が忘れられません。中学生を連れて韓国に行き、3泊4日ずっと行動を共にするのですが、私は韓国語を話せないので、翻訳アプリと身振り手振りで必死にコミュニケーションを取りました。
帰る頃には言葉の壁を越えて、現地のスタッフや学生たちと笑顔で別れを惜しむことができました。
市役所の仕事は事務だけじゃない、自分の殻を破るような貴重な経験をさせてもらえる場所なんだと強く感じました。
雲仙市の魅力は「人の温かさ」。支え合える仲間が待っています
ー職場の雰囲気はいかがですか?
楠田・町田:本当に最高です!(笑)
楠田:税務課は特に、風通しが良いですね。分からないことがあっても、先輩たちが「どうしたの?」とすぐに声をかけてくれます。
若手が萎縮せずに意見を言える環境があるからこそ、忙しい時期も一致団結して乗り越えられています。
町田:プライベートでも仲が良いんですよ。平日の夜に体育館を借りてバスケットボールをするなど、若手職員同士の交流は盛んですね。
あとは好きなアーティストのライブに一緒に行ったり、楠田さんともプライベートでよく遊びに行きます(笑)。職場を離れても笑い合える仲間がいるから、仕事も楽しく続けられます。

ー最後に、雲仙市役所を目指す皆さんにメッセージをお願いします。
楠田:私も雲仙市に移住してきて8年目になりますが、自然の豊かさだけではなく、長崎市内まで1時間で行けるアクセスの良さなど、気づけばこの街の魅力にどっぷり浸かっています(笑)。
雲仙市は本当に住みやすくて、素敵な街だということを、受験者の方にも知ってもらえると嬉しいです!
町田:雲仙市の自慢は、なんといっても「人の温かさ」です。地元の人も、移住してきた人も、みんなを温かく包み込む空気感があります。特に地元出身の人なら、窓口で苗字を聞かれただけで「あそこの家の子ね!」なんて会話が弾むこともあります(笑)。
地域に密着して、誰かのために一生懸命になりたい。そんな想いを持つ皆さんと、一緒に働ける日を楽しみにしています!

ー本日はありがとうございました。
インタビュー中、お二人の顔から溢れる笑顔がとても印象的でした。高校卒業直後という多感な時期に社会へ出た彼女たちを支えたのは、雲仙市という街が持つ「温かさ」そのものだったのでしょう。
「税」や「事務」という言葉だけでは語りきれない、人と人との心の通い合い。雲仙市役所は、ただの「役所」ではなく、街の笑顔を支える大きなチームなのだと感じました。
これから第一歩を踏み出そうとしているあなたのことも、このチームはきっと優しく、力強く迎え入れてくれるはずです。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年12月取材)



