「地元に貢献したいけれど、自分に何ができるだろう」。
就職活動を控えた学生の多くが抱くそんな悩み。青森市出身の蠣﨑さんは、理系というバックグラウンドを持ちながら、父の背中を追って青森市役所へと飛び込みました。
制度改正の荒波や選挙事務の最前線など、挑戦の連続だったという数年間。彼女が感じた、公務員ならではの「やりがい」と、大好きな青森市への想い、そして温かな職場の魅力について、たっぷりとお話を伺いました。
- 理系から公務員へ。地元・青森への変わらぬ愛着
- 新人の頃に直面した、制度拡大という「大きな山」
- 民主主義を支える最前線。選挙管理委員会の舞台裏
- 異動で広がる視点。大切にしているのは「聞き取る力」
- 笑顔あふれる温かな職場と、自分らしくリフレッシュする充実した休日
理系から公務員へ。地元・青森への変わらぬ愛着
ーまずは自己紹介と、これまでの経緯について教えていただけますか?
蠣﨑:私は生まれも育ちも青森市で、大学も県内の大学に進学しました。大学では理数系、主に数学を専攻していました。卒業後、2022年に新卒で青森市役所に入庁し、現在は入庁4 年目になります。
公務員という職業を意識し始めたのは、実はかなり早くて、中学生の頃にはすでに選択肢の一つとして考えていました。父が公務員として働いていたので、その姿を身近で見ていた影響が大きかったのだと思います。世の中を支える仕事、という漠然としたイメージが当時からありました。
ー進路を決める際、民間企業などは検討されましたか?
蠣﨑:就職活動では銀行なども見学しました。ただ、いろいろな企業を知る中で、自分にはノルマを追ったり営業をしたりするスタイルよりも、「市民の皆さんのために直接的な支援を行う仕事の方が向いているのではないか」と考えるようになりました。
ーその中で、青森市役所を最終的に選んだ決め手は何だったのでしょうか?
蠣﨑:一番の理由は、やはり「地元で長く働きたい」という強い想いでした。趣味で県外に旅行したりライブに行ったりもするので、都会への憧れが全くなかったわけではありません。
でも、いざ将来を考えた時、「自分が一番よく知っていて、愛着のあるこの街のために力を尽くしたい」、その直感を信じて青森市を選びました。

新人の頃に直面した、制度拡大という「大きな山」
ー入庁して最初の配属先はどちらでしたか?
蠣﨑:国保医療年金課に配属され、3年間、医療助成の担当をしていました。主に「子ども医療費助成」という、お子さんが病院にかかった際の医療費を市が負担する制度の運用を任されていました。
ー最初の3年間で特に印象に残っている仕事は何でしょうか?
蠣﨑:私が在籍していた時期に、ちょうど助成制度が拡大される大きな転換期がありました。制度の変更に伴う条例や規則の改正、システムの改修、さらには新しい受給者証の発行など、膨大な業務が重なりました。
入庁時から「いつかはこの改正がある」とは聞いていたのですが、まさか自分の担当期間に、これほど大規模な変革を経験するとは思っていませんでした。
ー若手の時期に、条例改正やシステム改修に携わるのは大変だったのではないでしょうか。
蠣﨑:正直、最後の一年は本当にバタバタで、目が回るような忙しさでした(笑)。でも、ベテランの先輩方と一緒に法的な根拠を確認し、「どうすれば市民の皆さんにスムーズに制度を利用していただけるか」を徹底的に考え抜いた経験は、私の大きな財産になりました。
窓口や電話で「助かるよ」というお声を直接いただけたことで、忙しさも吹き飛びましたね。

民主主義を支える最前線。選挙管理委員会の舞台裏
ー現在は選挙管理委員会事務局に異動されたとのことですが、具体的な仕事内容を教えてください。
蠣﨑:今年度から異動になり、まさに「選挙一色」の日々を過ごしています。選挙が決まると、数ヶ月前から準備が始まります。市内数百箇所に設置するポスター掲示場の設営、投票所の確保、当日の投票用紙や機材の準備、さらには投票所で働いてくださる方々の募集や研修など、業務は多岐にわたります。
令和7年度は国政選挙が2回あったので、事務局全体が熱気に包まれていました。選挙は民主主義の根幹。絶対にミスが許されない緊張感の中で、チーム一丸となって準備を進めます。
投票日当日は深夜まで開票作業を見守り、無事に結果が公表された瞬間の安堵感と達成感は、他の部署ではなかなか味わえない特別なものがありました。
ー選挙がない時期は、どのようなことをされているのですか?
蠣﨑:毎月行われる有権者の「定時登録」という重要な作業があります。また、次回の選挙に向けた準備や、啓発活動、さらには他部署からの照会対応など、表舞台に出ていない時でも着実に準備を進めています。
選挙事務は法律の知識が非常に重要になるため、毎日が勉強の連続です。

