趣味の釣りが導いた移住。有田町役場の土木職員が見つけた、意外な「自由」のかたち
有田町役場
「住めば都、ですよ」
そう語るのは、有田町役場建設課で土木職として働く、入庁3年目の浅野亮平さん。もともとは道路会社で10年以上、現場監督として働いてきたといいます。
今回は、そんな浅野さんに、現在の仕事内容や仕事のやりがい、そして有田町での働き方について、たっぷりとお話を伺いました。
- 想像以上に自由だった。ゼロからつくる道路づくりの仕事
- 予算とのせめぎ合い。自分で考えて事業を進める面白さ
- 残業はほぼゼロ。少人数だからこそのフラットな空気感
- 海も近く、買い物も便利。移住者が見つけた暮らしやすさ
釣りが繋いだ移住。知らない土地で見つけた、新しいキャリア
ーまずは、これまでのご経歴を教えていただけますか?
浅野:出身は千葉県の成田市です。大学は神奈川の大学に進学し、土木工学科でコンクリートや、橋梁のことを学んでいました。
ー卒業後は、どのような形で就職されたんですか?
浅野:東京で採用してもらって、全国展開している道路会社に就職しました。研修が終わってすぐ関西に配属になって、そこから10年間、道路のアスファルト舗装などの現場監督をしていました。
ー有田町を知ったきっかけは何だったんですか?
浅野:私、元々釣りが好きで。ヒラマサという魚が、他の地方ではなかなか釣れなくて、毎週のように佐賀の方に来ていたんです。
ーそこから実際に受験するまでには、どんな経緯があったんですか?
浅野:前職の会社を辞めたタイミングで、次の仕事がまだ決まっていなくて。前職の会社の事務員の方から「有田町役場で求人募集しているから受けてみたら」と言われたことがきっかけですね。
ー縁もゆかりもない土地に飛び込むことに、抵抗はなかったんですか?
浅野:特になかったですね。前の会社でも関西圏内でいろんなところに異動していたので、どこに行ってもそこまでこだわりはないんです。釣りという趣味との相性の良さも、有田町を選んだ理由の一つになりました。

想像以上に自由だった。ゼロからつくる道路づくりの仕事
ー現在はどのようなお仕事を担当されていますか?
浅野:新設の道路事業がメインです。国道から県道までの区間で、延長は約250メートルほどの新設に取り組んでいます。あわせて、建設課で管理している道路の維持修繕、橋梁の定期点検なども担当しています。
ー道路の新設や橋梁の定期点検は、どのような流れで進んでいくんですか?
浅野:まず地元説明会があって、そこから佐賀国道事務所や佐賀県庁と協議をして、設計や測量を済ませたうえで着工します。予算が一気にはつかないので、単年度ごとに少しずつ進めていく形ですね。橋梁については、国が定める5年に1回の定期点検を行っていて、判定結果が悪ければ補修工事につなげる、という流れですね。
ー入庁前後で感じたギャップはありましたか?
浅野:入庁する前は、簡易的な設計でもコンサルタント会社に委託してやるものなのかなと思っていました。でも実際は、自分たちで測量して図面を起こして、設計書を作って発注するというのを、簡易的なものであれば結構自分たちでやるんだなと思いましたね。
ー民間企業時代のお仕事と比べて、違いを感じましたか?
浅野:基本的には、自分で図面を起こすことはあまりなくて、公共工事なんかで出来上がったものに修正をかけることが多かったんです。だからこそ、ゼロから作るような仕事は新鮮でした。もっとガチガチに縛られているものかと思っていたので、意外に自由だなと思いましたね。

