「間が空いても、本音で話してほしい」浦添市役所の面接官・仲本総務部長が明かす、面接で見ているところ
浦添市役所
「間が空いたとしても、しっかりと面接官の話を聞いて、自分の中で消化して、本音で話しているか。正解・不正解ではなく、ちゃんと自分の思っていることを口に出して言える人を、僕は集中して見ています」
そう語るのは、浦添市役所で総務部長を務める仲本さん。
平成5年に入庁して30年余り。採用担当の人事係長を経て、課長、部長と立場を変えながら、通算10年ほど採用面接の面接官を務めてきました。
今回は、これから浦添市役所の面接に臨む方に向けて、面接の流れや雰囲気、面接官が見ているポイント、入庁後の育成について、たっぷりとお話を伺いました。
- 「住み慣れたまち」で受けた試験。1次の点数を持ち越さない「人物重視」の採用
- 面接は2回、面接官は計6名。あえて『殺風景』な部屋で行うワケ
- 勝負は後半から。見ているのは「本音」と「ほかの面接官が質問しているときの姿」
- 最初の10年でいろいろな仕事を。新人を孤立させない職場づくり
「住み慣れたまち」で受けた試験。1次の点数を持ち越さない「人物重視」の採用
ーまずは仲本さんご自身のことから伺います。浦添市役所を選んだ理由は何だったのでしょう。
仲本:出身は旧具志川市、今のうるま市です。大学在学中は浦添市に住んでいて、住み慣れたまちだなという思いがあり、ちょうど採用試験があったので受験しました。当時は受験者100名ほどに対して採用は2、3名という時代で、自分が受かるとはあまり想像できませんでした。面接では、とても緊張したのを覚えています。
ー仲本さんも市外のご出身ですね。「その市の出身でないと受からないのでは」と心配する受験者もいらっしゃるようですが。
仲本:市外出身の職員は比較的多いですよ。僕の肌感では、半分ほどは市外出身じゃないでしょうか。那覇市に比べて交通渋滞や駐車場の問題が少ないことや、インテリジェントビルとして建てられた庁舎に惹かれて、市外からもたくさん応募してくれているのかなと思います。
ー30年以上勤めてきて、職員になってよかったと感じるのはどんなときですか?
仲本:いい同僚と、すばらしい上司に恵まれたことです。4年ほどかけて取り組んだ幼保一元化のような大きな仕事も、僕1人の力ではとてもできません。部下や副市長をはじめとする上司と、チームで同じ方向に進めたことは貴重な経験でした。役所の仕事は、スタンドプレーでは行き詰まります。
ーこれからの浦添市には、どんな職員が必要だと考えていますか?
仲本:本市はこれから10年から15年で、初めて人口減少を経験します。そうしたなかで必要なのは、自ら学び、考え続け、その学びを同僚や後輩と共有して、ともにつくっていける人です。その大前提にあるのが良好な人間関係。得意・不得意に関わらず、仕事のためにどういう人間関係をつくるかを考えられる人が、まず必要だと思っています。
ーそうした考え方は、採用試験にも表れているのでしょうか。
仲本:はい。ひと言でいうと、本市は人物重視です。1次試験では一般教養や専門試験などの学力試験を行いますが、その点数は2次試験に持ち越しません。1次合格者には1位の方も20位の方もいますが、2次試験では面接や小論文などのトータルで評価します。一定の学力があって1次試験を通れば、あとは、その人がどれだけ市役所のために働く決意があるのかを見るということです。
ー2次試験からは横一線のスタートということですね。
仲本:役所の仕事には、一定の学力や教養は最低限必要です。でも、それが高い人がイコール職員に向いているわけではありません。チームとして成果を生み出せるか、周りと価値観を共有して新しいプロジェクトをつくっていけるか。それはIQではなく、今でいうEQ的なところで、そこにこそ重きを置くべきだと僕は考えています。

面接は2回、面接官は計6名。あえて『殺風景』な部屋で行うワケ
ーここからは採用面接について伺います。面接は、どのような形式で行われるのでしょうか。
仲本:基本は、面接官3名で受験者1人、25分から30分弱ほどです。1次合格者が多い場合は、受験者2〜3名を30分から40分ほどかけて面接します。いちばん多くて3対3ですね。面接は2回あり、2回目は面接官を入れ替えるので、合計6名の面接官がお会いすることになります。
ー入室してからの流れを教えてください。
仲本:まず30秒から1分ほど、リラックスしてもらうための他愛もない話をします。そのあと志望動機から始まり、いろいろなことを聞きながら、僕としては後半で少し掘り下げるよう心がけています。
ー会場はどんな雰囲気ですか?
仲本:基本的に殺風景です。植栽やモニターなどは一切置かず、机と椅子だけ。職員課にもそうするよう伝えています。飾り物があったり、後ろに風景が見えたりすると、受験者の気持ちがそちらに向いてしまう。雑念が入らないよう、必要最小限のものだけを置いています。

