1冊の本との出会いが導いた、糸島市役所という選択

糸島市役所

2026/09/11

近隣の自治体を調べていたときに、たまたま目に留まった1冊の本。

 

そこに書かれていたのは、マーケティングに長けた元糸島市職員の仕事の記録でした。その人が働いていた糸島市役所は、やりたいことができて楽しそうだ——そう感じたことが、中島智美さんと糸島市役所との出会いの始まりです。

 

そうして令和5年4月、糸島市役所の門をくぐった中島さん。3人の子育てをしながら、ブランド推進や観光振興という仕事にひたむきに向き合ってきました。今回は、本との出会いから始まったその後の日々を、じっくりと聞いてみました。

 

 

 

 


 

唐津から糸島へ。さまざまな経験を重ねてたどり着いた道のり

 

ーまず、中島さんがこれまでどんな道のりを経て糸島市役所にたどり着いたのか、聞かせてください。

 

中島:高校卒業後、地元・唐津市の金融機関に4年間勤めました。そのあと出産のため退職し、専業主婦として過ごした5年間のうちに、3人の子どもを出産しました。そこから、地元のハローワークで非常勤職員として4年間勤務した後、糸島市役所に入庁しました。

 

 

ー数ある選択肢から糸島市役所を選んだ決め手は、何だったんですか。

 

中島:自宅から通える範囲で探していたことと、もう一つは、当時糸島市の職員だった岡祐輔さんの著書を読んだことがきっかけでした。近隣の自治体について調べているときにたまたま目にして、糸島市役所はやりたいことができて楽しそうだというイメージを持ちました。

 

 

ーその本には、具体的にどんなことが書かれていたんですか。

 

中島:岡さんはマーケティングに長けた公務員として有名な方で、全国の政策コンテストで賞を取られたこともあります。本には、マーケティングに基づいたブランド戦略の考え方や、実際の業務のことが書かれていました。入庁してからは、本に登場する人や場所などと関わることも多く、まるで推し活をしながら働いているような気分で、とても面白いです。

 

 

地域を知ることから始まった。ブランド推進係でのプロモーションの仕事

 

ー実際に配属されたのは、どんな係だったんですか。

 

中島:ブランド政策課のブランド推進係でした。実はそこは、私が入庁するきっかけとなった本を執筆された岡さんが元々いらっしゃった係でもあったんです。市のプロモーション業務が中心で、SNSの運用や雑誌等の掲載記事の校正、テレビCMのロケの調整なども担当していました。

 

SNSは、それまで自分の個人用のアカウントぐらいしかやったことがなく、公式アカウントの運用は初めてでした。すでに1万人ほどフォロワーがいる状態でアカウントを引き継いだので、フォロワーを増やすことよりも、観光のマナーを守ることや、糸島市のことをもっと深く知っていただくための投稿を心がけることから始まりました。

 

 

ー実際にやってみて、難しさを感じた場面はありましたか。

 

中島:入庁して日も浅い中で、どういった情報を発信すればブランド力が高まるのか、糸島のファンが増えていくのかを意識した投稿を作ることは難しく、投稿の文章に上司から添削をいただくこともありました。自治体の公式アカウントとなると、テキストにもしっかりチェックが入り、正しい情報を分かりやすく伝える難しさも感じました。

 

 

ー地域のことを知るために、実際にどんな行動をしていたんですか。

 

中島:配属されてすぐの1年間は、休日も含めて糸島市内のイベントやお祭りにたくさん参加しました。例えば農家さんが開催する田植えの体験イベントなど民間が主催するものも含め、SNSに投稿用の写真撮影も兼ねて、さまざまな場所にお邪魔しました。夏場はとくにイベントが多く、毎週土曜か日曜はどこかに出かけていましたね。

 

 

ーその中で、とくに印象に残っている仕事はありますか。

 

中島:昨年3月まで放送されていた、NHKの連続テレビ小説「おむすび」のロケ対応です。糸島市がドラマの舞台の一つになっており、そのロケ担当が私たちの係でした。メインの担当者ではありませんでしたが、ロケの立ち会いや、地元の方々との撮影地の調整、エキストラの方々の対応といった、普段とは違う規模の業務に携わることができ、とても印象に残っています。

 

 

予算がなくても、形にする。観光振興係で見つけた仕事の手応え

 

ー現在の観光振興係では、どんな仕事を担当されているんですか。

 

中島:観光地にある公衆トイレや有料駐車場など、観光施設のハード面の管理と、パンフレットやマナー啓発のポップ作成などのソフト面の業務を係で分担しながら担当しています。

