数字で見る綾瀬市役所の働き方。残業は1日1時間未満、男性の育休取得率54.5%、コアタイムなしのフレックス。公表データで読む「持続可能な働き方」
綾瀬市役所
「人が温かい」「穏やかな職場」。綾瀬市役所の職員に話を聞くと、必ずといっていいほど返ってくる言葉です。
ただ、雰囲気だけでは、これから受験を考える人の不安は消えません。残業はどれくらいあるのか。休みは取れるのか。子どもが生まれたら働き続けられるのか。
この記事では、綾瀬市が公表している人事データと職員制度を、数字を軸に整理しました。神奈川県央、人口約8万人のまちで働く職員の「働き方の実態」を、できるだけそのままお伝えします。
※記載の数値は、綾瀬市ホームページで公表されている資料(令和8年9月時点)に基づいています。年度・時点はそれぞれの数字に添えています。
1日7時間45分、コアタイムなし。令和3年から始まった「自分で決める」出勤時間
綾瀬市役所の勤務時間は、月曜日から金曜日の8時30分から17時00分まで。休憩45分を除いて1日7時間45分、週38時間45分です。
ここまでは多くの自治体と同じですが、綾瀬市には大きな特徴があります。令和3年4月から、コアタイム(必ず勤務しなければならない時間帯)を設けないフレックスタイム制度を導入していることです。
保育園の送迎に合わせて始業を遅らせる。通院や資格試験の勉強に合わせて早く帰る。そうした調整を、職員自身の裁量で組み立てられる仕組みです。
育児や介護をしている職員には、早出遅出勤務の制度も別に用意されています。

時間外勤務は月平均14.6時間。「毎日1時間弱」の実像
公務員の残業は部署や時期で差が大きく、平均だけでは語れません。それでも、まず全体の水準を知ることは大切です。
綾瀬市が令和8年度に公表した資料によると、管理職以外の職員の時間外勤務は、令和7年度(令和7年4月1日〜令和8年3月31日)で月平均14.57時間でした。
月20日勤務とすれば、1日あたり45分弱。もちろん、予算編成や選挙、災害対応など、集中的に忙しくなる時期はあります。それでも、年間を平均すると「毎日遅くまで残る」働き方ではないことが数字から読み取れます。
なお、以前の記事で取材した下水道課の職員も「残業は月10時間程度が基本」と話していました。個人差はありますが、感覚として大きくずれていない数字です。

年次休暇は年20日、平均取得は12.9日。夏季休暇は年7日、669人が取得
年次休暇(有給休暇)は1年につき20日。これに加えて、療養休暇、介護休暇、そして結婚・出産・忌引き・夏季などの特別休暇があります。
実際にどれくらい使われているのか。令和6年度の年次休暇の平均取得日数は12.9日でした(令和5年度は14.6日)。付与20日に対して6割強という水準で、ここは正直に「まだ伸ばせる余地がある数字」と言えます。
一方で、夏季休暇は令和6年度に669人が取得しています。職員数(約670人)とほぼ同じ人数で、夏に休みを取ることが「当たり前」になっている職場だと分かります。
そのほか、リフレッシュ休暇は41人、結婚を機に取る婚姻休暇は15人が取得しました(いずれも令和6年度)。

男性の育児休業取得率54.5%。妻の出産休暇23人、男性育児参加休暇19人
子育てと仕事の両立は、受験を考える人が最も気にするテーマのひとつです。ここは数字がはっきり答えてくれます。
令和7年度(令和7年4月1日〜令和8年3月31日)に子どもが生まれた職員のうち、育児休業を取得した割合は、女性職員が100%(14名中14名)、男性職員が54.5%(22名中12名)でした。男性の2人に1人以上が育休を取っています。
育休以外の制度も使われています。令和6年度には、妻の出産に立ち会うための「妻出産休暇」を23人、生まれた子どもの世話のための「男性育児参加休暇」を19人の職員が取得しました。
復帰後の働き方も選べます。同じ令和6年度、育児休業の取得者は50人(うち女性38人)、短時間で働く部分休業は16人、小学生の子どもを持つ職員が使える「子育て部分休暇」は7人が利用しています。


