「相談」だけじゃない。上市町の社会福祉士が担う、暮らしと支援をつなぐしごと

上市町役場

2026/10/21

上市町は、剱岳のふもとに広がる町です。福祉課のある保健福祉総合センター(つるぎふれあい館)は、日帰り温泉「アルプスの湯」と同じ建物にあり、町民の健康と福祉の拠点になっています。

今回お話を伺ったのは、令和5年度に社会福祉士として入庁した職員です。上市町出身で、県外の大学で社会福祉を学び、地元に戻りました。現在は福祉課社会福祉班で、障害のある方への福祉サービスを担当しています。

 

中学の職業学習から、福祉職の公務員へ

――公務員をめざしたきっかけを教えてください。

中学校の職業について学ぶ授業で、安定した仕事として公務員に興味を持ったのが最初です。どの職種にも進めるように、高校は普通科を選びました。

――福祉の道を選ばれたのは、いつごろだったのでしょうか。

高校2年生のころです。進路を調べるなかで、公務員には行政職のほかに福祉職があると知りました。祖父母にとてもお世話になってきたので、高齢の方を支える仕事で恩返しがしたいと思い、社会福祉士の資格が取れる大学の福祉学部に進みました。

大学生活の多くはコロナ禍と重なり、授業や実習はオンラインが中心になりました。それでも3年生のときに市役所での実習に参加でき、行政で働く福祉職への思いが強くなりました。

社会福祉士は、支援を必要とする方と関係機関のあいだに立って調整する「橋渡し役」です。支援の対象は、高齢の方や障害のある方をはじめ、引きこもりなど社会とのつながりに困りごとを抱える方まで幅広くいます。障害福祉サービスの支給決定のように、行政にしかできない仕事もあり、困っている方を行政の立場から支えたいと、あらためて思いました。

試験と資格、そして「1名募集」のチャンス

行政の福祉職として採用されるには、社会福祉士の国家資格が必要です。国家試験は4年生の2月、合格発表は3月です。内定が出ていても、合格できなければ社会福祉士としては入庁できません。

――上市町を受験されたときの状況を教えてください。

社会福祉士の募集は毎年あるわけではありません。数年ようすを見ていたなかで、ちょうど私の卒業のタイミングで募集がありました。採用は1名だったので不安もありましたが、これはチャンスだと思って応募しました。

令和6年4月には、上市町に「こども家庭センター」が設置され、社会福祉士が活躍できる場が広がる時期でもありました。

――県外の大学から、上市町に戻ると決めていたのでしょうか。

最初から戻るつもりで県外に出ていました。旅行が好きでいろいろな場所に行きますが、上市町に帰ってくると一番落ち着きます。自然があって、家族がいることが大きいですね。

自宅から職場までは車ですぐの距離です。仕事終わりには、地元に残っている友人たちと集まって話すのが楽しみのひとつだそうです。家に帰れば、社会人になってから迎えた保護猫たちが待っています。

福祉課のしごと|障害福祉サービスの窓口として、関係機関をつなぐ

――入庁後の配属と担当業務を教えてください。

入庁からずっと福祉課の社会福祉班にいます。1年目は高齢者福祉の事務を担当し、障害担当の前任者と一緒に仕事を覚えながら、2年目から障害担当になりました。今は主に大人の方の障害福祉サービスを担当しています。

上市町では、社会福祉士の配属先として、社会福祉班(高齢・障害担当)、地域包括支援センター、令和6年4月に設置した「こども家庭センター」などがあります。上市町は社会福祉士が関われる分野の幅が広いのが特徴です。福祉課は本庁舎とは別の保健福祉総合センターにあり、同じ建物には社会福祉協議会も入っています。

――1か月や1年のなかで、どのような流れで仕事をされていますか。

毎月、福祉サービスの更新を迎える方へのご案内や、新しく利用を希望される方への対応があります。サービス事業所への支払いにかかわる請求事務も毎月あり、決められたスケジュールに沿って進めています。新しく利用を希望される方が続くと、なかなか大変な時期もあります。

障害の程度に応じて必要な支援の度合いを決める「障害支援区分」の審査会もあります。区分の更新は3年に1回なので、更新の方がいる月に合わせて、毎月第2木曜日に開いています。日程は前年の秋ごろに決めて審査員の方にお伝えしており、多い年で年8回ほどです。私が書類や調査をまとめ、医師などの審査員の方に審査していただく流れです。区分によって使えるサービスの量が変わるので、大切な役割だと感じています。

――窓口に来られる方以外にも、関わる方は多いのでしょうか。

想像していた以上に多いです。仕事の半分ほどは、医療機関、ほかの市町村、サービス事業所、相談支援専門員といった関係機関とのやりとりです。障害のある方には、高齢の方のケアマネジャーのような相談支援専門員がつくので、密に連絡を取りながら支援を進めています。町内のかみいち総合病院とも連携しながら、支援の方向性を決めています。

