「女性だから」を理由にしない。救急救命士の誇りを胸に、消防士としての夢を掴む

伊勢原市役所

2026/08/17

今回お話を伺ったのは、令和7年に入庁し、消防署警備第1課本署救急係で救急隊員として活躍する花田さんです。中学生のときに経験した救急搬送での優しい一言が原点となり、救急救命士の資格を取得して消防の世界へ飛び込みました。

持ち前のガッツで消防学校の救助訓練を楽しみ抜き、各賞を獲得した努力家でもあります。「女性だからという理由で諦めてほしくない」と語る花田さんの瞳には、救急救命士の知識を携えた女性救助隊員として現場の最前線に立つという、どこまでも真っ直ぐな情熱が宿っていました。若手がどんどん成長できる伊勢原市消防署の魅力に迫ります。

 


救急隊員としての日常とは

ーまずは、現在の花田さんの担当業務について教えていただけますか?

 

花田:私は伊勢原市消防署の警備第1課本署救急係に所属していまして、救急隊員として救急車に乗務しています。大学で救急救命士の資格を取得してから入庁しましたので、現在は救急救命士としての活動を中心に行っています。基本的には救急要請が入ったら出動する、ということがメインの毎日になります。

ー救急隊となると、1日に何件くらい出動するのでしょうか?

 

花田:そうですね。1回の当直(消防署で24時間連続して勤務する勤務形態のこと)で平均すると6件から7件ほど出動しています。最近は暑くなってきたこともあり、出動件数が増えてきている傾向にあるので、多い日には10件近く出動することもあります。

 

ー1回の勤務でそれだけの出動があると忙しい印象ですが、ご自身としてはどのように感じていますか?

 

花田:実は、大学時代に東京消防庁に勤めていた先輩や講師の方から、「東京では朝救急出動したら翌朝まで一度も署に帰ってこられないこともある」といったお話を聞いていたこともありました。

 

そうした非常に忙しい現場のイメージをあらかじめ持って入庁したこともあり、現在のペースに対して想像以上の過酷さを感じているというわけではありません。訓練や事務処理など、自分のペースを保ちながら着実に経験を積めていると感じています。

 

救命士を目指した原点とは?怪我をしたあの日の記憶

ーそもそも、花田さんが消防士や救急救命士を目指そうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

 

花田:一番のきっかけは、中学生のときに部活動の最中に大きな怪我をして、救急車で病院へ運ばれた経験です。当時の私は痛みと不安でいっぱいだったのですが、駆けつけてくださった救急隊員の方が本当に優しく声をかけてくださったんです。

 

その言葉によって、不安でたまらなかった気持ちが和らいでいくのを感じました。そのときに「私もこんな風に人を安心させられる存在になりたい」と強く思ったことが原点となっています。

 

ーとても素敵なエピソードですね。そこから消防士を目指したのですか?

 

花田:実は面接では言ってないもう一つの理由もありまして(笑)私は幼いころからじっとしていることが苦手な性格なんです。

 

デスクに座りっぱなしの環境よりも、自分の身体をフルに動かして人の役に立てる仕事がしたいと考えていました。高校2年生の頃にはまず救急救命士の資格を取ろうと決意し、大学進学後は自衛隊なども選択肢として考えていたのですが、最終的に「身近な人を直接助けたい」という想いから消防士の道を選びました。

 

ー消防士として活躍するフィールドとして、伊勢原市を選んだ理由も教えていただけますか?

 

花田:私は平塚市の出身なのですが、祖母の家が伊勢原市にありましたし、親も伊勢原市内で働いていました。さらに大学時代には伊勢原市内にある地域密着型の小さなスーパーマーケットでアルバイトをしていて、地元のお客さんたちと日頃から温かいコミュニケーションをとっていたんです。

 

街の温かい雰囲気を肌で知っていたので、伊勢原市で働きたいという想いが強く、志望しました。ちなみに、地元も併願しようと思っていたのですが、伊勢原市のことばかり調べていたら平塚市の申込期間が終わってしまっていて…結局伊勢原市のみを受験することとなりました(笑)

 

消防学校での挑戦。「負けたくない」という思いで体力賞を獲得した熱い6ヶ月

ー入庁後に通う消防学校について、「厳しい」という人も多いですが、花田さんは振り返ってみていかがでしたか?

 

花田:他の職員からはよく「きつかった」という話を聞くのですが、私の場合は「楽しかった!」という思い出の方が圧倒的に強いです(笑)とにかく全力でやりきった6ヶ月間でした。

 

特に救助訓練が大好きで、ロープを素早く渡る訓練や構造物をよじ登るような実践的な訓練は本当に楽しかったです。やるからには男子に絶対に負けたくないという、負けず嫌いな気持ちを前面に出して、毎日の訓練に臨んでいました。

ー負けたくないというガッツはとても素敵ですね。結果はいかがでしたか?

