銀行員から久御山町職員へ。「地域のために働く」を本気で叶えた転職が語る

久御山町役場

2026/08/30

「役所って、座ってて事務作業ばっかりのイメージでした。でも全然違いました」

 

そう笑顔で語るのは、久御山町役場 産業・環境政策課で一般事務職として働く入庁3年目の増子さん。

 

大学で社会学を学び、地域に根ざした仕事がしたいと京都府内の銀行に就職。法人営業として2年間、融資や投資信託の販売に携わった後、「地域貢献」という当初の思いに立ち返り、久御山町役場へと転職を果たしました。現在は商工振興の部署で、町内企業の支援や雇用対策事業を担当しています。

 

今回は、民間から公務員へのキャリアチェンジを考えている方に向けて、転職の経緯から日々のやりがいまで、たっぷりとお話を伺いました。

 

地域に根ざしたい。銀行員が役所の扉を叩いたわけ

ーまず、就職活動時のことから教えてください。なぜ金融機関を選ばれたのでしょうか。

増子:大学では社会学系統の学問を学んでいたので、地域の課題や社会問題に関心がありました。働く上でも、地域に根ざした仕事ができるところに就きたいという思いがあって。地元が宇治市だったこともあり、地域に密着した金融機関を選んだという感じです。当時は正直、公務員は全く考えていませんでした。役所ってずっと座って事務作業ばっかりのイメージがあったので(笑)。地域の人とやり取りしながら何かお役に立てることがしたかったので、公務員はそういうイメージとは違うな、と思っていたんです。

 

ーそこから2年で転職を決意されたのはなぜですか?

増子:一番大きな理由は、ノルマがあることへのもどかしさでした。民間企業なので利益や目標を追いかけることは当然なんですが、それが当初思い描いていた「地域貢献」とどうしてもかみ合わない感覚があって。そこで改めて業種研究をしてみたら、意外に自分が思ってた公務員じゃないんじゃないかなと気づいたんです。地域の人とやり取りしながら施策を立案して、それが住民の方々に受け入れられていく——そのプロセスが、自分のやりたいことに繋がっていると思えました。

 

ーなぜ久御山町を選ばれたんですか?

増子:地元の宇治市近辺で考えていたのですが、久御山町が「まちづくりセンター」という大型公共施設の建設や新市街地整備など大きな事業を進めていると知って。まちの転換期に自分もそこに入れたら、よりやりがいを感じられるんじゃないかと思いました。自治体のホームページや計画文書をいくつも読み比べた中で、一番刺さったのが久御山町でした。

 

初めての窓口、初めてのクレーム。1年目を支えたメンター制度

ー入庁後、最初に配属された環境部局ではどんな業務を担当されましたか?

増子:窓口対応や電話対応が中心でしたが、具体的な担当事業としては犬の登録や狂犬病予防の事務、そして食品ロス削減事業もありました。食品ロス削減事業は、公共施設にフードバスケットを置いて、住民さんが不要になった食品を寄付し、必要とされる方にお渡しする取り組みで、住民向けセミナーの開催なども行いました。事務・窓口・外出と、まんべんなく経験できた1年でしたね。

 

ー大変だったことはありますか?

増子:やはり苦情の電話や窓口対応が最初は難しかったです。環境の部署なので、雑草の管理や騒音・異臭の問題についてご意見をいただくことが多くて。久御山町は会社が多いまちなので、騒音に関する苦情も少なくありませんでした。法律もまだ覚えていない時期に、役所として正確に対応しなければならない——どこまで発言していいか、どう伝えれば理解してもらえるか、毎回悩みながら答えていました。

 

ーそういうとき、サポートはありましたか?

増子:はい、久御山町にはメンター(OJT)制度があって、同じ部署の上司がメンター(OJT)として丁寧に教えてくれました。最初は法律の本を読んで分からないところを先輩に聞いて、それを基に対応する。そういうサイクルを繰り返すうちに、年度末にはほとんど1人で業務を遂行できるようになっていました。中途採用ということもあってか、夏ごろには独りで外回りや業者対応もしていましたね。ほっとかれるということは全くなくて、いつも気にかけてもらえるのがありがたかったです。

 

 

転職1年目で大手コンビニと協定締結。「こうしたい」が実現できる場所

ー1年目で印象に残っている出来事はありますか?

増子:食品ロス削減に取り組む中で、ファミリーマートさんも同様の活動をされていると知ったんです。「大手コンビニと組んだら、町内での食品ロス削減のPRにもなるんじゃないか」と思って上司に話したら、「ええんちゃうか」って言ってくれて。それがトントン拍子で進んで、実際に協定を締結することになったんです。転職1年目で自分が発案したことが実現できると思っていなかったので、本当に驚きしました。

 

ー公務員のイメージとのギャップはありましたか?

増子:ありましたね。公務員って上下関係がしっかりあって意見しにくいのかなと思っていたんですが、全く違いました。一番驚いたのは、課長にも普通に意見できること。民間時代は難しかったことです。今の職場では、自分の考えを言わないと始まらない部分もあって、それをしっかり聞いてもらえる環境があります。公正・公平に物事を見る立場というのは民間とは違いますが、風通しの良さは想像以上でした。

 

ー現在の商工振興の部署では、前職の経験は活きていますか?

増子:かなり活きています。今は制度融資の手続きや雇用対策事業を担当しているのですが、金利の考え方や銀行さんとのやり取りは銀行員時代の経験がそのまま役立ちます。それ以上に活きているのが、2年間色々な会社さんと話してきた経験です。企業さんが抱えている悩みの感覚や、お話しするときの温度感みたいなものが体に染み込んでいるので、今の部署でも比較的すんなり馴染めたと思っています。

 

定時退社が当たり前。まちの変革期に、ここで仕事をする意味

ーワークライフバランスはいかがですか?

増子:かなり取れていると感じています。上司が「休めるときに休んでね」と常に声をかけてくれますし、残業についても気にかけてくれます。イベント前や年度末などは残業することもありますが、それ以外は基本的に定時で帰れています。残業しているときに周りから声をかけてもらえるのも、孤独感なく仕事できる理由の一つだなと感じますね。

 

ー転職して2年、改めて久御山町で働くことの魅力は何だと思いますか?

増子:住民さんや町内企業さんとの距離が近いことです。自分が企画したイベントや事業に対して「また参加させてください」「よかったです」と言ってもらえると、必要とされているんだなと実感できます。転職前に思い描いていた地域貢献が、少しずつ形になってきている感覚があります。まだ3年目で大声では言えないですけど(笑)。

 

最後に、久御山町での就職を考えている方へメッセージをお願いします。

増子:自分がこうしたいという思いが実現できる環境だと感じています。転職目でコンビニさんとの協定が実現できたように、若手でも意見を聞いてもらえますし、それを受け入れてくれる上司がいます。「役所は堅い」「事務作業ばかり」というイメージで諦めてしまうのはもったいないなと思っていて、地域に関わる仕事がしたい方、人と話すことが好きな方には、本当に合う職場だと思います。ぜひ一度、チャレンジしてみてください。

 

ー本日はありがとうございました。

 

公務員に対して抱いていた先入観が、入庁後の日々の中で少しずつ塗り替えられていく——その驚きと喜びが、素直な言葉ににじんでいました。銀行員として培った対話のスキルと、社会学で育んだ地域への関心から、地域を支える職員のインタビューでした。

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2025年5月取材)

 

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