「答えをすぐにくれるわけじゃなくて、『これ、どう思う?』と聞いてくださるんです」岩手県矢巾町役場 道路住宅課の課長補佐×主事が語る、相談しやすい職場の空気とキャリアのリアル

矢巾町役場

2026/10/27

「答えをすぐにくれるわけじゃなくて、自分で1回考えてみて、『これ、どう思う?』という形で聞いてくださるんです。だから勉強にもなるし、相談もしやすい」

 

そう語るのは、岩手県矢巾町役場 道路住宅課の佐々木さん(主事)。令和2年に新卒で入庁し、教育委員会事務局 学校教育課で5年間を過ごしたのち、令和7年から道路住宅課で調整区域の建築相談などを担当しています。向かいに座るのは、同じく矢巾町出身で平成17年に新卒入庁した立花さん(課長補佐)。これまでに福祉(2回)、国保、防災、税務、企画と6つの部署を歩き、令和7年から道路住宅課で住宅政策係長も兼務しています。

今回は、係長級以上の職員と若手職員による「クロストーク」企画。お二人がそれぞれ矢巾町役場を選んだ経緯から、道路住宅課での日々のやりとり、有給の取りやすさ、そしてお互いへの率直な印象と質問まで伺いました。役場の「職場の雰囲気」を、ぜひ会話の温度ごと感じてください。

 

民間は「全く受けていない」。生まれ育った矢巾に戻る選択

ーまず立花さんから伺います。矢巾町役場には新卒で入庁されたそうですね。

立花:はい、新卒です。生まれも育ちも矢巾町で、大学の4年間だけ青森にいました。

ー当時の就職活動では、民間企業も受けていましたか?

立花:実は全く受けていないんです。ただ、「絶対に自治体で働きたい」と思っていたわけでもなくて。社会福祉の学部だったので、当初は行政職ではなく、施設などの福祉の現場に進もうかと思って大学に入りました。

私は長男で、「戻ってきた方が親も安心するだろうな」という思いもあったので、岩手に戻ることは決めていました。そのときに、生まれ育った矢巾に目を向けて、「採用試験、とりあえず受けてみようかな」と。正直、そのくらい漠然とした気持ちでした。

 

先生も、介護も、全部やってみたかった。高校生で気づいた「役場なら関われる」

ー佐々木さんも新卒入庁で、矢巾町出身とのことですね。

佐々木:はい。矢巾町以外に住んだことはなくて、就職してから盛岡に住んだことはありますが、ずっと生粋の「やはばっこ」です。

ー役場で働くという選択肢は、いつごろから考えていたのですか?

佐々木:高校生のときです。知り合いに公務員はいなかったのですが、私の夢がとにかく多くて。学校の先生になりたい、農業や、介護にもすごく興味があって、小さい頃から民謡民舞を習っているので、そういった伝統芸能などの文化財にも携わりたいな……と多岐にわたっていたんです。「これを全部叶えられるのはどこだろう」と考えたとき、いろいろな分野に携われるのは役場だな、と。地元にも貢献できるし、いいなと思って矢巾町役場を志望しました。

立花さん:素晴らしいね。そりゃ合格するよ。

ー最初の配属はどこでしたか?

佐々木:教育委員会事務局の学校教育課でした。実際に教壇に立って授業もさせてもらいました。企画財政課と一緒に、小学生と一緒にカードゲームで遊びながらSDGsを学ぶ授業をやらせてもらって。夢が一つ叶いました。

ー入庁してみて、「思っていたのと違う」と感じたことはありましたか?

佐々木:私が入庁した令和2年度は、ちょうどコロナ禍の真っただ中でした。集合型の研修もなく、いきなり席に座って業務を始める形で。しかも、過去の資料を見ればできる仕事ではなくて、「これはコロナだから中止にします。では代わりにどう対応しますか」と、自分から動く臨機応変な対応が求められました。「公務員は単なる事務作業の仕事ではない」というのは、最初に強く感じたことです。

福祉、国保、防災、税、企画、そして道路。ここまでで見つけた役場人生の財産

ー立花さんは平成17年の入庁から、どんな部署を歩いてきたのですか?

