係長になって2カ月の育休へ。次の世代に残したい栗東市役所の働き方
栗東市役所
「上司になったら育休は取れない、なんて背中を見せたくなかった」
そう語るのは、栗東市役所都市整備部企業立地推進課で係長を務める稲冨さん。平成25年の入庁以来、商工観光労政課、税務課、幼児課、住宅課とさまざまな部署を経験し、今年4月から現在の部署で係長に就任した。同じ5月には第2子が誕生し、係長になって間もないタイミングで2カ月の育休を取得している。
今回は、多彩なキャリアの歩み方と、管理職として育休を取得した経験について、たっぷりとお話を伺った。
5部署を歴任、見えてきた仕事の面白さ
ーまずは稲冨さんのご経歴を教えてください。
稲冨:出身はずっと栗東市で、大学卒業後すぐに栗東市役所に入庁しました。
もともとは民間企業への就職を希望していて、大学3年生の頃からずっと就職活動をしていたのですが、なかなか内定が出なかったんです。そんな中、親に勧められて、地元の栗東市役所を受けてみて、結果的には栗東市役所で働くことを決めました。
ーこれまでどんな部署を経験してきましたか。
稲冨:最初の2年間は商工観光労政課で観光の仕事を担当し、お祭りやイベントの運営などに携わりました。その後5年間は税務課で、4年は市民税や法人市民税といった賦課業務を、残る1年は税金の徴収業務を担当しました。
次の2年間は幼児課で保育所の入園調整や備品購入などを担当し、その後4年間は住宅課で開発許可の審査事務を担当しました。そして今年4月から企業立地推進課の係長になりました。
ー観光と税務では、仕事の雰囲気もだいぶ違いそうですね。
稲冨:そうですね。観光は法律で決まっていることよりも、地域の人とのつながりで動く仕事で、税務は数字と法律の世界です。この2つだけでも随分と温度差がありました。
観光の部署で「市内でいちごが採れるところはありますか」という電話、山道で迷ったという電話を受けることもあります。また、税務課では、実際に自宅を訪ねて差し押さえの対象を確認しに行くこともありました。どちらも、全く経験したことのないような業務の連続で刺激は多かったです。
ーこれだけ違う仕事を渡り歩くのは大変ではなかったですか。
稲冨:同じことをずっと続けるのがあまり好きではない性格なので、色々な業務を経験できるのはむしろ好きなほうでした。忙しい部署を自分から希望して異動したこともありましたし、幼児課ではちょうど待機児童問題が取り上げられていた時期で大変でしたが、それもまた違う経験になりました。大変ではありましたが様々な経験を若いうちからできたのは良かったとおもっています。

フラットな職場の距離感。他市の職員にも頼れる、栗東市役所の風通しの良さ
ー部署ごとの職場の雰囲気はいかがでしたか。
稲冨:悪い雰囲気を感じたことはないですね。市役所の外、たとえば他の市や県の職員とつながりを持てる機会が多かったのも印象的でした。分からないことがあったときは、同じ業務をしている他市の職員に一般的な範囲で相談することもありましたし、皆さん親切に教えてくれました。そうした関わりの中で、良い雰囲気を作れていたのかなと思います。
ー上下関係についてはどうですか。今は係長として後輩を指導する立場でもあると思いますが。
稲冨:体育会系のような上下関係ではないですね。私自身、今年から係長になったのですが、年齢が近い部下も多く、あまり世代間のギャップを感じていません。逆に私が若手なので、上の課長世代とは年齢の差がありますが、それでも気負わずに話しかけられる雰囲気で、部署関係なく分からないことがあれば教えてもらえます。
ー部署を超えたつながりはありますか。
稲冨:栗東市はそれほど大きな規模ではないので、部署をまたいでも職員同士の距離が近いんです。異動した後も前の部署の人に相談できますし、税務課にいた時のメンバーとは今でも毎年旅行に行くくらいの付き合いが続いています。異なる部署であっても協力する雰囲気があり、それも働きやすさにつながっていると思います。