 

花田:6ヶ月の入校期間だったのですが、最終成績では全学生の中で7位となり優秀賞をいただくことができました。併せて体力賞もいただくことができたので、一定の結果は残せたんじゃないかと思っています。

 

苦労したことといえば、全寮制の中での人間関係ですね。周囲と上手くいかなかったというわけではないのですが、熱い想いをもった同世代の仲間たちが集まっていたので、お互いにプライドがあったり引き下がれない部分があったりして、時にはぶつかりあうようなこともありました。

 

また、全員の動きをきっちり合わせるポンプ車操法や消防ならではの礼式など、頭を使いながら決まった動作をするような訓練には苦戦しました(笑)

 

若手が育つ環境。温かい先輩たちと、挑戦を後押しする職場の風土

ー消防学校を卒業後は、すぐに現場に配属となったのでしょうか?

 

花田:最初の半年間は当直勤務には入らず、消防総務課に勤務しながら日勤帯で様々な部署のサポートを行っていました。その期間中には、4人目の救急隊員として救急車に同乗させていただいたり、指令センターとの無線交信を経験させていただいたりと、新人の段階から現場のリアルな動きをたくさん学ぶことができました。

 

早くから現場の空気に触れられたことは、大きな成長につながったと感じています。

ーその後、現場に配属されてみて、職場の雰囲気や人間関係はいかがでしたか?

 

花田:本当に温かくて恵まれた環境だと実感しています。最初は現場は縦社会が厳しいのだろうと少し構えていた部分もあったのですが、実際には訓練のときはピシッと厳しく指導し、それ以外の時間はお互いに冗談を言い合えるようなメリハリのある素晴らしい雰囲気です。

 

年下だからといって頭ごなしに抑えつけられることは一切なく、親身に話を聞いてくださいます。初めての処置や作業に対しても「やってみる?」と先輩から声をかけてくださり、挑戦したい意欲をそのまま後押ししてくれるような職場です。

 

ー花田さんからも積極的にコミュニケーションをとっているのですか?

 

花田:私はシーンとしている空間があまり得意ではないので、自分から積極的に先輩方に話しかけるようにしています(笑)日頃から何事にも笑顔で接することを大切にしているのですが、先輩方もいつも優しく気さくに応えてくださるので、本当に相談がしやすいです。

 

業務外でも、プライベートで一緒に過ごす機会があるほど仲が良く、このアットホームで温かい人間関係こそが伊勢原市消防署の一番の魅力だと胸を張って言えます。

夢は女性救助隊員!「助けたい」想いを胸に、未来の仲間たちへ届ける言葉

ー花田さんが将来描いている目標などがあれば教えてください。

 

花田:将来の大きな夢は、救急救命士の資格を持った「女性救助隊員」になることです。

 

もともと学生時代に地元の消防署で救助隊が訓練している姿を近くで見ていて、すごくかっこいいなと強く憧れていました。救急現場だけでなく、救助隊として現場の最前線に飛び込み、救助技術と救命知識の両方を駆使して市民を救える存在になりたいと思っています。

ー花田さんとしては、今後どんな仲間に入ってきてもらいたいと思いますか?

 

花田:何事にも前向きで、学ぶ姿勢を持っている人と一緒に働きたいですね。分からないことや疑問に思ったことを素直に質問すれば、伊勢原市消防署の先輩方は質問したこと以上にたくさんの知識や技術を丁寧に教えてくださいます。

 

だからこそ「やる気」と「吸収しようとする姿勢」さえあれば、どんどん成長できる環境が整っています。

 

ー最後に、これから消防士を目指す方、特に女性の挑戦者へ背中を押すメッセージをお願いします!

 

花田:消防の世界で女性としてやっていくには、体格面などで男性との差を感じたり、厳しい壁にぶつかったりすることもあるかもしれません。ですが、「女性だから」という理由で自分の夢を絶対に諦めてほしくないんです。

 

私もそうだったように「負けてたまるか!」という強い気持ちを持って挑めば必ず道は開けます(笑)

勇気を持って一歩を踏み出して、ぜひ一緒に伊勢原市消防署で市民の安心・安全を守りましょう!

ー本日はありがとうございました。

 

病院搬送から戻られた直後という慌ただしい状況で始まった取材でしたが、疲れを一切見せず、明るく取材に応じていただいた花田さん。中学生の頃に受けた救急隊の優しさを原点に持ちながら、男子に負けじと消防学校の訓練で優秀賞と体力賞を勝ち取ったという力強いエピソードには圧倒されました。「女性だからという理由で夢を諦めないでほしい」と語る言葉には、優しさの中に一切の甘えがない真の強さが込められています。救急救命士の知識を併せ持つ女性救助隊員として、花田さんが活躍する未来が今から楽しみでなりません。

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年7月取材)

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「暮らしやすさ実感都市 伊勢原」  伊勢原市は神奈川県のほぼ中央に位置し、南部を平塚市、西部を秦野市、北東部を厚木市と接し、東西間に東名高速道路、国道246号線、小田急線が走っています。東京からは東名高速で30分、小田急線で新宿から60分の位置にあり、首都圏の近郊都市として恵まれた自然と温暖な気候の中で商業・工業・農業などがバランスよく発展している都市です。人口は約10万2,000人。「新東名高速道路」や「国道246号バイパス」などの広域幹線道路の整備が進んでおり、伊勢原市はこれから大きく変貌しようとしています。 伊勢原市の取り組みを共に支えてくれる皆様をお待ちしています。

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