立花:最初は福祉係で4年間。障害手帳などを担当しました。その後、国保関係の部署に2年。そして東日本大震災の直後に防災の部署へ異動して4年。次が税務課で徴収の関係。そこからまた福祉課に戻って、福祉係で初めて係長を拝命しました。令和5・6年は企画系の部署でコミュニティ担当の係長をやって、令和7年から道路住宅課です。数えると7カ所目になります。

ー正直に伺いますが、いちばんしんどかった時期はいつでしたか?

立花:最初、配属された福祉係のころですね。私を指導してくれるはずだった先輩が、入庁から1カ月もたたないうちに職場を離れることになって。別の方にしっかりフォローしていただいたのですが、「入庁したばかりなのに残業多いなあ」という気持ちは正直ありました。

ー逆に、「これはいい仕事ができた」と心に残っている場面はありますか?

立花:やっぱり防災の分野です。震災直後で、町としても混乱していた時期でした。矢巾町は内陸なので大きな被災はなかったのですが、沿岸や福島から避難してこられる方の受け入れがあり、全国から物資がどんどん届く。前例のない中で、上司も含めて総務課一体で手探りでやっていきました。

 防災の部署は、消防団や交通指導員、防犯・地域安全の方など、たくさんの団体の事務局になります。そこで関わった団体の方々に覚えてもらって、いまでも会うと声をかけていただける。20年近いお付き合いになる方もいて、これは自分の役場人生においてかなりの財産だと思っています。

 その2年後、平成25年の8月には町の中心部が水につかる災害もあって、そのときも防災でした。震災からの復興も、大雨からの復旧も、「元に戻さなきゃ」というときに人はこんなにも頑張れるんだと体感できたのは、大きな財産ですね。

佐々木:あの大雨、私は当時まだ学生で、町のショッピングセンターの辺りが水につかっていたのを覚えています。

「お姉さん、ありがとう」。就学相談でもらった折り紙が教えてくれたこと

ー佐々木さんにも、印象に残っている場面を伺えますか?

佐々木:学校教育課では障がいのあるお子さんの担当をしていて、年長さんから小学校に上がるタイミングで、支援学級にするか、支援学校にするか、ご相談に来られる保護者の方がたくさんいらっしゃいました。悩んでいる方に寄り添って、たくさん話を聞いて。親御さんだけでなく、お子さん本人がどんな学校生活を楽しみにしているかも聞き取りをしました。

進学先が決まったとき、町民の方から直接「おかげさまで、ありがとうございました」と言っていただいたり、その年長さんから「お姉さん、ありがとう」と折り紙をもらったりして。町民の方の力になれたんだと実感して、すごくうれしかったです。

第一印象は「ぶっちゃけ、チャラい」。一緒に働いてわかった、相談しやすさの理由

ここからは、令和7年にお二人が道路住宅課で一緒に働くようになってからの話です。佐々木さんは、学校教育課時代に福祉課にいた立花さんの顔は知っていたものの、直接一緒に仕事をするのは初めてだったといいます。

ー佐々木さんは、立花さんに最初どんな印象を持っていましたか?

佐々木:ぶっちゃけ、「チャラいな」って思ってました(笑)。

立花:はっきり言うね(笑)。

佐々木:でも、明るい方だということは分かっていたので、「この人には何でも相談できそうだな」と思ったんです。実は当時、私はお腹に赤ちゃんがいてまだ初期のころだったのですが、それも安心して話せて。割と絶大な信頼を置いていました。

ー立花さんは、佐々木さんにどんな印象を?

立花:私が福祉課にいたころ、彼女は学校教育課で、ケース対応をしている様子は知っていたんです。「若い子だけど、めちゃくちゃしっかりやる職員だな」というのが、ずっと持っていた印象でした。ハキハキしているし、うちの課の窓口もこの感じでやってもらえるだろうな、という安心感がありました。

ー一緒に働いてみて、印象は変わりましたか?

