看護師から保健師へ。阿久根市で見つけた、地域に寄り添う仕事のやりがい
阿久根市役所
「次に来た時も、また川畑さんと話したい」。そう言っていただけた時は、うれしかったです。
そう語るのは、阿久根市役所こども保健課で保健師として働く川畑さん。看護師として鹿児島市内の病院でNICU(新生児集中治療室)に4年ほど勤務した後、保健師に転身し、阿久根市に入庁しました。現在は成人保健を担当し、肺がん検診や予防接種、健康相談などを通じて市民と向き合う日々を送っています。
今回は、阿久根市の保健師を目指す方に向けて、仕事の内容や働く魅力、職場の雰囲気について、たっぷりとお話を伺いました。
- 福岡から鹿児島へ。看護師としてNICUで働く中で芽生えた「地域」への関心
- 人数の少なさが強みに。阿久根市を選んだ理由と、赴任後に驚いた事務仕事の実態
- 85か所を回る肺がん検診の裏側と、伝わらないもどかしさ
- 支え合う職場と、市民に寄り添える魅力。阿久根市で働きたい人へ
福岡から鹿児島へ。看護師としてNICUで働く中で芽生えた「地域」への関心
ーまずは簡単なご経歴と、保健師になろうと思ったきっかけについて教えてください。
川畑:出身は福岡県で、高校卒業後もそのまま福岡の大学に進学しました。もともとは新生児の看護がしたくて、NICUのある病院に看護師として就職しました。
保健師の免許自体は大学在学中に取得していたのですが、資格は多い方が良いと周りに勧められて、取得したため、その時点では保健師として働くイメージはあまり持っていませんでした。
ー看護師としては、どのようなお仕事を担当されていたのですか。
川畑:NICUで、急性期の小さな赤ちゃんのケアをしていました。そこで4年ほど働いたのですが、その子たちが退院して地域に帰った後、どのような支援を受けながら生活していくのかというところに、次第に興味を持つようになりました。
保健師であれば、そうした部分にも関わりながら見ていけるのではないかと思い、転職を決めました。

人数の少なさが強みに。阿久根市を選んだ理由と、赴任後に驚いた事務仕事の実態
ー数ある自治体の中で、どうして阿久根市を選ばれたのですか。
川畑:最初の就職先が鹿児島市内だったので、そのまま鹿児島で過ごしていました。阿久根市を知ったきっかけは、夫が阿久根の出身だったことです。ただ、鹿児島市内は病院も多く、地域に帰ってからも手厚い支援を受けられる環境が整っていると感じていました。
それよりも、近隣に小児科などの施設が少ない地域で、どのような支援をしているのかを見てみたいと思いましたし、小さな町だからこそ、住民の方と密に関わっていけるのではないかとも思いました。
ーなるほど。他にも阿久根という町に対して、印象に残っていることはありますか。
川畑:遊びに来た時に、すれ違う方が挨拶をしてくださったんです。近所の人がみんな顔を知っているような関係性がとてもいいなと思ったのも、阿久根市を選んだ理由のひとつですね。
ー入庁前後で、保健師の仕事についてギャップに感じたことはありましたか。
川畑:相談業務など保健師としての仕事内容自体には、そこまでギャップはなかったのですが、事務の仕事もしていかないといけないという点には最初なかなか慣れませんでした。
病院にいた頃は予算のことなど一切考えずに仕事をしていたので、そうしたことをしっかり考えながら業務を行う必要があるというのは大変でしたし、市民に検診の通知を出したりするのも保健師の仕事なんだと、この時初めて実感しました。
外に出るイメージが多かった分、割とデスクワークや事務処理が多いんだなと感じました。

