「“まち”が変わる」瞬間に立ち会う。ゼネコンから袋井市役所へ、土木技術職のリアルなキャリア

袋井市役所

2026/08/26

今回お話を伺ったのは、袋井市役所土木防災課で治水対策を担当する岡田さん。2011年度の入庁から15年が経過し、区画整理、道路整備、静岡県への出向を経て、現在の部署にたどり着きました。

前職はゼネコンの現場監督。国内はもちろん、当時はアジアへの転勤の可能性もある働き方の中で、ものづくりに携わってきたとのことです。

ライフステージの変化をきっかけに、公務員という働き方を選んだ岡田さん。ゼネコン時代に培った「ものづくり」への想いは、作る側から「発注する側」へと立場が変わった今も、形を変えて息づいているようです。

田んぼだった場所が住宅地に変わっていく、「“まち”が一つできる」瞬間に立ち会った区画整理の記憶。そして、民間企業と自治体、それぞれの土木技術職で感じたリアルな違いについて、たっぷりと伺いました。

 


「治水対策」という土木技術職のフィールド

ーまずは現在の所属と、具体的なお仕事の内容を教えてください。

 

岡田:現在は都市建設部土木防災課で、治水対策の仕事をしています。具体的には、河川の整備や、雨が降ったときに水があふれて浸水被害が出てしまうことを防ぐための対策を担当しています。

 

水をためておくための調整池を掘ったり、そこにたまった水を排水するためのポンプ場を整備したりする業務です。

ーそれらの工事は、あらかじめ立てられている計画に沿って進めていくものなのでしょうか。

 

岡田:そうですね。河川整備の計画や、ポンプ場整備の計画がすでにありますので、それをもとに工事を進めていく形になります。

 

ー同じ土木の仕事でも、道路や河川ではやはり業務内容が大きく変わってくるものですか?

 

岡田:確かに河川と道路とでは、同じ土木とは言ってもまったく異なる分野なので、現在の部署に異動した当初は、正直何もわからない状態からのスタートでした。

 

ー現在の治水対策を担当されるようになって、どれくらい経つのですか?

 

岡田:大体5年くらいになりますね。異動したばかりの頃は本当に大変でしたが、少しずつ知識が増えて、自分で勉強しながら覚えていくこと自体は楽しい部分でもあります。

 

転勤続きのゼネコン時代。ライフステージの変化をきっかけに公務員へ

ー袋井市役所に入庁するまでのキャリアについて、自己紹介を兼ねて教えていただけますか?

 

岡田:大学まではずっと九州で過ごしていました。大学卒業後、ゼネコンに就職して、主に現場監督を3年ほど経験しています。その後、結婚を機に静岡県に来ることになり、袋井市役所に入庁しました。

 

ーゼネコン時代はどのような働き方をされていたのでしょうか?

 

岡田:当時は休みが基本的に日曜日しかありませんでした。朝も早く、夜は毎日遅くまで残業があるような働き方でした。国内はもちろん、当時はアジアへの転勤もある会社でしたので、やりがいは大きいものの、働き方としてはとてもハードでしたね。

 

ーやりがいも大きかったとのことですが、転職を考えるようになったきっかけは何だったのでしょうか?

 

岡田:結婚をしたことが大きな転機となりました。もともと転勤が多いということに課題感を感じていたのですが、結婚をしたことで明確に「働き方を変えよう」と思いました。

 

将来子どもができたときに、各地を転々とする働き方は避けたかったですし、やはり家族と過ごす時間を確保したいという想いが強かったですね。

 

ー転職先として、公務員を一番に考えられていたのでしょうか?

 

岡田:そうですね。基本的には公務員一本で考えていました。家族との時間を大切にする上で、土日祝日が休みだということが自分にとって一番良い条件だと思っていましたし、転勤がないという点も魅力に感じていました。

 

ー数ある自治体の中でも、袋井市を選ばれたのにはどんな事情があったのでしょうか。

 

岡田:結婚後は掛川市に住んでいたのですが、私が転職活動をしているときには土木技術職の募集がなく、通勤圏として候補にあがったのが袋井市でした。

 

元々袋井市のことに詳しかったわけではなかったので、タイミングも含めて縁あって袋井市にたどり着いたという感じですね。

 

「作る側」から「発注する側」へ。民間と自治体、土木技術職の違い

ー実際に袋井市役所で土木技術職として働いてみて、民間時代の仕事との一番の違いはどんなところに感じましたか?

 

岡田:現場で動くということが、ゼネコンではメインだったのに対して、市役所ではどちらかというと工事を発注する側、予算の中でどう工事を進めるかを考える立場になります。

 

そこが一番大きく違うところだと感じています。

 

ー当時イメージしていた「市役所」の働き方について、ギャップのようなものはありましたか?

 

岡田:市民のための仕事だという認識は持っていたのですが、思っていた以上に市民対応が大切なんだということを改めて感じましたね。

 

工事をただ発注していればいいというわけではなく、市民の方から頂くさまざまな要望に配慮しつつ、しかも、限られた予算の中で進めていく必要があるんです。

 

ー予算という制約の中で、要望すべてに応えられるわけではない、というジレンマもありそうですね。

 

岡田:そうですね。全部の要望に応えてあげられれば一番良いのですが、予算もありますのでそうもいかず、優先順位をつけてやっていくというところも、自治体職員として大変なところだと感じています。

 

ーこの辺りの考え方は、前職の頃とは異なるのでしょうか?

