地元の地図に、自分の仕事を刻む。阿久根市・土木職のものづくりの話
阿久根市役所
「生まれ育った町が、どんどん変わっていくのを感じていました。だから、何かしら役に立てればと思って」
そう穏やかに語るのは、阿久根市役所都市建設課維持係で土木職として働く入庁7年目の牛之濵さん。鹿児島県内の工業高等専門学校の土木系学科を卒業後、新卒で阿久根市に入庁。都市建設課、農政林務課を経て鹿児島県への出向も経験し、現在は再び都市建設課に戻って道路や橋梁の維持管理・修繕に携わっています。
今回は、土木職を目指す方に向けて、阿久根市での仕事内容、入庁後の成長、そして職場の雰囲気について、たっぷりとお話を伺いました。
- 泥臭いと思っていた土木の道。地元の縁が結んだ、市役所への入庁
- 設計、発注、現場監督……。土木職の仕事は「地図に残る」ものをつくること
- 「これもしないといけない、あれも」。1年目の工事で鍛えられた対応力
- 相談しやすい4人の係、地元出身でなくても大歓迎。阿久根市土木職のリアル
泥臭いと思っていた土木の道。地元の縁が結んだ、市役所への入庁
ーまず、牛之濵さんのご経歴について聞かせてください。出身はどちらになりますか?
牛之濵:出身は阿久根市です。中学校まで阿久根にいて、高校は鹿児島高専の土木系学科に5年間通い、また阿久根に戻ってきたような形です。
ー土木の道を意識したのは、どんなきっかけだったんですか?
牛之濵:中学3年のときに進路を考える中で、大学まではちょっと考えていなかったので、高校を卒業して就職したいなという気持ちがありました。
そんなときに担任の先生に高専という学校があるよと紹介してもらって。当時は土木に対して、泥臭いようなイメージを持っていましたね。
ー卒業後、民間企業は考えなかったんですか?
牛之濵:採用試験を受けたのは阿久根市と鹿児島県だけで、公務員だけでしたね。率直に言うと、安定しているというところに魅力を感じていました。それと、働くなら地元に残れればなという気持ちもありました。
ー阿久根市を選んだ理由はどんなところにあったんでしょう?
牛之濵:生まれ育った町が、どんどん変わっていくのを感じていました。ちょっと大げさな表現になるかもしれないんですけど、人口減少の流れもあって、どこの自治体も苦しい状況になってきているのかなと。だから、何かしら役に立てればという気持ちから、地元という形で阿久根市を選びました。

設計、発注、現場監督……。土木職の仕事は「地図に残る」ものをつくること
ーこれまでの所属歴を教えてください。
牛之濵:最初が都市建設課に3年間いて、次に農政林務課に1年、その後鹿児島県の北薩地域振興局に2年間出向して、今年度からまた都市建設課に戻ってきました。
最初の都市建設課では、道路を広くする道路改良事業や、崖崩れ箇所を補修する急傾斜地崩壊対策事業を主に担当していました。
農政林務課では農道の舗装や、田んぼ畑に水を送るための水路整備をしていて、鹿児島県の出向先では道路維持管理の修繕や草が生えないようにコンクリートを打ったり、道路の災害対応を主にしていました。
今の係では道路の補修や防草対策のほかに、橋梁の修繕も行っています。
ー工事が始まるまでの流れはどんな感じですか?
牛之濵:まず前年度に予算要求のために、簡単なところは自分たちで測量して、ある程度の図面や数量を弾き出して積算します。年度が変わってから、また測量し直したり、場合によっては外部委託で設計図面を作ってもらって、工事発注できる状態まで整えていきます。
業者が決まったら現場でどう進めるか話し合いながら監督業務をして、最後にちゃんと設計通りに施工されているか検査を受けて、支払い手続きをする、というのがざっくりとした流れです。
ーこの仕事のやりがいはどんなところにありますか?
牛之濵:自分が携わったものが、目に見える形で残るんです。地図にも残る。それが一番のやりがいだと思っています。他のところでも言われていることかもしれないんですけど、やっぱりそこが一番ですね。

