「経験も人脈も、すべてが活きてくる」民間営業から今治市役所へ飛び込んだ30代職員が語る、新たな挑戦とリアルな働き方

今治市役所

2026/09/03

「公務員試験は勉強が大変そうだし、ハードルが高いかもしれない」そう思い込み、一度は諦めかけていた市役所への道。地元・今治市でスポーツ用品の営業マンとして学校やスポーツ施設を駆け回っていた村上さんは、ある採用制度との出会いをきっかけに今治市役所への転職を果たしました。

最初の配属先である学校教育課で直面した「正解のない課題」に対する葛藤、そして前職の知識や人脈がダイレクトに活きる現在のスポーツ振興課でのやりがい。民間企業から行政の現場へ飛び込んだ村上さんが感じた「お役所のイメージを覆すリアルな現場の臨場感」と、仕事と子育てを両立できる働きやすさについて語っていただきました。

 


民間営業からの転身。スポーツを愛し、地元今治市役所を目指した理由

ー本日はよろしくお願いいたします。まずは村上さんのこれまでの経歴と、今治市役所に入庁された時期について教えていただけますか?

 

村上:よろしくお願いします。私は地元が今治市で、小・中学校時代をここで過ごし、大学進学のタイミングで岡山県へ出ました。大学卒業後は一度広島県で半年ほど営業職を経験した後、地元である今治市に戻り、市内のスポーツ用品店に転職しました。

 

そこでは学校や企業、スポーツクラブチームなどを対象に、ユニフォームやスポーツ用品、施設の整備用具などの営業・販売を担当していました。その後、2024年度に今治市役所に入庁し、現在に至ります。

ー元々スポーツがお好きだったのでしょうか?また、民間企業から公務員を目指されたきっかけは何だったのですか?

 

村上:スポーツは昔から大好きでしたね。小学生の頃は硬式テニスをやっていまして、中学校からは部活動の環境に合わせてソフトテニスに転向し、そこからずっと続けています。

 

前職の営業活動で市内を回る中で、市役所で働いている知人と話す機会が何度かあったんです。そこで市役所の多種多様で幅の広い業務内容について聞きまして、「スポーツ用品だけを扱う営業の仕事から、もっと広い視点で挑戦してみたい」と思ったのが、転職の最初のきっかけでした。

 

ー公務員への転職に対して、不安やハードルの高さを感じることはありませんでしたか?

 

村上:正直なところ、最初はすごくハードルが高いと思っていました。「公務員試験=専門的な勉強がすごく大変そう」というイメージが強かったからです。

 

ですが、ちょうど転職を考えていた時期に、今治市で「今治スタイル」(教養試験などの筆記試験を課さず、人物重視・面接重視で評価を行う今治市独自の採用試験区分)という採用枠があることを知りました。

 

当時は子どもが生まれたばかりの時期でもあったので、筆記試験の勉強に多くの時間を割くのは難しい状況だったのですが、面接重視で挑戦できると知って「これなら自分でもやってみよう!」と背中を押されましたね。

 

現場で苦悩した学校教育課時代。前職の人脈とコミュニケーションが支えに

ー入庁後に最初に配属された「学校教育課」では、どのようなお仕事をされていたのですか?

 

村上:学校教育課には入庁から約2年間在籍していたのですが、主に学籍(児童生徒の住居地に基づく指定校の決定や、特別な事情による区域外通学などの管理調整業務)の管理と、学校行事の裏方サポート業務を担当していました。

 

学籍の業務というのは、特別な事情で本来の指定校とは異なる小・中学校に通いたいというご家庭からの相談を受け付けて調整を行うのですが、これが本当に大変だったのを覚えています。

ーどのような点で苦労されたのでしょうか?

 

村上:学籍の調整には一定のルールが存在するものの、ご家庭ごとに抱えられている事情や悩みは全く異なりますので、実質的にはケースバイケースで対応していかなければならない点です。行政としては決められたルールの中で判断する必要がありますし、同じような事情を抱える他のご家庭との公平性や平等性も欠かせません。

 

どこまで寄り添い、どこで線を引くのか、その判断には本当に悩みました。取り扱いには細心の注意が必要で、とても神経を使う業務でしたね。

 

ーかなり責任の重い調整業務なのですね。そうした業務の中で、前職での営業経験が活きた場面はありましたか?

 

村上:活かせることはとても多かったと思っています。前職では市内の学校を回っていたので、学校教育課に配属された際、以前の「お取引先(お客さん)」だった先生方や関係者の方々と、今度は同じ市役所の職員として一緒にお仕事をすることになりました。

 

学校へお電話して「以前お世話になった村上です」とご挨拶すると、相手も驚きつつすぐに心を開いてくださるようなこともありました(笑)営業時代に培ったコミュニケーション力や人間関係、人脈があったおかげで、スムーズに業務の連絡や調整を進めることができました。

 

前職の知識がそのまま武器に!スポーツ振興課での手応え

ー今年度から配属された「スポーツ振興課」でのお仕事内容について教えてください。

 

村上:現在は、総合政策部交流振興局のスポーツ振興課施設係に所属しています。

 

主な業務は、市内に存在するスポーツ施設の維持管理です。基本的には指定管理者である民間事業者の方々がメインで管理運営をしてくださっているのですが、市役所の窓口にも市民の方からの問合せが入りますし、自分たちでも現地へ見回りを行っています。

 

担当している施設は、テニスコートやプールなど、場所で言うと市内に30箇所ほどあります!