 

岡田:ゼネコンの頃は予算も目的もすでに決まっているので、いかにコストを抑えて早く完成させるか、という視点が求められていましたね。

 

予算に関しても、前職ではある程度大きく決められていたため、内部調整がしやすかったのですが、市役所では金額の根拠も明確に示さないといけないため、正直やりくりが難しいなと感じる部分もあります。

ー公務員というと「決まった業務」というイメージもありますが、実際に働いてみていかがでしたか?

 

岡田:大きなレールというか、手続きの流れ自体はもう決まっているのですが、実際に細かいところをどう進めていくかは、ある程度自由度があると思います。

 

民間では決まった仕事が降りてくるのに対して、市役所では何をやるかをまずは自分たちで決めてから業務が進んでいく形になるので、そこは全然違うところだと感じています。

 

田んぼが住宅地に。「“まち”が変わる」瞬間に立ち会って

ー入庁されてから、これまでどのような部署を経験されてきたのですか。

 

岡田:入った当初は区画整理に携わる部署にいて、その後は道路を作る部署に異動しました。さらにその後、静岡県に交流職員として2年ほど出向し、戻ってきてからは今の治水対策の部署に配属されています。

 

ーこれまで経験された中で、印象に残っている業務などはありますか?

 

岡田:一番よく覚えているのは区画整理ですね。区画整理は、それこそ“まち”を一つ作るような仕事なので、行政の立場で土木をやっているんだという実感が一番感じられるかもしれません。

 

最初自分が担当した事業では、もともと田んぼだった場所が、最後は住宅が並ぶ住宅地になったんです。今思えばすごく楽しかったですし、やりがいも大きかったですね。

ー転職前、こうしたまちづくりのような仕事にも携わることも想定したのですか?

 

岡田:実はまったく想定していませんでした。住宅地を作るのは民間の仕事だと思っていたので、計画からまちづくりまで行うということ自体、配属されてから初めて知りました。

 

ー現在の治水対策の仕事についてはいかがですか?

 

岡田:そうですね。今の治水対策では、雨水ポンプ場や遊水池の整備といった大きなプロジェクトに携わることができています。こういった分野の工事についても、民間で働いていたら経験できなかっただろうなと思う部分でもあるので、自分にとってすごく良い経験になっていると感じています。

 

ーゼネコン時代と比較して、土木技術職としての「やりがい」にも変化はありましたか?

 

岡田:地域に密着して働いていることから、自分が携わった現場に行くたびに、当時のことを思い出せるというのはいいなと思います。

 

楽しかったこと、大変だったこと、いろいろ思い返せますし、そこに形として成果物が残っているというのは土木技術職としてやりがいを感じると思います。ゼネコンにいた頃は、自分が携わった現場の近くに住んでいるわけではなかったので、自分が手がけた工事の現状を見る機会はあまりありませんでした。そこが大きな違いですね。

 

これから袋井で働く人へ

ー袋井市役所では、入庁後のフォロー体制はどのようになっているのでしょうか?

 

岡田:せっかく入ってきてくれた方が、仕事への不安やストレスによってすぐに離脱してしまうようなことは絶対に避けたいと思っていますので、組織としてフォローはしっかりしたいと思っていますし、袋井市はそれができる環境にあると思います。

 

現場経験の有無に関わらず、入ってきていきなり一人で業務を任せるようなことはなく、我々先輩職員がサポートしながら、少しずつ一緒に進めていくというイメージです。

 

そんな新しく入ってきてくれた方が、少しずつできることが増えて、例えば1人で工事の設計から入札、現場調整、完了検査までひと通りできるようになったりすると、こちらも嬉しくなりますね。そこも仕事のやりがいに繋がっている部分です。

ー袋井市役所を目指す方に、岡田さんからアドバイスをいただけますでしょうか!

 

岡田:実際に自分の体を動かして測量をしたり、自分で地面を掘ったり、コンクリートを打ったりと、ものづくりに「直接」携わりたいということであれば、ゼネコンのような民間の工事会社に行くことも素敵な選択になると思います。

 

一方で、こういうまちづくりをしたい、ここにこんな道路を作りたいといった計画を地域と一緒になって考え、完成後の姿も見守りたいのであれば、市役所での業務は大きなやりがいを感じることができます。

 

今、袋井市では袋井駅南地区のまちづくりを進めています。駅南の景色を大きく変える、土木技術職としてはとても魅力的な業務に携わるチャンスもありますので、少しでも興味のある方には、是非受験していただければと思います。

 

ー本日はありがとうございました。

 

インタビューの中で何度も語られた「“まち”が一つできる」という言葉。ゼネコン時代、現場で実際に手を動かしてものを作っていた岡田さんが、市役所で「発注する側」「計画する側」という立場に変わっても、大切にしているのは「ものができるまで携わりたい」という同じ想いなのだと感じました。発注する立場は一見、現場から離れているようにも見えますが、実際には予算の制約や市民の要望との折り合いをつけ、現場に「寄り添う」といった側面があります。民間と市役所、立場は異なるものの、土木技術職としてのやりがいは、きっと同じ方向を向いているのだろうと感じるような取材でした。

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年7月取材)

職員インタビュー土木社会人経験あり

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