経験を重ねるほど寄り添える人が増えていく。 相模原市で広がる社会福祉職のキャリア
相模原市役所
南子育て支援センター
主任
S.Tさん
南子育て支援センターで主任を務めるTさん。2014年の入庁以来、子育て支援や生活支援、保育所の入所調整など、社会福祉職として幅広い業務を経験。部署の異動を重ね2026年4月、10年ぶりに再び、南子育て支援センターへ戻ってきました。
子どもからお年寄りまでさまざまな市民の悩みと向き合う中で、どのようなキャリアを歩まれたのでしょうか。これまでの歩みを振り返りながら、社会福祉職として働く面白さや、現在の仕事に活きる経験についてお話を伺いました。
- 「子どもの笑顔が見たい」 その想いから志した福祉の道
- 子育て支援から生活支援へ。異動で広がった視野
- 10年ぶりに戻ってきた原点で、これまでの経験を活かした子育て支援を
- 経験を次の世代へ。社会福祉職として目指すこれから
「子どもの笑顔が見たい」 その想いから志した福祉の道
ーーまず、子育て支援のお仕事を目指したきっかけを教えてください。
Tさん:中学3年生の頃、友人から「子どもを見るといつも笑顔になるよね」と言われたことがきっかけです。それまで自覚はなかったのですが、子どもの笑顔が好きなんだと気づきました。
高校生になり将来を意識するようになると、保健室の先生を目指そうと養護教諭の資格が取れる大学へ進学。しかし多様な学びを得るうちに、関心が学校の中だけでなく、「地域福祉」へと広がっていったんです。それから、市役所や病院などで働ける社会福祉士の資格を取得しました。
ーーそうした学びを経て、なぜ相模原市に就職を決めたのですか?
Tさん:自治体の仕事に興味を持ったのは、「より生活に近い場所で支援をしたい」という自分の思いに合っていた点です。窓口での相談応対だけでなく、必要に応じて保育園や自宅へと自ら足を運び、悩みを持つ方々とお話しできるところに魅力を感じました。
また、職員の育成方針として掲げていた「果敢に挑戦する」という言葉にも惹かれました。横浜や川崎など他の自治体も検討したのですが、相模原市役所なら社会福祉職としてさまざまな経験を積みながら、新しいことに挑戦できるのではと思ったんです。
子育て支援から生活支援へ。異動で広がった視野
ーー入庁後は、どのようなお仕事をされたのですか?
Tさん:最初に配属されたのは、南区にある南子育て支援センターでした。ここでは乳幼児のお子さんを持つ保護者との面接を担当しました。面接では主に発達に関する悩みが多く、「ことばが遅れていないか」「集団内での動きが気になる」といった相談を受けます。相談を受け、家庭や園での様子をパパやママと一緒に確認しながら、一人ひとりに合った支援を考えました。必要に応じて、療育施設や医療機関のご紹介や福祉サービスをご案内するのも業務の一つです。
ーーその中でも特に苦労したことはありますか?
Tさん:当時は初対面の人とお話しするのが本当に苦手で…。保護者との面接でも手が震えるくらい緊張していました。社会人経験もなく、もちろん子育て経験もない新人だったので、「自分の言葉には重みがないのでは」と悩むこともありました。
そんなとき、先輩たちから「あなたはあなたのままでいい」「自分では気づかないだけで、たくさんいいところがあるよ」と励ましてもらいました。私なりにできることもあると思えるようになると、少しずつ余裕も生まれました。3年目になる頃には雑談も交えながらパパやママ、お子さんと和やかに話せるようになっていましたね。
ーーその後は、子育て支援とは異なる仕事も経験されたんですね。
Tさん:はい。入庁4年目に生活支援課へ異動し、経済的な悩みを抱える方への支援を4年間ほど担当しました。家庭を訪問したり、入院している場合は病院で面会したり、一人ひとりの生活状況や健康状態を確認していく仕事です。
そこでは大学の保健学部で学んだ知識を活かして、病気との向き合い方についてお話することもありました。医学的な知識が必要なときには、看護師さんと一緒に訪問することもありましたね。
約100人規模の大きな部署だったので、何でも一人で抱え込む必要はないことも学びました。自分にない知識や経験を持つ先輩や同僚に相談することで、より適切な支援ができる。社会福祉職としての視野が大きく広がった時期だったと思います。
その後は、市内の別の子育て支援センターで5年間、保育所の入所調整を担当しました。保育所の入園は、各家庭状況に応じた総合点によって優先順位が決まるため、ご希望の園に入れない場合が多々あります。そんなときも、「ご自宅から少し遠いですがこちらの園はいかがでしょうか?」「希望園を追加したり、優先順位の変更もできますよ」など、選択肢をできる限り増やせるように具体策をお伝えするようにしていました。
ーーその中で、印象に残っている出来事はありますか?