85か所を回る肺がん検診の裏側と、伝わらないもどかしさ
ー入庁されてからのお仕事について伺います。まずはどのような業務を担当されていましたか。
川畑:入庁した時は保健予防係で、主に成人保健を担当しており、肺がん検診や予防接種、献血などを担当していました。その後、産休・育休を経て復帰した後は、こども家庭係で母子保健を5か月ほど担当し、この春からまた保健予防係に戻ってきました。
ー肺がん検診は、具体的にどのような業務なのでしょうか。
川畑:検診機関と契約を結んで、バスで来てもらい、地域を細かく回っていくものです。およそ85か所を13日間ほどかけて回ります。
まず希望されている方を確認し、病院や職場で受けるという連絡がない方にも通知を送るようにしています。回る順番を考えたり、区長さんとやり取りをしたりする準備も必要で、まだ慣れていない頃はかなり大変でした。
当日は保健師1人、受付をしてくれる事務の方1人、看護師さん1人の3人で回って、現場で問診を取りながら受けていただいています。
検診後は、結果の確認をします。精密検査を案内して終わりではなく、なかなか受診できていない方を対象に、直接訪問し、精密検査を安心して受けていただけるように話をすることもあります。
ー保健師の仕事の中で、大変だと感じる部分はどんなところですか。
川畑:健診結果で生活習慣の改善が必要な方に対し、お話をする際、相手の生活背景を知り、それを踏まえた上で、どう伝えたら相手が自分の体の状況を理解してくれるか、どう伝えたら一緒に取り組んでもらえるかを考えるのは大変です。
また、検診の目的を住民の方に理解してもらったり、検診受診、精密検査受診の必要性を伝えたり、受診しやすい環境を作っていくことにも難しさを感じています。
体や心に関する悩みは人それぞれで、内容も多岐にわたります。保健師として相談に応じれるだけの知識や情報を持っていなければとプレッシャーに感じることもあります。
ーそうした中で、やりがいを感じる瞬間はありますか。
川畑:話をした時に「ありがとう」と言ってもらえたり、名前を覚えてもらって、次に来た時も「また川畑さんと話したい」と言っていただけた時は、やっぱりうれしいですね。
住民の方と、密に関わることができるため、いろいろな話をしますが、毎月健康相談に来られる方もおり、月一回の健康相談がその方にとって生活のモチベージョンの一つなっているのかな、と思うとやりがいを感じ、関わりの機会を大切にしようと思えます。
また、配属先が変わった現在も乳幼児健診に従事していますが、3か月、6か月といった定期的な健診の場で、みんなすくすく成長している姿を見られるのは、この仕事の魅力だと思います。そして、乳幼児健診には、私が以前勤めていたNICUで新生児期を過ごした子どもたちも来ます。看護師時代に気になっていた「退院後の地域での支援」に保健師として現在関わることができ、嬉しく思っています。

支え合う職場と、市民に寄り添える魅力。阿久根市で働きたい人へ
ー職場の雰囲気についても伺いたいです。上司や同僚との関係性はいかがですか。
川畑:保健師の中では私が一番最後に入庁してきたので、自分より上の方しかいないのですが、相談もしやすく、みんなサポートしてくれます。子育てをしながら働いている中でも、すごく配慮してくださるので、人間関係のストレスを感じたことはないです。
急に休まないといけなくなった時も、「急ぎのことがあったらやっておくよ」「無理せず休んでいいよ」と温かい言葉をかけていただけることが多いです。

ー残業やお休みの取りやすさについてはいかがですか。
川畑:残業は基本的にしていません。自分の担当する業務が忙しくなる時期は少し残業することもありますが、毎月の課の事業打ち合わせで進捗状況を共有する機会があり、先輩方は皆同じ業務を経験されたことがあるため、フォローをもらいながら取り組めるので、日常的な残業はほとんどないですね。
有給休暇や夏季休暇も割と自由に取りやすく、課長や係長が積極的に「取ってね」と言ってくださいます。夏季休暇は6月から10月までの間に3日間あり、毎年きちんと消化できています。子どもの看護休暇も5日間あって、しっかり活用させてもらっています。
ー最後に、阿久根市の保健師を目指している方へメッセージをお願いします。
川畑:職場環境がとてもいいので、仕事への不安や人間関係の不安はないです。市民の方と密に関わることができるので、地域に深く関わっていきたいという方は、ぜひご応募いただけるとうれしいです!

ー本日はありがとうございました。
今回の取材で印象に残ったのは、川畑さんが一つひとつの言葉や関係性を大切にしている姿勢です。名前を覚えてもらったこと、次も話したいと言われたこと。小さな積み重ねが、地域に寄り添う仕事のやりがいにつながっているのだと感じました。
人数の少なさを強みに変え、密な関わりを求めて阿久根市を選んだという選択にも、その姿勢がにじんでいました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年7月取材)
この記事の官公庁・自治体
阿久根市は鹿児島県北西部に位置し、高松川河口の阿久根港を中心に古くから海・陸交通の要衝として海運業・商業が栄えたまちです。北部は激流が渦巻く日本三大急潮のひとつ黒之瀬戸を隔て長島町と接し、東部は出水市、南部は薩摩川内市と接しています。東シナ海に面した約40㎞にも及ぶ美しい海岸線や沖合およそ2㎞に浮かぶ阿久根大島は、海水浴や釣りのメッカとして知られており、毎年多くの観光客が訪れます。沿岸を洗う黒潮は至る所に亜熱帯の植物を育み、温暖な気候を利用した農業や水産業が盛んです。品質の高い数多くの生鮮品や加工品は、「アクネ うまいネ 自然だネ」の統一ブランドで全国に向けて出荷されており、なかでも特産品の「阿久根ボンタン」は全国有数の生産量を誇ります。
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