勝負は後半から。見ているのは「本音」と「ほかの面接官が質問しているときの姿」
ー面接でいちばん大事に見ていることは何ですか?
仲本:受け答えのレスポンスがいいことを、よい評価と捉えがちだと思いますが、僕は違います。間が空いたとしても、しっかりと面接官の話を聞いて、自分の中で消化して、本音で話しているか。それが分かれば、正解・不正解は関係ありません。
もう1つは、3対1で行いますから、僕が質問しているときではなく、ほかの2名が質問しているときの様子や態度、振る舞いです。僕はむしろ、そちらを重視するよう心がけています。
ーほかの面接官が質問している間の姿も、見ているということですね。暗記してきた答えと自分の言葉は、見分けがつくものですか?
仲本:だから、後半なんですよ。後半勝負なんです。前半は、トレーニングされたありふれた定型の話をされるケースが多い。でも後半になるほど少しリラックスしてきて、自分の思っていることが出てきます。話し始めて5分、10分くらいが1つの勝負かなと。
逆に、後半になってもあまり型が崩れないと、本音を言いたくないのか、言い切れないのか、と個人的には少しマイナスに感じることもあります。
ー緊張していると、つい用意してきた答えにしがみついてしまいそうです。
仲本:もちろん、前半は緊張して当たり前だと思います。後半で「自分はこういう気持ちで役所を受験したんだ」「こういう思いがあるんだ」というところを、しっかり伝えきってほしいですね。
ーほかに、面接官に届けてほしいことはありますか?
仲本:これまでの人生経験の中で、こういう場面のときに自分はこういう気持ちだった、と言えることです。たとえば友人とのトラブルや思い出のエピソードを聞いたとき、僕は「そのとき、どんな気持ちでしたか」と聞きます。自分を俯瞰して、客観的に見て、あのときはこう考えていた、と言えるかを見ています。
ーなぜ「気持ち」を大切にしているのでしょう。
仲本:採用でいちばん大事なのは素直な人であること。そして素直な人が、自分を客観的に見たうえで、考えを伝えきれること。これに限ると思っています。社会に出ると、「自分はこう思っているんだけど」ということを、同僚や先輩、後輩に言えることが大切です。
思っていることを言わずにこもってしまうと、「あのとき言ってくれればよかったのに」と、取り返しのつかない事態になることもある。言わずに相手に期待して、うまくいかなかった、ということがない職員であってほしいと思っています。
ー志望動機では、どんな話が心に響きますか?
仲本:浦添市のいろいろなスポットに行って「こういうまちでした」と話す方は、けっこう多くいます。そのなかでいちばん感動したのは、自転車や自分の足で回って、「こういうところに魅力を感じました」と話してくれた方でした。車で回るのは誰でもできます。浦添市はコンパクトなまちなので、1日ほどかければ、かなりのところを歩いて見られます。
まちの特徴や特産物、観光のことは、インターネットで調べればいくらでも出てきます。それはあまり僕の心には響かなくて。調べたうえで実際に歩いてみて、こう感じました、という話には僕も根掘り葉掘り聞きますが、本当に歩いているなと分かると、この人は浦添市のことを本当に考えているんだなと感じます。
最初の10年でいろいろな仕事を。新人を孤立させない職場づくり
ー入庁後はどのようなキャリアになるのでしょうか。
仲本:基本的に3年から5年で異動があり、入庁から10年ほどは、いろいろな部署で活躍できるジェネラリストを育てる考え方で、職場を3〜4か所経験してもらいます。そのうえで次の人事では、自分のキャリアデザインを示せる仕組みにしています。
ー新人職員とは、どのように接していますか?
仲本:自分の部署に配属された新人とは、ゴールデンウィーク明けごろと、半年後の10月ごろに、フラットに話す場を設けています。いつでも話ができるよ、というメッセージを送りながら、孤立しないように心がけています。逆に、今の20代の考え方から学ばされることも多いですね。
ー最後に、これから面接を受ける方へメッセージをお願いします。
仲本:若い人たちは、無限大の可能性を持っていると思います。誰もが必ずいいものを持っているのだから、萎縮しないで、それを思う存分発揮してほしい。臆することなく、自分の信念を持って、得意なことに自信を持って、人生を動かしてほしいです。面接の場でも、そうした思いを話してくれれば、僕としてはうれしいです。
ー本日はありがとうございました。

取材中、仲本さんは何度も「定型の答えより、本音を聞きたい」と話してくれました。自身も緊張しながら面接を受け、市外から浦添市に入庁した一人です。面接官の席にいるのは、受験者の言葉にじっくり耳を傾けようとする人でした。うまく話そうとするより、自分の足で見たまちのこと、そのとき感じた気持ちを、自分の言葉で届けてみてください。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年10月取材)
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