係長になって2カ月の育休へ。「妻からは、まだ復帰してほしくない、って言われるくらい」
ー今回、育休を取得されたのはいつ頃ですか。
稲冨:今年、令和8年度のゴールデンウィーク明け、5月半ばから7月半ばまでの2カ月間取得しました。実は育休は2回目で、1回目は第1子が生まれた2年ほど前に取得しています。その時は1カ月半ほど休みました。
ー1回目の時、育休を取る雰囲気はどうでしたか。
稲冨:当時はまだ「育休を取るのか」という空気も少しはあったと思います。在籍していた住宅課は係長を含めて3人という少人数の部署で、私が抜けると実質2人体制になってしまう状況です。ただ、当時の課長が開発業務の経験者で手伝ってくれたり、経験のある職員が一時的に対応してくれたりして、なんとか回すことができました。
ー2回目は係長という立場での取得です。1回目とは状況も変わったのではないでしょうか。
稲冨:今回は第2子が生まれる前の4月頃、異動が決まったタイミングで今の課長に育休を取りたいという話を伝えていました。期間まではまだ決めていなかったのですが、異動してすぐだったからこそ、自分が中心になって動く前の段階で調整できた面もあります。課長や同僚が仕事の状況をよく分かっていたこともあり、取ることができました。
ー実際に取ってみて、いかがでしたか。
稲冨:上の子が2歳になっていて保育園にも通っていたので、その対応や家事を一通り対応していましたし、子どもと過ごせた時間は非常に充実していました。妻からは「まだ復帰してほしくない」と言われましたし、もっと取りたかったという思いもあります。

「自分が取らなあかん」。次の世代のために育休を取った理由
ー係長という立場で育休を取ることに、迷いはありませんでしたか。
稲冨:まだ過渡期であり、自分が係長として取るべきかどうか迷った部分はありました。ただ、逆に取っている人が多くはないからこそ、自分が取らなければいけないという思いもありました。
最近は若手職員が民間企業や他の自治体へ転職していくケースも見てきていて、そうした若手は上の世代の働き方を見ています。「係長になったら育休が取れない」という前例を見せてしまうと、その先のキャリアプランに悪い影響を与えてしまうと思ったんです。
ー実際に育休の取りやすさは変わってきていると感じますか。
稲冨:だいぶ変わってきていると思います。以前は「育休を取ってもいいですか」という遠慮がちな相談が多かったのですが、これからは「取ります」というくらいの雰囲気にしていくべきだと思っていますし、私自身もそうありたいと思っています。
ー最後に、栗東市役所を目指す方へメッセージをお願いします。
稲冨:栗東市役所は規模がそれほど大きくない分、職員同士の距離が近く、異動しても前任者に相談しやすい環境があります。仕事以外のつながりも多く、部署を超えて助け合える雰囲気もよいです。福利厚生や様々な取り組みも、今いる職員を中心により良くしていくので、是非栗東市を受けてみていただけると嬉しいです。

ー本日はありがとうございました。
5つの部署を経験しながら前向きに仕事を楽しみ、係長という立場になってもなお育休を選んだ姿勢は、これから栗東市役所を目指す人にとって、働き方の一つの道しるべになるはずだ。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年9月取材)
この記事の官公庁・自治体
【いつまでも住み続けたくなる安心な元気都市 栗東】 滋賀県の南部に位置し、市の北部は平坦地、南部は緑豊かな山地となっています。 国道1号・8号の通過、名神高速道路栗東インターチェンジの位置など、交通の要衝として、製造業・商業・流通業など数多くの企業が立地しています。 また、平成3年、JR琵琶湖線栗東駅が開設されたことにより、京阪神への通勤圏となり、大規模な住宅整備が進み、人口増加が続いています。 栗東市は、人財育成・確保基本方針のもと、職員育成と資質向上に取り組んでいます。 「全体の奉仕者」であることと、時代や環境の変化に適切・迅速かつ柔軟に対応できる人材が活躍しています。既成概念に捉われず、常に新しい視点を持ちながら行政課題に積極的に取り組んでいきます。
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