異動で広がる視点。大切にしているのは「聞き取る力」
ー全く異なる部署への異動を経験し、戸惑いはありませんでしたか?
蠣﨑:最初は本当に戸惑いました!前の部署は市独自の助成制度でしたが、今は公職選挙法という非常に厳格な法律に基づいた運用が求められます。
知識を一度リセットしてゼロから学び直す必要がありましたが、部署が変わるたびに新しい専門知識を身につけ、多角的な視点で市民サービスを捉えられるようになる。これは市役所で働く醍醐味だと思います。
ー仕事をする上で、蠣﨑さんが最も大切にしていることは何でしょうか?
蠣﨑:窓口や電話での「聞き取り能力」です。市民の皆さんは、制度が複雑で「何をどう聞けばいいか分からない」という不安を抱えて相談に来られることが多いんです。
ですから、まずは相手が何を求めているのか、言葉の裏側にある不安は何かを丁寧に引き出すことを心がけています。
ーやりがいを感じる瞬間を教えてください。
蠣﨑:やはり、自分の説明や対応によって、市民の方の疑問が解けて「ありがとう」と言っていただけた時です。以前、窓口で本来の目的以外の相談を受けた際、「その件でしたらあちらの窓口でこんな制度がありますよ」とプラスアルファのご案内をしたことがありました。
その際、「そこまで教えてくれるなんて、助かった」と喜んでいただけたことが、今でも心に残っています。
笑顔あふれる温かな職場と、自分らしくリフレッシュする充実した休日
ー職場の雰囲気についても伺いたいのですが、上司や先輩との関係はいかがですか?
蠣﨑:今の部署も前の部署も、驚くほど明るくて風通しがいいんです。上司とも仕事の相談はもちろんですが、青森のラーメンの話で盛り上がることもあって、「あそこのお店がオープンした」「あそこのラーメン美味しいよ」なんて会話をすることもあります(笑)。
そうやって気兼ねなく話せる上司に囲まれているので、日々の相談もしやすく、仕事がとても進めやすいです。
ーワークライフバランスについて教えてください。
蠣﨑:選挙の期間中はどうしても忙しくなりますが、それ以外の時期は残業もほとんどなく、ワークライフバランスはとても良好です。
有給休暇も計画的に取得できるので、週末は趣味の旅行やライブに出かけて思い切りリフレッシュしています。仕事とプライベート、どちらも充実させることができるのも、青森市役所の魅力ですね。
ー最後に、青森市役所を目指す皆さんにメッセージをお願いします。
蠣﨑:青森市は四季の変化が本当に美しく、ねぶた祭りをはじめとした熱い文化がある素晴らしい街です。自分の生まれ育った大好きな街のために、誇りを持って働ける。それは何物にも代えがたい喜びです。
数学が専門だった私でも、温かい先輩方に支えられてここまで成長することができました。特別な知識がなくても、「青森市が好き」という気持ちがあれば大丈夫です。皆さんと一緒に、これからの青森市を創っていける日を楽しみにしています!

ー本日はありがとうございました。
蠣﨑さんのお話を聞きながら、私は青森市の澄んだ空気と、人々の温かさを改めて実感しました。理系出身という一見クールな経歴をお持ちですが、その胸の内には「地元のために」という熱い想いが静かに、そして力強く燃えています。
制度改正や選挙といった大きなプレッシャーの中でも、それを「成長の機会」と捉え、ラーメンの話で笑い合える仲間と共に歩む姿は、これから社会に出る皆さんの背中を優しく、力強く押してくれるはずです。
青森市というフィールドで、あなたも自分だけの物語を始めてみませんか。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年3月取材)



