まちのインフラを守るヒーロー!!地面の下の水道管と向き合う、土木の仕事

宝達志水町役場

2026/10/29

「自分がいい加減なことをすれば、その分、汚れた水が皆さんのところに届いて、生活に困ってしまう。プレッシャーは毎日すごいですけど、それでも、役場の中でここまで住民生活に直結している仕事はないと思います」

そう語るのは、宝達志水町役場 地域整備課で水道を担当する、入庁4年目の前多さん。

金融関係の民間企業で7年間営業を経験したのち、30歳で地元・宝達志水町役場に入庁しました。環境安全課で防災・消防の仕事を3年間担当したあと、希望していた地域整備課へ異動。現在は、老朽化した水道管の更新工事の設計・発注・施工管理から、配水池の維持管理まで、町の水道を一人で担当しています。

今回は、土木技術職を目指す方に向けて、役場の水道工事の進め方や、まちのインフラを守る仕事の手ごたえについて、たっぷりとお話を伺いました。

 


金融の営業から、育ったまちの役場へ。30歳、受験年齢の上限での挑戦

ーまずは、入庁までの経歴を教えてください。

前多:出身は宝達志水町です。高校、大学ともに金沢市で、実家から通っていました。高校は工業高校の建築科、大学では語学を専攻しています。大学卒業後は金融関係の民間企業に7年ほど勤め、融資業務などを担当する、いわゆる外回りの営業をしていました。

 

ー建築、語学、そして金融。そこから役場へ転職したのはなぜですか。

前多:転職を考えていたタイミングで、当時の本町の採用試験は30歳までが対象でした。ちょうど30歳になる年だったので、試しに受けてみようと。もともと道路や宅地造成のようなインフラの仕事にはわりと興味があって、役場に入ってそういう仕事ができたら面白いだろうなとは思っていました。

 

ー受験したのは宝達志水町だけだったそうですね。

前多:はい。家を建てるなら宝達志水町に、と決めていたので、ほかの自治体を受ける選択肢はありませんでした。行政の仕事は、そのまちをよくすることだと思っています。自分を育ててもらったまちで何かできたらいいな、という思いがありました。

 

防災・消防の仕事で出会った「設計」と「発注」。毎年書き続けた異動希望

ー入庁後、最初の配属はどちらでしたか。

前多:環境安全課の危機管理の担当で、3年間、防災と消防の仕事をしていました。主に受け持っていたのは消防で、町の消防団の事務局として、訓練計画づくりや、防火水槽・消火栓といった設備の維持管理を担当しました。消防団の役員の方や消防署の職員との調整も多かったのですが、人と話すのが好きなので、役員の方にはずいぶんかわいがってもらいました。

 

ーその後、地域整備課へ異動されたんですね。

前多:実は、年に1回の希望調査で、毎年「地域整備課に行きたい」と書いていました。環境安全課でも、小規模な設計や工事の発注をする機会があって、それがすごく面白くて。設計や発注に強くなりたい、それを一番学べるのは地域整備課だと思っていました。今年の4月に異動になったので、まさに願ったりかなったりです。

設計、発注、施工管理、完成検査。一つの工事に最初から最後まで関わる

ー地域整備課では、どんな仕事を担当されているのですか。 

前多:課は課長を含めて15人ほどで、私は水道の担当です。水道工事の設計・発注・施工管理と、配水池などの水道施設の維持管理を、1人で担当しています。

 

ー水道工事というと、どのような工事が中心でしょう。

前多:メインは、老朽化した水道管の更新です。古くなった管は漏水が起きやすく、能登半島地震のような大きな地震が来ると、管が抜けて水が漏れることもあります。軽微な漏水なら順次直していけばいいのですが、町の人に水が届かない状況になれば一大事です。そうならないよう、今年度はこのエリア、来年度はこのエリアと計画を立てて、管を順次更新しています。

 

ー工事は、まず何から始まるのですか。

前多:まずは設計です。このエリアの水道管を何メートル更新するか、どんな種類の管を使うかを決めて、設計書にまとめていきます。小規模な工事は職員で設計していて、私も隣の席の先輩に教わりながら設計書をつくっています。一方で、規模の大きな工事は専門的な部分が多いので、コンサルタントに設計を委託することが多いですね。

 

ーコンサルタントに設計を委託する場合、職員はどのように関わるのですか。

前多:設計そのものはコンサルタントにお願いしますが、工事を発注するのは町です。もし設計に誤りがあっても、「コンサルさんが間違えていたから」では済みません。上がってきた設計をそのまま発注に回すのではなく、職員が一つひとつ目を通して、間違いがないかを確認します。

そのチェックが終わって、初めて発注する流れです。委託する場合も、最終的な責任を持つのは町の職員だということは、いつも意識しています。

 

ー工事を発注したあとは、どのように関わるのでしょう。

前多:地域整備課では、発注した職員がそのまま工事の担当者になります。工事が動き出すと、現場に出ることが多くなりますね。現場に足を運んで進み具合を確認しますし、業者さんから「ここはどうしたらいいですか」と相談を受けることもよくあります。

 

ーどのような相談が多いのですか。

前多:水道管は地面に埋まっていて見えないので、業者さんも実際に掘ってみないと分からないことが多い。掘ってみたら、図面とまったく違うものが出てきたということもあります。そういうときは町としての判断が必要になるので、状況を確認して「町としてはこうしてほしい」と伝えます。業者さんとのコミュニケーションは本当に多いですね。

 

ー業者さんと一緒に、工事をつくり上げていく感覚ですね。

前多:そうですね。現場の方と話しながら、どう進めるのが一番いいかを決めていく。営業時代に人と話してきた経験は、ここでも生きていると思います。

 

