官公庁・自治体で働くならパブリックコネクト

求人を探す
官公庁の方
ログイン

会員登録

ホーム

特集

心と身体の健康にベストな選択~湯治をきっかけとした北海道豊富町への就職~

心と身体の健康にベストな選択~湯治をきっかけとした北海道豊富町への就職~

Public Connect

2023/08/25

多様な経歴を持つ公務員人材に、これまでのキャリアを振り返り語っていただくインタビュー企画。

第2弾は、学生時代に「湯治」きっかけに豊富町に出会い、そこから移住、役場に入庁という選択をした太田 裕佑 (おおた ゆうすけ)さんに、自身のキャリアについて、豊富町について、そして温泉や湯治について詳しくお話を伺いました。


—自己紹介やこれまでのご経歴を簡単にお願いします。

 

太田さん:出身は茨城県です。中学まで日本にいましたが、高校は家族の後押しもあり、ニュージーランドの高校へ3年間語学留学をしています。

 

その後、生活や体調面のことを考慮して日本に帰国し、埼玉県の大学に進学し人体や健康、福祉について幅広く学びました。幼少期からアトピー性皮膚炎に悩まされていたため、それに関連することを学びたいと思っていたんですね。

 

ただ、大学時代にもアトピーがひどくなってしまった時期があり、2回ほど休学しました。そのような経緯もあり、6年ほどの期間を経て大学卒業後、北海道豊富町に入庁したのは平成29年、26歳のときのことです。現在は、総務課に務めています。

—北海道豊富町で就職をするきっかけはなんだったのでしょうか?

 

太田さん:先ほどの話でもふれましたが、留学を終えて大学受験に合格、いざ入学、というところで、アトピーにより体調が悪化してしまったんです。大学に通えるような状態ではないということで、半年間休学をすることとなりました。

 

その折に、父親が「アトピーに良く効く温泉が豊富町にあるらしい」という情報を聞きつけたんです。親の助言もあり、そのときに初めて豊富町を訪れました。その温泉の効能が自分に合い、劇的な効果がありましたね。大学に戻ったあとも、1年間くらいは本当に調子が良かったです。

 

しかしながら症状が完全に治るということはなく、大学生活を送る中で徐々に悪化してしまい、ときには休学もしながら様子をみていました。その間にも、定期的に豊富町に通っては湯治をして過ごすという生活をしていたんです。

 

ーどのように通っていたのですか?

 

年に1,2回、1ヶ月間など一定期間豊富町に滞在して、その間はずっと豊富町で過ごすという生活ですね。町営の入浴施設では、町の職員である保健師さんに相談に乗っていただいていました。そのほか、商工観光課が町の商工会に委託して行っていた湯治客への情報提供サービス(コンシェルジュデスク)も利用していましたね。

 

因みにですが、今は湯治客向けのサービスはより充実してきています。

ーなるほど。

 

そのうちに、就職を考えなければならない時期がきまして。大学は埼玉県でしたし、関東圏や実家に近い地域での就職も選択肢としてはあったんです。けれど、仕事が始まれば大学とはまた異なるストレスに苛まれることもありますよね。

 

それまでずっとアトピーで苦労をしてきた身としては、また学生時代と同じような状況になるだろうという不安がありました。ならば、豊富町やその周辺、少なくとも北海道で就職したい、という考えに至ったのがきっかけです。

 

—公務員だけを考えていたわけではないんですね。

 

太田さん:公務員になるか、民間企業で働くか、という部分は特に決めずに就職活動をしていました。大学でも際立って専門的な分野を勉強したわけではなく、また興味の幅も広かったためです。そこで、まずは豊富町の民間企業をあたりました。

 

豊富町は農業が盛んな町だということもあり、農業機械のメーカーさんがとても多いんですね。ただ、採用担当者さんとのお話の中で「繁忙期は身体的にかなりハードになる」「道内での転勤が定期的にある」ということを伺い、民間企業での就職を悩むようになりました。転勤については様々な考え方がありますが、個人的にはずっと同じ場所で働きたいという想いがあったんです。

 

そこで、豊富町だけでなく北海道や周辺市町村の採用試験も受けました。この地域では、町村役場の一次試験は一括で実施され、その後どの町村の採用を希望するかを考えていきます。私は、それまでのご縁やいろいろな可能性を考えた結果、豊富町を選択しました。

—入庁後は、どのような業務を担当されていたのでしょうか?

 

太田さん:入庁1年目は、商工観光課商工観光係に配属されました。温泉施設等の管理・運営が主な仕事です。温泉を利用する立場から迎え入れる立場となり、今までお世話になってきた方とともに仕事をするようになったという点は、個人的に大きな変化でしたね。

 

湯治客として町を訪れていた者が役場職員になったというケースは、私が初めてだったんです。ほかの職員の方々に「豊富町にはこんな貴重な温泉があるんだ」「こういう経歴で入庁する人もいるんだ」と知ってもらえただけでも、自分が入庁した意味はあったのかなと思います。

 

また、商工観光係なので、町内の事業者さんと連携をしながら一般的な観光振興業務も行います。道内や本州で開催されるイベントに赴き、ブースを出展して自治体のアピールや物販を行うこともありました。

—豊富町で暮らし始めてからも、湯治は続けていたのでしょうか?また体調面に変化はありましたか?