予算とのせめぎ合い。自分で考えて事業を進める面白さ
ーこれまでで印象に残っているお仕事はありますか?
浅野:今まさに担当している新設道路ですね。最初は他の先輩職員が担当していたんですが、その先輩職員が異動となり、私が引き継ぐことになりました。地権者の方から土地を譲っていただくことになるのですが、後々ご不満を感じさせてしまわないよう、工事に入る前には必ずご連絡をして、内容をご確認いただきながら進めるようにしています。
ー事業を進めるうえで難しさを感じることはありますか?
浅野:予算ですね。来年度・再来年度から逆算して、ここをやるならどれぐらいの予算が必要だ、というのを計算していくんですが、要望額に対して100パーセント予算がつくわけではないので、修正や工程のずれが出てきます。こういった部分はすごく難しいと感じます。
ー浅野さんが感じる、この仕事のやりがいはどんなところにありますか?
浅野:魅力は、自分で考えて事業を進められるところですかね。もちろん上司の了承を得る必要はあるのですが、来年はこれくらい予算を要望したいと考えて、確認してもらって、おかしくなければそれで進める。上司もちゃんと確認してくれて、こちらの意図も汲んでくれるんです。そういうところが面白いなと思いますね。
ー事業の進め方や優先順位は、どのように決めていくんですか?
浅野:しっかりと根拠を示せる資料を作れば、頭ごなしに否定されることはありません。根拠をもって具体的にお伝えすれば、基本的にはこちらの進め方で通していただけますね。優先順位については、先輩職員に随時相談しながら決めるようにしています。

残業はほぼゼロ。少人数だからこそのフラットな空気感
ー残業はどのくらいあるんですか?
浅野:残業は、災害対応など緊急性の高い業務がなければほとんどしていません。有給休暇についても、好きな時に取れる雰囲気です。部署内もみんな同じような意識かと思います。
ー建設課や役場全体の人数は、どのくらいいらっしゃいますか?
浅野:建設課は10人体制で、技術職は役職者を含めて4名です。役場全体でも150人ほどなので、他の部署の人ともよく話す機会がありますね。
ー少人数の職場だからこその雰囲気はありますか?
浅野:たわいない話の中でも相談しやすい雰囲気なんです。抱え込むぐらいなら言った方が楽ですし、それが仕事の話でも言いやすいですね。
ー民間企業と比べて、人間関係の面で感じる違いはありますか?
浅野:民間企業だと出世したい人もいますが、公務員という立場だからこそ、みんなガツガツした感じじゃなくて、フラットに接せられるんです。最初は私もよそ者として警戒されたのでは、と思いますが、話してみたら皆さん感じ良く接してくれました。

海も近く、買い物も便利。移住者が見つけた暮らしやすさ
ー現在、有田町内にお住まいでしょうか?
浅野:はい、町内に住んでいます。スーパーやコンビニが意外に多くて、不便は私自身は感じないですね。隣の佐世保市にも行きやすいですし、釣り好きとしては唐津市にも行きやすいので、その面でも便利です。
ー知らない土地にもすんなり馴染めるコツのようなものはあるんですか?
浅野:高校時代は野球部で寮生活をしていましたし、社会人になってからも関西で転勤を重ねてきたので、知らない土地に行くことに慣れているんです。だから、住めば都ですよ。
ー最後に、読者へメッセージをお願いします。
浅野:今の時代、給与面を重視するのであれば、都市部にいくらでも仕事はあると思います。ただ、そうした環境に疲れてしまった方や、地元に残って働きたいという若い世代の方にとっては、有田町役場は魅力的な選択肢の一つになるのではないかと思いますので、ぜひ有田町役場で働くことを検討していただきたいです。

ー本日は、ありがとうございました。
釣りという一つの趣味が、縁もゆかりもなかった有田町への移住に浅野さんを導きました。自分で考え、根拠を持って事業を前に進めていく仕事の裁量、そして残業がほぼない働き方を通じて、公務員という選択肢の新しい一面を見せてもらった気がします。地権者との対話や予算のやりくりに悩みながらも「面白い」と語るその姿が、印象に残る取材でした。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年9月取材)
この記事の官公庁・自治体
有田町は佐賀県の西部に位置し長崎県との県境に接している人口約18,200人の町です。有田焼の産地であり、日本磁器発祥の地として国内外に広く知られています。一方で、「棚田」という特徴的な景観をもつ稲作地であり県下有数の畜産地でもあります。有田焼の「器」と農畜産業の「食」、両方の魅力を堪能できる町。私たちは自然と歴史・文化、この多彩で豊かな資源を活用した町づくりに取り組んでいます。
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