ー工事が終わったあとは、どうなるのですか。

前多:業者さんから工事完了の連絡を受けたら、職員が現場に行って、設計どおり、仕様書どおりに工事ができているかを確認します。この完成検査に合格して、初めて工事代金のお支払いになります。設計から発注、施工管理、完成検査まで、一つの工事に最初から最後まで関われるのが、役場の土木の仕事だと思います。

塩素の調整から夜間の警報対応まで。暮らしの水を止めない施設管理

ー工事だけでなく、施設の管理も担当されているそうですね。 

前多:本町は地下水を水源にしています。くみ上げた水を消毒して、町民の皆さんに配っています。町には配水池が2か所あり、くみ上げから塩素の投入、配水までは機械で制御しています。ただ、水質がいつも安定しているわけではないので、塩素を測る機械で数値を見ながら、薬を入れる量を増やしたり減らしたりと調整しています。

 

ー施設に職員は常駐しているのですか。

前多:常駐はしていません。上下水道の担当には業務用の携帯電話が支給されていて、施設で異常が起きると警報が届きます。夜間や土日に対応したこともあります。水は生活から切り離せないので、「明日でいいか」とはいきません。

 

ー業務の幅がとても広いですね。1日はどんな流れなのでしょう。

前多:出勤して最初にするのは、遠方監視システムの確認です。地域整備課から、配水池の水量や水質を毎日確認できるようになっています。そこから先は、日によってまったく違いますね。

 

ー工事の現場がある日は、どのように過ごすのですか。

前多:半日ほど庁舎に戻れないので、午後に現場があれば、午前中のうちに書類の処理を進めておきます。午後は現場で進み具合を確認したり、業者さんと打ち合わせをしたり。工事が終わる時期には、完成検査で現場に出る日もあります。

 

ー現場に出ない日はいかがですか。

前多:ずっとデスクワークです。更新工事の設計書をつくったり、コンサルさんから上がってきた設計をチェックしたり、発注に向けた準備を進めたり。分からないところは、隣の先輩に聞きながら進めます。現場に出る日数は多くないですが、出ると拘束時間が長いので、デスクワークの日は集中して一気に片づける。そういうメリハリのある働き方です。

「分からないことだらけ」が楽しい。未経験から水道の仕事に挑む

ー水道の担当と聞いたとき、どう思いましたか。

前多:地域整備課を希望していたものの、イメージしていたのは道路や住宅関係で、水道は想像していなかったので、最初は戸惑いました。土木の仕事もまったく初めてで、異動して半年経った今も、分からないことだらけです。

 

ーそれでも前向きに取り組めているのは、なぜでしょう。

前多:隣の席に、水道の大ベテランの先輩がいます。前に出てくることはあまりなく、「前多、頑張れよ」という感じですが、聞けば大抵のことは分かる、すごい方です。その先輩の仕事を見ていると、専門的だけど、これが理解できたら面白いだろうなと思えます。教えてもらいながら、初めてそれらしい設計書ができたときはうれしかったですね。

 

ー転職して4年目。今、振り返ってどうですか。

前多:転職して良かったと思います。業務量は今のほうが多くて大変ですが、水道の仕事は楽しいです。知らなかったことが分かるようになったり、自分でできたと思えたりすると、うれしい。うれしいことが多い仕事かもしれません。

 

ー最後に、宝達志水町役場を目指す方へメッセージをお願いします。

前多:土木や水道などのインフラに興味があっても、「そういう学校を出ていないから」「経験がないから」と二の足を踏んでいる方もいると思います。私も今の課に来るまでは、知識もまったくありませんでした。でも、やる気と興味があれば、十分やっていけます。そういう仕事に興味のある方と、役場で一緒に仕事ができたらうれしいです。

 

ー本日はありがとうございました。

地面の下にあって、ふだんは目にすることのない水道管。けれど、蛇口をひねれば当たり前に水が出る毎日は、計画的に管を更新し、毎朝水量や水質を確かめ、夜間の警報にも対応する職員によって支えられています。設計から完成検査まで、一つの工事に最初から最後まで責任を持って関われるのは、町の土木職ならではの面白さ。土木を学んできた方なら、この現場で力を発揮できる場面はきっと多いはずです。暮らしにいちばん近いインフラを守る仕事に、ぜひ目を向けてみてください。

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年10月取材)

職員インタビュー

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宝達志水町は石川の真ん中、能登への入り口に位置しています。 宝達志水町で働く魅力 □“隠れた優等生”の町「宝達志水町」で働く  宝達志水町は県内で学力No.1、ふるさと納税No.1、地域活性化やデジタル化でも着実に成果を上げている「隠れた優等生」です。あなたの経験とアイデアが、この町を支えるヒーローの新たな力になります。 □「ちょうどいい」田舎暮らし  人口約1.1万人。金沢から約40分。金沢・七尾の両都市圏にアクセスが可能です。“ちょうどいい田舎暮らし”ができる環境が整っています。仕事と暮らしのバランスを大切にできます。 □変化を楽しめる職場環境  宝達志水町は、スピード感のある行政運営が特徴。職員一人ひとりの挑戦が結果に結びつきやすく、改善や新しい取組がすぐ形になります。まちづくりに直結する手応えを感じられます。 □豊かな自然と穏やかな人間関係  宝達山や千里浜に囲まれた自然豊かな環境で、世界農業遺産「能登の里山里海」を日常の中で体感できます。程よい温かさのコミュニティに支えられ、定住しやすい町です。 □暮らしやすく、安心できる町  治安の良さは県内トップクラス(火災、死亡事故、犯罪発生率が極めて少ない)。町民の平均所得は全国平均・県平均よりも高く、子供たちの学力は全国トップレベルです。

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