ある日のしごと|訪問・面談とデスクワーク

――よくある1日の流れを教えてください。

午前中は訪問、午後は面談や会議が多いです。たとえば10時から11時に訪問、14時から15時半ごろに会議といった流れです。多い日は1日3件ほど外に出ますが、1日中デスクワークの日もあります。

面談や会議の場所は、病院やご自宅、福祉課の相談室、利用している事業所などさまざまです。相談は電話や窓口でも受けています。初めてのご相談は、まずご本人と私の2者面談で困りごとを伺います。サービスにつなぐ段階では、ご家族や相談支援専門員なども集まって話し合います。こうした会議は月に5〜10回ほどあります。

デスクワークも多く、システムごとに2〜3台のパソコンを使い分けています。審査会用のソフトと請求事務の端末が別なので、頭を切り替えながら進めています。

一人で抱え込まない|相談できる職場の環境

――大人の障害福祉サービスを主に一人で担当されていると伺いました。困ったときは、どなたに相談されていますか。

障害担当は3人いて、障害児の担当や、以前に障害担当を経験した職員が身近にいます。班のリーダーや前任者にも相談しながら進められるので、とても働きやすい環境だと思っています。ほかの市町村の担当者とは、県内の会議や電話でやり方を共有しあっています。個人情報は伏せたうえで、どのように支援を進めたらよいかを一緒に考えてもらうこともあります。

――入庁直後と比べて、働き方に変化はありましたか。

最初のころは定時に帰れない日もありました。1年やると流れがつかめて、2年目に振り返り、3年目でそれを実行できているように思います。前任の方が長く担当されていたので、業務の時期はある程度決まっていました。そのなかで作業の時期を自分なりにずらすなど工夫して、今は残業もかなり減りました。

入庁前とのギャップ|大きなお金を預かる責任

――入庁前に想像していた仕事と、違いはありましたか。

相談が中心だと思っていたので、お金を扱う仕事の大きさには驚きました。自治体から事業所への支払いにかかわるので、大きな金額が動きます。その審査を担う責任は感じていますが、上司と共有しながら対応しています。入ってみて初めて知った仕事でした。

――大変だと感じるのは、どのような場面でしょうか。

精神障害をお持ちの方への対応は、一人では難しいと感じる場面がありました。そうしたときこそ、関係機関と一緒に考えることが大切だと思っています。

――それでも、仕事の支えになっているのは何でしょうか。

支援が入ることで、その方が自分らしく生活できるようになっていきます。その姿が見えると、やりがいを感じます。支援を必要とする方は増えているので、住み慣れた上市町で、少しでも暮らしやすく過ごしてほしいと思っています。

大切にしていること|座る位置まで考える、寄り添い方

――仕事のなかで大切にされていることを教えてください。

笑顔でいること、声の大きさ、座る位置です。向かい合って座ると圧迫感を覚える方もいるので、横向きに座ることもあります。大学で学んだことを生かして、相手の目線にも気を配っています。

来ていただくのを待つだけでなく、来られない方にはこちらから訪問しています。その方に合った支援の方法を、毎回考えています。

これから|子ども・高齢の分野でも「橋渡し」を

――今後、挑戦してみたいことはありますか。

障害の分野をほぼ3年担当してきたので、今後は子どもや高齢の分野にも携わってみたいです。分野が変われば、支援の方法も関係機関も変わります。どの分野でも、支援の橋渡しができたらと思っています。

――その思いの原点は、どこにあるのでしょうか。

大学で、生きづらさを抱えながら暮らしている方が多くいることを学びました。人生は一度きりです。せっかく上市町で暮らしているのなら、支援を受けながら、その人らしく生活してほしいと思っています。

社会福祉士をめざす方へ

――最後に、行政の社会福祉士を検討されている方へメッセージをお願いします。

行政の社会福祉士は、入ってみるまでどの分野に配属されるかわかりません。でも、分野ごとに支援の方向性が違い、さまざまな学びがあります。それが自分の成長にもつながると感じています。

上市町で、支援をつなぐ仕事をしてみませんか

相談に乗るだけでなく、制度を動かし、関係機関とつながりながら、町民一人ひとりの暮らしを支えることが、上市町の社会福祉士の仕事です。

剱岳のふもとの町で、一緒に「支援の橋渡し」をしてみませんか。みなさんの応募をお待ちしています。

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上市町は、富山県東部に位置し、剱岳を望む豊かな自然環境と、歴史・文化資源に恵まれた町です。清らかな水と緑に育まれた美しい景観の中で、地域の伝統や産業、人々の暮らしが大切に受け継がれています。自然と都市機能が調和した住みよい環境のもと、町民一人ひとりが安心して暮らし、訪れる人にも魅力を感じていただけるまちづくりを進めています。

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