 

太田さん:入庁後は毎日のように温泉を利用していました。朝、温泉に入ってから仕事に行く、というのがルーティンでしたね。

 

当然のことながら温泉は万能ではないので、湯治をしたからといって完璧に治るということはありません。商工観光課から財政課を経て、現在の総務課に配属される中で、繁忙期には体調を崩すこともありました。

 

そのような経験から、睡眠やストレスといった基本的な生活習慣が体調に大きく影響するということを実感しました。そういったところを考慮しながら働けているので、現在は以前ほど温泉に頼ることなく生活できています。そして、生活のすぐそばに温泉があるということが、大きな安心要素になっていますね。

正直に言って、それまで“休みに来ていた場所”が“仕事の場”になるという点については、入庁前にかなり悩みました。ただ、湯治をしていた頃に豊富町の方々と交流し、あたたかい言葉をかけていただいたご縁もありましたから、豊富町役場で働くという選択は心身にとってベストな選択だったと思っています。

—そもそもなのですが、豊富町の温泉はどのような点に特徴があるのですか?

 

太田さん:豊富町にある豊富温泉は、温泉に油分が含まれているのが大きな特徴です。詳しくは温泉のホームページにも記載されています。

 

<泉質・効能>

豊富温泉で供用されている温泉には、含よう素-ナトリウム-塩化物温泉(高張性弱アルカリ性温泉)とナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉(高張性弱アルカリ性低温泉)の2種類の泉質があり、いずれも黄濁し、井戸からは石油や天然ガスとともに湧出してくるため僅かに油分を含んでいます。

 

弱アルカリ性で高張性の温泉は肌にやさしく、温泉成分が体内に浸透しやすいと言われます。成分に多く含まれる重曹・ホウ素は皮膚を綺麗にする・殺菌効果が高いという特徴があります。また豊富温泉の最大の特徴である油分は保温保湿効果が高いと言われ、乾癖やアトピーに対しては、油分に含まれるタールが抗炎症作用を発揮すると考えられます。

『メタケイ酸(美肌効果)、メタホウ酸(消毒効果)、マグネシウム(炎症鎮静効果)が高い濃度で含まれ、植物起源の有機質からなるモール泉も相俟って、皮膚に多角度な面から効用がある非常に優れた温泉である。これほどアトピーや乾癬に有効な温泉は他に類を見ない。』藤澤皮膚科院長 藤澤重樹 先生

抜粋:https://toyotomi-onsen.com/quality


このような泉質の湯を温泉として使用している場所は世界的にも珍しく、豊富温泉以外ですとアゼルバイジャンが有名です。

 

ーアゼルバイジャン!?日本には無いんですね。

 

はい、中東にあるアゼルバイジャンのみだとも言われています。テレビで見たのですがそちらの温泉はより油そのものに浸かっているような感じだそうです。

 

豊富温泉では、油分やその他の成分がアトピー性皮膚炎や乾癬といった肌の症状に効果があるといわれています。ちなみに、「日本の名湯百選」にも選ばれています。源泉は同じものですが、複数のホテル・旅館にが供給されているので、それぞれ異なる形で豊富温泉を楽しむことができます。

 

ーそれぞれどのように違うのですか?

太田さん:簡単な各施設の紹介になりますがまとめました。

<温泉解説>

①  ふれあいセンター:町営の日帰り入浴施設であり、一般客向けの浴場のほかに温度の低い湯治客向けの浴場があるなど、快適に湯治をすることができます。館内には休憩室やレストランも併設されています。

②  川島旅館:2016年に全面リニューアルされ、とても綺麗な館内です。湯温の異なる浴槽のほか、露天風呂もあります。館内ではカフェ営業のほか、プリンやバターの販売もされています。

③  ニュー温泉閣ホテル:脱衣場・浴場ともに広々としていて快適に入浴できます。売店では手作りのお惣菜やお菓子が販売されています。

④  ホテル豊富:広々とした浴場に加えてサウナが併設されており、サウナ好きな方におすすめです。売店では近隣のお土産品が多数販売されています。

私自身が湯治のために通っていた頃は、豊富町や豊富温泉の知名度はまだまだ高くありませんでした。コンシェルジュサービスの拡充もあいまって、そういった状況も徐々に変化しつつあると感じます。長期滞在を前提とした湯治客向けの宿泊施設も整備されており、需要増加に対応しています。

—最後に、「豊富町で就職して良かった」と感じる部分はどんなところでしょうか?

 

太田さん:本州で生まれ育った私からすると、大自然に囲まれ温泉もある豊富町は、本当にリラックスできる環境ですね。また、温泉地区では特に湯治客や皮膚疾患を持つ方への理解が深く、とても伸び伸びと暮らせます。

 

関東の都市部に比べると人口が少なく不便なこともありますが、暮らしやすい環境の中で仕事をし、家族とともに穏やかに生活できていることが一番良かったことだと思っています。

 

—本日はありがとうございました。

職員インタビュー

ヘルプ

お問い合わせ

ご利用者様向け利用規約

プライバシーポリシー

運営会社

© PUBLIC CONNECT Inc. All rights reserved.