ーまさに前職のスポーツ用品店での知識が活かされそうな業務内容ですね?

 

村上:本当にそのとおりだと思います。民間時代に営業として足を運んでいた施設に、今度は「管理運営する側」として内側から関わっているというのは、すごく面白みを感じています。

 

前職でスポーツ器具や備品の納品だけでなく、壊れた際の修理対応なども経験していましたので、「この備品が傷んでいるからこういう手配が必要だな」といった知識がそのまま業務に活きています。自分の知見をダイレクトに発揮できている実感が強いですね。

 

組織での意思決定とワークライフバランス。民間との違いと働きやすさ

ー民間企業から市役所に転職されて、働き方や組織の文化で一番違いを感じた部分はどこですか?

 

村上:一番大きな違いは「意思決定のプロセス」ですね。民間企業の営業時代は、ある程度自分の裁量で現場で判断して素早く動くことができました。

 

ですが市役所では、課内での協議や課長・上司の承認を経てから仕事を一つひとつ進めていく必要があります。最初は「すぐに決めたいのに!」と少しもどかしさや窮屈さを感じたことも事実です(笑)ですが、組織として責任を持って動くためにはこのプロセスが不可欠であると理解できるようになりました。

 ーでは、市役所に入庁して「ここが良かった!」と感じる部分はどんなところでしょうか?

 

村上:市役所は職員の人数が多いので、一人で抱え込まずに色々な方に相談できたり、様々な考え方を共有して学べたりする点が素晴らしいと感じています。

 

また、休暇の取りやすさや制度の充実度には本当に助けられています。前職も現在も、忙しいことには変わりないのですが、プライベートとのバランスが非常に取りやすくなったと感じています。

 

子育てと仕事を両立するなかで、急に子どもが体調を崩した際なども、上司や周囲の同僚が「大丈夫だよ」と快くお休みを承諾してくれる温かい雰囲気がありますね。

 

ーワークライフバランスが整うことで、生活や気持ちに変化はありましたか?

 

村上:最初の学校教育課時代は本当に忙しくて、昔からやっていたテニスをする余裕がなかなか作れませんでした(笑)ですが今の部署に来てからは気分的にも時間的にも余裕が生まれまして、最近では朝少し早く起きてランニングをしてから出勤するような生活ができるようになりました。

 

仕事もプライベートも非常に充実していると感じています。

 

裏方から表舞台へ。広がる視点と未来の挑戦

ー市役所では定期的な人事異動がありますが、村上さんは異動についてどのように捉えていらっしゃいますか?

 

村上:業務内容がガラリと変わることは確かに大変なのですが、新しい知識を得られたり、新しい経験ができる楽しさの方が大きいです。

 

前回の異動の際にも感じたのですが、新しい部署に行く大変さよりも、自分が今まで担当していた仕事を後任の方へ漏れなく引き継ぐことの方がはるかに大変でしたね。自分の知識をしっかり言語化して渡す大切さを学びました。

 

ー今後、今治市役所で挑戦してみたい業務や目標があれば教えてください。

 

村上:これまで担当してきた「学校教育課の学籍管理」も、今の「スポーツ振興課の施設管理」も、どちらかと言えば裏方から組織や市民の方々を支える仕事がメインでした。

 

そのため、今後はスポーツ振興課の振興係のように、イベントを企画してどんどん前面に出ていくような「表舞台の仕事」にもチャレンジしてみたいと思っています。様々な角度から今治市の魅力を高めていきたいですね。

 

ー最後に、民間企業からの転職を考えている方や、公務員を目指す受験生へメッセージをお願いいたします!

 

村上:民間企業で一つの分野を突き詰めて働くのも素晴らしいことですが、市役所には多種多様な業務があり、地域社会を内側からも外側からも見つめられる非常に面白い環境が広がっています。

 

営業職などで培ったコミュニケーション能力や対人スキル、電話対応の慣れなどは、公務員になっても確実に強力な武器になります。「公務員試験の勉強が大変そう」と躊躇している方も、今治市には人物重視で挑戦できる制度がありますので、ぜひ一歩を踏み出してチャレンジしてみてください!

 

ー本日はありがとうございました。

 

営業マンとして街を駆け回っていた頃の軽やかさと、市民の暮らしを支える公務員としての誠実さ。村上さんのお話からは、その双方が絶妙なバランスで響き合っている印象を受けました。「前職のお客さんだった先生と、市役所の電話口で再会した」というエピソードには、地域に根差して働いてきた村上さんだからこその温かなドラマを感じます。

「お役所仕事」という固定観念にとらわれず、これまでの経験をすべて糧にして新たなフィールドを楽しむ姿は、これから転職を目指す多くの方の背中を優しく押してくれるはずです。

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年7月取材)

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