佐々木:フットワークが軽くて、明るいから相談しやすい。でも、だからといってすぐに答えをくれるわけじゃなくて、自分で1回考えてみて、「これ、どう思う?」という形で聞いてくださるんです。だから勉強にもなる。こっちに来てから「チャラいだけじゃなくて、めっちゃ真面目じゃん」と思いました(笑)。

立花:私は、隣で彼女が係長と「何々法では……」と専門的な話をしているのを聞いていて、正直、自分がそこまで把握できていないこともあるくらい、ちゃんと勉強している。若いけれど前を見据えて考えられる職員だし、窓口対応も学校教育課での経験を含めていつも上手にやってくれるので、安心して任せられます。それに、矢巾のことをちゃんと愛して、この町のためにとやってくれているのが、今日の話の節々からも伝わってきますね。

若手からベテランまで幅広い年代がいる部署。「これ、どう思います?」で引き出すマネジメント

ー立花さんは管理職側の立場です。コミュニケーションで気をつけていることはありますか?

立花:うちの課には事務職と技術職がいて、若手からベテランまで幅広い年代がいる部署なんです。年上の同僚も一定数いる中で、立場上、言わなければならないことは言わなければならない。そのコミュニケーションの難しさは正直感じます。

ただ、私は皆さんから「チャラい」で通っている男なので(笑)、そのふざけた感じをある意味うまく使っています。年上の方への敬意を持ちつつ、伝えるべきことはきちんと伝える。そういう接し方を意識しています。

ー仕事をどこまで任せるか、という点ではどうですか?

立花:それぞれの経験を信じて、業務を任せていますが、何か気づいたときには個別にお声がけをしています。マネジメント側が一方的に指示するのはたやすいことなのでしょうが、それぞれが自分のスタンスを持って仕事をしてほしい。だから「これはこうだけど、どう思います?」と、どう考えているかを引き出すように意識しています。全然うまくできていないですけど(笑)。

ー若手職員が、課長補佐に言いたいことを言えない、ということは一般的にはありそうです。

立花:多分、私のキャラ的に、言いづらいことはないと思います(笑)。壁を作っているつもりもないし、難しい顔をしていることもほぼない。「ここ直しといて」と言って、直したら「オッケー」という、本当に軽いキャッチボールのつもりでやっています。若い人ほど、それを「指示」として重く受け取らないでほしい、というのは気をつけているところです。

佐々木:はい、伝わってます(笑)。

係長は建築基準法に強く、同僚は地域に強い。周りの「強み」を吸収して進める仕事

ー佐々木さんは、上司や先輩の存在をどう仕事に活かしていますか?

佐々木:いまは市街化調整区域での建築の相談が主な業務です。都市計画法のところは自分でがっちり調べて、建築基準法で分からないことや「これで合ってますよね」という確認は、建築基準法にすごく強い係長に聞くようにしています。

同じ係員の方は産業観光課にいた方なので、公園の巡回等で回ると「ここはどういう方が多いんですか」と聞いたりします。地域のことをよく知っている方なので。それぞれがいた部署の強みを私が吸収して、自分の仕事につなげている感じです。

ー有給休暇は取りやすいですか?

佐々木:すごく取りやすいです。むしろ余計な話までしちゃいます。有給の理由を聞かれていないのに、自分から「これがあって行くんです、なので休みます」と言ってしまう(笑)。

立花:私も「俺、来週ディズニーだから」とか言ってますね(笑)。この辺は、うちの課は比較的みんなそうだと思います。

佐々木さんのところは生まれたばかりの小さいお子さん、私は小・中学生と、子どもの年齢はさまざまですが、子育て世代が多い部署なんです。なので、お互いへの理解はあるほうだと思いますね。

「外向的な人だけが輝ける仕事じゃない」。二人が一緒に働きたいのは、こんな人

ーお二人が「一緒に働きたい」と思う人は、どんな人ですか?