 

 

ーパンフレットやポップの制作は、クリエイティブな要素も大きいと思うんですが、実際にやってみていかがでしたか。

 

中島:市役所に入る前は事務や窓口対応の仕事しかしたことがなかったので、最初は全くの素人でした。ただ、はじめに配属されたブランド推進係ではパンフレット等の制作に関わる機会も多く、そこでデザインを見る目や作る力が身についたと思います。雑誌の校正やSNSの投稿などをとおして、文章を書く力も養われました。それが今の観光振興係での仕事にもつながっています。

 

 

ー何か、とくにやってみて手応えを感じた仕事はありますか。

 

中島:キャンプ場の利用促進のためのポスターを、貴重な予算を使わず、写真撮影やデザインを含め、すべて自分たちで制作しました。

 

それまでは家族連れなど幅広い層に向けたPRをしていたキャンプ場でしたが、坂道が多くシャワーや売店もないという実情に合わせ、男性のソロキャンパーなど、本格的なキャンプを楽しみたい層をメインターゲットに絞ったデザインに切り替えたところ、「役所のポスターっぽくないね」といい意味で周囲から驚かれました。SNSでも積極的に発信し、PRをしました。

 

 

ーそうした経験を積み重ねてきて、この仕事のやりがいをどんなときに感じますか。

 

中島:自分が考えたことが企画として形になっていくときに、大きなやりがいを感じます。また、観光の仕事では地元の方々と直接顔を合わせる機会が多く、困りごとを聞いて改善したり、地域の声を観光振興計画に反映したりすることは、市役所でなければできない仕事だと感じます。

 

 

仕事の負担も、みんなで支え合う。子育てをしながら楽しく働ける糸島市役所

 

ー仕事のやりがいを支えているのは、周囲の協力もあると思いますが、どんな職場の雰囲気なんでしょうか。

 

中島:周りの方にとても恵まれていると感じています。業務の進め方などで悩んだときに上司に相談すると、親身になって話を聞いてくれて、私の考えを尊重しながら一緒に形にしようとしてくださいます。同僚の皆さんも分け隔てなく接してくださるので、とてもありがたく思っています。

 

 

ー子育てをしながら働くうえで、感じていることはありますか。

 

中島:周りの方々もお子さんの病気や学校行事で休みを取られることが多く、私が休むときも「休んで、休んで」と声をかけてもらえるので、後ろめたさを感じることなく休むことができています。仕事の負担も、みんなで支え合う雰囲気があります。

 

 

ー業務の忙しさには、時期による波のようなものはありますか。

 

中島:部署によって忙しい時期は異なりますが、私の場合はいくつかの事業を並行して担当しているので、ピークが重なると特に忙しいです。ただ、自分の裁量でスケジュールを調整できる業務が多く、休みの調整はしやすいと感じています。

 

 

ー最後に、これから糸島市役所をめざす方へメッセージをお願いします。

 

中島:子育てとの両立に対して周囲が寛容で、協力してもらえることは本当に良かったと思っています。私は今の仕事が本当に楽しくて、業務の内容が自分に合っていると感じています。今までの経験は、この職場のどこかで必ずいかせると思います。中途採用でこれまでの歩みをいかして働きたいという方を、心からお待ちしています。一緒に、楽しみながら仕事をしていきましょう。

 

 

ー本日はありがとうございました。

 

働き方も暮らし方も少しずつ変えながら歩んできた中島さんは、1冊の本との出会いから糸島市役所にたどり着きました。情報発信のやり方に悩みながら地域を学んだ1年目、予算がない中でも自分たちの手で作り上げたポスター、子育てをしながら「休んで、休んで」と声をかけ合える職場の雰囲気からは、試行錯誤を重ねながらも仕事を楽しむ姿が伝わってきました。

 

忙しさの中にもやりがいを見出し、心から仕事を楽しんでいる様子が、インタビューを通して強く印象に残りました。

 

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年7月取材)

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糸島市は福岡市と佐賀県唐津市に隣接する福岡県の西の玄関口です。 北は玄界灘、南は脊振山系に面し海の幸も山の幸もある『自然の豊かさ』を実感できるまちです。 交通環境は、東西方向にJR筑肥線が通り、国道202号バイパスや西九州自動車道、主要地方道の大野城二丈線など幹線道路も通っており、高い利便性も備えています。 九州大学を始めとした近隣の大学と連携した『糸島だからこそ』できるまちづくりを進めています。

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