「これもしないといけない、あれも」。1年目の工事で鍛えられた対応力
ーこれまでで特に印象に残っている仕事はありますか?
牛之濵:一番印象に残っているのは、入庁1年目に担当した工事です。阿久根市、出水市、長島町が共同で運営している北薩広域行政事務組合という団体があるんですが、そこで新しいごみの焼却場を建てていて、最終年度にその焼却場の周りをフェンスでぐるっと囲む工事を担当しました。
何も分からない状態で進めていく中で、これもしないといけない、あれもしないといけない、というものがどんどん出てきて。工期も限られているので、その都度業者さんと話して対応していきました。
終わったときは、「無事に工事が終わった」という安堵感でいっぱいでした。
ー仕事の大変さという面では、どんなことが一番難しいと感じますか?
牛之濵:工事の最中に想定していなかったことが起きることがあります。例えば現場を掘ってみたら水道管が出てきたとか、土質が悪くて何か対策しないといけないとか。
工期は限られているので、業者さんを長く待たせるわけにはいきません。そういう突発的なことが起きたときに、どう対応するかを各方面に相談・協議をするところに難しさを感じますね。
また、梅雨の時期に災害が起きた場合は、地元の方から連絡があったらまず現場を見に行って、国への申請に必要な写真や資料を準備して説明するところも、緊張する場面のひとつです。
ー普段、仕事で大切にしていることはありますか?
牛之濵:土木の仕事は一般の方と接するよりも業者の方と接することが多いんですけど、市民の方から「道路が汚れているから清掃してほしい」「木の枝が伸びてきているから伐採してほしい」といった要望をいただくこともあります。
そういったときに、「その方が何を求めているのか」という意図を汲み取っていくことを一番大切にしています。丁寧な対応の積み重ねが信頼につながると感じています。

相談しやすい4人の係、地元出身でなくても大歓迎。阿久根市土木職のリアル
ー職場の雰囲気はいかがですか?
牛之濵:風通しはいいと思っています。今の係は係長を含めて4人で、年齢が近いメンバーが多いんです。係長も昨年度まで設計書を作っていた方なので、分からないことを聞きやすいですし、ちゃんと知識を持っていらっしゃるので、何かあったときにもとても頼りになります。
自分自身も、後輩の職員とも何気ない雑談をしながら、何かあったときに話しやすい環境にできるように心がけています。

ーワークライフバランスはいかがですか?
牛之濵:残業はほぼゼロに近い形で、土日祝日も仕事になることはほとんどありません。自分の時間はしっかり確保できています。
休みも、仕事が詰まっていなければ休んでいいよという雰囲気なので、周りを見ていても休みを取っている人は多いなという印象があります。
年間を通して極端に業務が集中するような繁忙期は特にありませんが、ひとたび突発的な災害が発生した際には、市民の皆様の安全を守るという大きな使命感を持って、迅速かつ確実に対応にあたる体制を整えています。
ー最後に、阿久根市の土木職を目指す方へメッセージをお願いします。
牛之濵:市役所というと地元の方が行くところというイメージを持たれる方も多いかもしれません。自分もそう思っていた時期がありました。
でも、地元出身だからこそ気づけないところに、第三者の視点で新たな発見をしてくれる方もいると思っています。阿久根市出身じゃないからといって、ちょっと遠慮しているような方でも、ぜひ安心して飛び込んで来てください。歓迎します!

ー本日はありがとうございました。
画面越しに穏やかな口調で話してくれた牛之濱さん。「泥臭い」という言葉が土木への第一印象だったというが、今は地図に自分の仕事を刻み続けています。
安定を求めて地元を選んだという入庁当初の動機は、7年という時間の中でいつの間にか「何かしら役に立てれば」という確かな実感へと変わっていったように見えました。
分からなければ聞きまくる。突発的なことには各方面に当たって協議する。そのひとつひとつが、阿久根市のインフラをかたちづくっています。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年5月取材)
この記事の官公庁・自治体
阿久根市は鹿児島県北西部に位置し、高松川河口の阿久根港を中心に古くから海・陸交通の要衝として海運業・商業が栄えたまちです。北部は激流が渦巻く日本三大急潮のひとつ黒之瀬戸を隔て長島町と接し、東部は出水市、南部は薩摩川内市と接しています。東シナ海に面した約40㎞にも及ぶ美しい海岸線や沖合およそ2㎞に浮かぶ阿久根大島は、海水浴や釣りのメッカとして知られており、毎年多くの観光客が訪れます。沿岸を洗う黒潮は至る所に亜熱帯の植物を育み、温暖な気候を利用した農業や水産業が盛んです。品質の高い数多くの生鮮品や加工品は、「アクネ うまいネ 自然だネ」の統一ブランドで全国に向けて出荷されており、なかでも特産品の「阿久根ボンタン」は全国有数の生産量を誇ります。
阿久根市役所をフォローして、「新着求人の通知」を受け取りましょう!
この記事が気に入ったらお気に入り登録しましょう!