Tさん:コロナ禍の最中に、北海道から引っ越してきた妊婦さんが窓口にいらっしゃったことがあります。ただでさえ先行きが見えない時期に近くに頼れる人もいない。とても不安そうだったので、少しでも安心していただけるように、子育てに関するさまざまな機関や制度をご案内しました。
すると面談後、「相模原市の職員さんがみんな優しくて嬉しかった」とお礼のお言葉をいただいたんです。特に嬉しかったのは、「職員さんがみんな」との言葉。自分たちの部署だけではなく、市役所のさまざまな職員がそれぞれの立場から寄り添い、支えていたことを知り、行政だからこそできる支援のつながりを改めて感じました。
10年ぶりに戻ってきた原点で、これまでの経験を活かした子育て支援を
ーー今年4月からは再び、南子育て支援センターで働いているそうですね。
Tさん:久しぶりなので不安もありますが、一方で「もう一度チャンスが来たのかな」とも思っています。10年前と同じ職場でも、自分自身は当時とは違います。生活支援や保育所の入所調整などを経験したことで、ようやく自分に自信がついてきたように感じています。
たとえば新人だった頃は、子育てに悩むパパやママにかける言葉が見つかりませんでした。自分が同じくらい頑張ってきていなければ、言葉に重みがないと思って尻込みしていたんです。今は経験を重ねてきたからこそ、以前よりも相手の気持ちを想像しながら言葉をかけられるようになったと思います。
ーーほかにも、これまでの経験が現在の支援に活きていると感じる場面はありますか?
Tさん:生活支援課では、相談者が抱える悩みや問題だけを見るのではなく、生活全体を俯瞰して見る大切さを学べたと感じています。また自分ひとりでは解決できないときには、専門職の仲間の力を借りてみようという選択肢も身につきました。保育所の入所調整では制度上すぐに希望を叶えられない場合でも、「それなら何ができるのか」を考えて別の選択肢を探す、柔軟性を磨きました。
今の子育て支援でもそうした経験を活かせる場面は多く、たとえば独力では解決が難しくても、「そのことについてなら、この人たちが知っていますよ」と専門機関や担当部署につなぐことができます。相談に対する答えを返すだけではなく、その方が本当に必要とする支援へつなぐ。本質的な支援まで考えられるようになったのは、さまざまな部署を経験したからだと思います。
ーー保護者の方と接するうえで、大切にしていることはありますか?
Tさん:「経験」と「慣れ」を混同しないことです。私にとっては何百回目の面接でも、相談に来るパパやママにとっては初めてのことです。どれだけ経験を重ねても、その意識はこれからも変わらず持ち続けたいと思っています。
また、今では周りの友人たちもライフステージが代わり、子育ての悩みを聞く機会が増えました。そうしたプライベートで聞いた話をもとに、「こういう悩みを抱えているお母さんって、他にもいますよ」とお話しすることもできるように。公私で得たものがこの仕事には活きると学んだので、これからも一人ひとりに合った寄り添い方を考えていきたいですね。
経験を次の世代へ。社会福祉職として目指すこれから
ーー今後はどのようなことに取り組んでいきたいですか?
Tさん:これからは自分が得た知見を後輩たちにも伝えていきたいです。今年からは人材育成にも関わることになり、社会福祉職向けの研修の運営に携わるようになりました。福祉系の大学生の実習の指導にも取り組んでいます。業務内容をただ教えるだけではなく、「大変なところもあるけれど、こんな面白さがあるよ」と、自分が生身で感じてきたことまで、まっすぐ伝えたいと思っています。
ーー最後に、これから相模原市で働く方に伝えたいことはありますか。
Tさん:現場では自分一人では答えを出せない場面がたくさんあります。でも、仲間の力を借りるのは悪いことではありません。私自身、先輩に励ましてもらい、専門知識を持つ同僚に協力してもらいながら、できることを増やしてきました。だから後輩にも「一人で抱え込まないで」と伝えたいですね。相模原市で暮らすパパやママにも同じようなことを願います。「決して一人じゃないです」と。市民の生活を支えるのが私たちの仕事ですから、いつでも相談してくださいと。どんなときも身近に感じてもらえる存在になれるよう、これからも支援を続けていきたいと思っています。
ーー本日はありがとうございました。
子育て支援から生活支援、保育所の入所調整まで、さまざまな現場で一人ひとりの暮らしと向き合ってきたTさん。その経験は10年ぶりに戻った原点でより大きな力へと変わり、豊かな支援へとつながっています。
社会福祉職として専門性を深めながらも、異動があることで視野を広げていけることも、市役所で働く魅力の一つなのだと感じました。
この記事の官公庁・自治体
相模原市は、神奈川県北部に位置する人口約72万人の政令指定都市です。 面積は328.91k㎡で、神奈川県では横浜市に次いで2番目の広さです。 市街地には快適な日常生活に必要な都市機能が充実し、中山間地域には山や川、5つのダム湖など豊かな自然に恵まれています。 市内には6つの鉄道路線のほか、中央自動車道、圏央道のインターチェンジが3か所あるなど、交通アクセスに便利です。 また、相模原駅北口地区やリニア中央新幹線の駅設置を見据えた橋本駅周辺地区では、新たなまちづくりが予定されているなど、ポテンシャルにあふれています。 令和3年4月には、自治体初となる「さがみはらみんなのシビックプライド条例」を制定し、令和5年3月策定の「さがみはらみんなのシビックプライド向上計画」では、市のアピールポイントとして、「子育てしやすいまち」、「都市と自然のベストミックス」、「宇宙を身近に感じられるまち」、「スポーツに親しめるまち」を掲げています。
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