職員667人のうち女性は35.2%。主幹級以上では20.9%
令和8年4月1日時点で、綾瀬市の職員は667人。そのうち女性は235人で、35.2%を占めています。
役職別に見ると、主幹級以上(部長級・参事級・課長級・主幹級)191人のうち女性は40人(20.9%)。主幹級では105人中29人(27.6%)と、若い世代ほど女性の比率が高くなっています。
管理職(86人)に占める女性の割合は12.8%(11人)。この数字は、まだ道半ばというのが正直なところでしょう。ただ、育休取得率100%や子育て部分休暇の利用実績と合わせて見ると、「働き続けられる環境を整えたうえで、これから管理職層を厚くしていく段階」にあることが読み取れます。

育児・介護で辞めても、5年以内なら戻れる。「キャリア・リターン制度」
綾瀬市は令和3年10月、キャリア・リターン制度を導入しました。育児または介護を理由に退職した職員のうち、在職5年以上で離職後5年以内の人が希望すれば、復職できる仕組みです。
家庭の事情で一度キャリアが途切れても、それまでの経験がゼロにならない。この制度があることで、「いま辞めるかどうか」の判断を、より落ち着いて考えることができます。
フレックスタイム、育休、子育て部分休暇、そしてキャリア・リターン。綾瀬市が打ち出す「持続可能な働き方」は、この3〜4つの制度が組み合わさってはじめて形になります。
3〜5年でローテーション。研修は「新採用の4月と1月」から始まる
配属先は、意向申告と適性・能力に応じて決まります。土木や保健師などの資格職は、それぞれの専門知識・技術に関連した職場に配属されます。人事異動のサイクルは概ね3年から5年です。
一般事務職の昇任の道筋は、主事(1級)から主事(2級)、主任主事、主査、主幹、課長、参事、部長へと段階的に進みます。
研修は、新採用職員研修(4月1日採用者は4月と1月に実施)、職位別の一般研修、専門知識を身につける特別研修、職場研修、派遣研修、他団体との職員交流・派遣制度、そして職員が自主的に集まる自主研究グループまで、幅があります。
福利厚生は、神奈川県市町村職員共済組合と綾瀬市職員厚生会が担い、健康診断の補助、住宅資金の貸付、体育事業や趣味教室などがあります。サークル活動も活発で、野球、バレーボール、硬式テニス、スキー、山歩き、ランニングなどの集まりがあります。
綾瀬市が職員に求める3つの行動。「挑戦」「主体的に課題を見つける」「長期的な視野」
最後に、綾瀬市がどんな人と一緒に働きたいと考えているのかを、市が掲げる「職員行動指針」から見てみます。
· 理想を実現するために挑戦しよう!
· 主体的に課題を見つけよう!
· 長期的な視野を持って考えよう!
綾瀬市はこの行動指針を「全ての職員が自己形成の目標にすべきもの」であり「人材育成の目標」と位置づけています。職員一人ひとりが責任を持って行動し、成長し続けることで、「持続的な成長・発展を続けられるまち」を実現する。それが市の描く姿です。
数字で見てきた働き方の制度は、職員がこの3つの行動を無理なく続けるための土台と言えるかもしれません。安心して長く働けるからこそ、挑戦もできる。綾瀬市役所の働き方は、そういう順番で設計されています。
編集後記
今回の記事は取材ではなく、綾瀬市が公表している資料だけをもとに書きました。数字を並べていて印象に残ったのは、年次休暇の平均取得12.9日という、決して「見せたい数字」ではないものも、市がそのまま公表していることです。
男性の育休取得率54.5%、夏季休暇669人。良い数字と、まだこれからの数字が同じ資料に並んでいる。その率直さは、以前取材した職員の方々が口をそろえて語った「人の温かさ」と、どこかつながっている気がします。
受験を考えている方は、この記事の数字を「自分ならどう働くか」を想像する材料にしていただければ幸いです。
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この記事は、綾瀬市が公表している職員制度・人事行政の運営状況・女性活躍推進法に基づく公表資料(2026年9月時点)をもとに、パブリックコネクト編集部が作成しています。
記載の内容・数値は各資料の公表時点のものです。
出典:綾瀬市「職員採用情報(職員制度)」/「人事行政の運営等の状況の公表(令和7年度)3 勤務時間その他の勤務条件」/「令和8年度女性活躍推進法第21条に基づく女性の職業選択に資する情報」/「職員採用情報(求める人材)」
この記事の官公庁・自治体
綾瀬市は都心へ約40km、横浜へ約20kmの首都圏域にあり、西に大山、丹沢連峰を望み遠く富士を仰ぐ相模野台地に位置しています。幾つかの中小河川が丘陵をぬうように流れ、緑豊かな自然環境に包まれています。
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