立花:自分がノリで乗り切ってしまっているところもあるので(笑)、佐々木さんのように、きちんと勉強していて、その分野をちゃんと突き詰められる方ですね。私も22年いると、「この人は本当に強い」「こういうときはこの人が助けてくれる」という方が何人も浮かびます。自分もいつかそういう存在になりたいし、そんな「頼られる存在」の方と一緒に仕事ができればと思います。

佐々木:私はここに来て、「公務員は、外向的な人だけでなく、もしかしたらコミュニケーションが不得手の人でも輝ける仕事だな」と思いました。パソコンに集中して数字と向き合える人はすごく貴重ですし、逆に町民の方とのコミュニケーションが得意な人も本当に大事な人材です。だから「こういう人に来てほしい」というのはあまりなくて、いろいろな人が、どこかの部署に行けば必ず輝ける場所がある。そう思っています。

最後に、お互いへ一つだけ質問。「震災のとき、何がいちばん大変だったか」と「どこまで目指すか」

取材の締めくくりに、お二人にそれぞれ、相手へ一つ質問をしてもらいました。

ーでは佐々木さんから、立花さんへ。

佐々木:やっぱり東日本大震災の話を深掘りしたいです。震災の1カ月後に防災に配属されて、当時は矢巾町も電気や水道が止まった時期があったと思うのですが、何がいちばん大変でしたか?

立花:本当に、何をやっていたか記憶がないくらい忙しかった、というのが正直なところです。例えば、救援物資の受入対応。もちろん支援いただけることはとてもありがたいことです。ただ、全国から食料などの物資が大量に届くと、それを荷解きして、被災者に配布したり、保管することにも多くの時間と労力を要しました。

他には、避難してこられる方をどこに受け入れるかの整備、それからボランティアの方が高速道路を無料で通れる許可書の発行も担当していました。

いまの道路住宅課はまさにインフラ担当の部署なので、もし同じことが起きたら、私も冷静ではいられないと思います。でも、あの震災を体験した人たちのノウハウは、ちゃんと引き継いでいきたいですね。

ーでは立花さんから、佐々木さんへ。

立花:辞めないでほしいのは大前提として(笑)。佐々木さんの世代は70歳くらいまで働く時代かもしれない。人生設計も含めて、行ってみたい部署や、どこまでやりたいか、いまの段階で考えていることはありますか?

佐々木:いずれ行ってみたい部署は、観光系や文化財とか…。それから、教育委員会のつながりで、やっぱり子どもに携わる部署にも行きたいですし、福祉にも携わりたいと思っています。住民に寄り添える仕事をやりたいので、まず教育・民生の分野に行きたいです。

立花:ぜひそうなってください。

ー本日はありがとうございました。

編集後記

取材の途中、佐々木さんが立花さんの第一印象を「ぶっちゃけ、チャラいなって思ってました」と言い切った瞬間、画面の向こうで二人が同時に笑いました。最初は、若手が上司にくだけて話せる仲の良さのエピソードとして聞いていました。

けれど話を聞くうちに、それは立花さんが意図してつくっている「入り口」なのだと分かってきました。年上の部下もいる部署で、言うべきことを言うために、あえて壁のないキャラクターでいる。「直しといて」「オッケー」の軽いキャッチボールの裏には、「若い人ほど指示を重く受け取らないでほしい」という配慮がありました。

「これ、どう思う?」と問いかける上司と、係長や同僚の強みを吸収して自分の仕事につなげる若手。職場の雰囲気とは、どちらか一方がつくるものではなく、こうしたやりとりの積み重ねなのだと感じた1時間でした。

 

皆様のご応募をお待ちしています。

_______________

この記事は、2026年9月16日にパブリックコネクト編集部が取材した内容をもとに作成しています。

記載の内容・所属・数値は取材当時のものです。

職員インタビュー

この記事の官公庁・自治体

矢巾町役場
矢巾町役場

 矢巾町は岩手県のほぼ中央に位置し、県庁所在地である盛岡市の南に隣接する町です。田園地帯が広がる自然豊かな環境に加え、岩手流通センター、岩手医科大学附属病院、岩手県消防学校など、物流拠点、医療拠点、防災拠点の揃った恵まれた町です。  時代に適応した町を創造するため、変化に的確に対応し、自ら行動できる職員を募集します。

矢巾町役場をフォローして、「新着求人の通知」を受け取りましょう!

この記事が気に入ったらお気に入り登録しましょう!

矢巾町役場のトップページへ
お問い合わせ

ご利用者様向け利用規約

プライバシーポリシー

運営会社

© PUBLIC CONNECT Inc. All rights reserved.