「面白い人は、面白い人とつながる」。公園づくりから広がる、佐倉市職員のまちづくり
佐倉市役所
「頑張った分だけ、市民の方が喜んでくれる」
そう語るのは、佐倉市役所佐倉の魅力推進課で働く入庁14年目の包國さん。子育て支援課(現・こども保育課)、産業振興課(現・佐倉の魅力推進課)、危機管理課、公園緑地課と幅広い部署を経験し、公園緑地課では市民団体や民間企業との連携を軸に、公園の新しい活用方法や里山の保全活動を次々と形にしてきました。
現在は佐倉の魅力推進課シティプロモーション班に所属しながら、公園緑地課の業務も引き続き支えています。
今回は、公務員を目指したきっかけから、公園を舞台にした数々の挑戦、そして今後佐倉市で実現したいことまで、お話を伺いました。
地元の豊かな自然を守りたい~公務員を目指した理由~
ーご経歴と、佐倉市役所を受験されたきっかけを教えてください 。
包國:私は佐倉市の出身で、大学は都内にある大学に通っていました。大学から実家へ帰省する際、京成線でユーカリが丘のあたりまで来ると、車窓に豊かな田園風景が広がります。その景色を見るたびに、地元の自然や暮らしの心地よさを実感し、「佐倉に帰ってきた」と感じていました。
将来、こどもを育てるならみどり豊かな環境が良い、長男として親の近くで働きたいという想いもあり、次第に地元・佐倉市に貢献できる仕事を志すようになりました。民間企業も検討しましたが、転勤がなく地元で働けることにも魅力を感じ、最終的に公務員を選び、平成25年度に入庁しました。
ー入庁されてからは、どのような部署をご経験されてきたのでしょうか 。
包國:最初の2年間は当時の子育て支援課(現・こども保育課)に配属され、保育園の入園受付や保育料算定の業務を担当しました。その後、当時の産業振興課(現・佐倉の魅力推進課)に5年間在籍し、佐倉ふるさと広場での季節の花のイベントや花火大会、秋祭りなどの観光施策全般に携わりました。
次の危機管理課では1年間消防団の事務局業務を担当した後、公園緑地課へ異動となりました。今年の4月からは現在の佐倉の魅力推進課へ戻ってきています。

庁内公募制度への挑戦~公園の可能性を開拓する~
ー危機管理課から公園緑地課へ異動されたきっかけを教えてください。
包國:佐倉市役所には「庁内公募制度」という人事制度があります。各部署が抱える課題や新しい取り組みに対し、意欲のある職員を募集する仕組みです。当時、公園緑地課が「公園を活用する事業を推進するため、興味のある職員を募集する」という公募を出したのを見て、自ら手を挙げました。
公園は単に草刈り等の維持管理をするだけの場所ではなく、民間事業者の力を借りて飲食店などを設置するPark-PFI制度を活用すれば、市民にさらに喜ばれる空間になると同時に、市にとっても新たな収益や価値を生み出す資産に変わるポテンシャルを秘めています。公園活用担当として一から挑戦したいと考え手を挙げ、面接を経て異動が決まりました。
ー自ら手を挙げられて異動されたのですね。上司や部署の雰囲気はいかがでしたか。
包國:佐倉市には庁内公募制度のほかに、一定条件を満たせば希望部署へ挑戦できる「庁内FA制度」も整備されています。意欲を持ってキャリアを選択できる環境があるのは大きな魅力です。
当時の上司たちも「良いと思ったことはどんどんやってみよう、責任は俺が取る」と言ってくれる柔軟で熱意のある方々でした。自分のやりたい企画に対して背中を押してくれる上司に恵まれたことは心強かったです。

市民の居場所をつくる「佐倉こそだちフェス」と広がる連携
ー公園緑地課では具体的にどのような事業を立ち上げられたのでしょうか。
包國:配属直後は「公園活用担当」として一人でのスタートでした。特に印象に残っているのが、コロナ禍の2021年秋に開催した「佐倉こそだちフェス」です。元々は市営住宅跡地を整備した約2ヘクタールの芝生広場だったのですが、整備されたものの活用が不十分という課題がありました。当時はコロナ禍のため、こどもたちが遊びを制限されていました。また、公園でのボール遊び禁止などのルールを緩和し、穴掘りや土塁を活用した自然の滑り台などこどもたちが泥だらけになりながら、自らの発想で自由に遊べる「プレーパーク」のような居場所を作りたいと考えました。
ーどのようなイベントで、当日の反響はいかがでしたか。
包國:プレーパーク活動を行っているパワフルなお母さんと出会ったことがきかっけで、公園緑地課と市民団体がコラボレーションする形でお試しイベントを実施しました。開催してみるとたくさんの子育て世代の方々に来場していただき、「こどもたちが思い切り遊べる場ができて嬉しい」と大きな反響をいただきました。
さらに、参加した子育て支援団体同士がつながり、保護者と団体の交流の場にもなりました。この取り組みは市民団体が主催する形で現在も継続されており、そこから佐倉里山自然公園での「森のようちえん」、住宅街の公園での「プレーパーク」の活動支援へと発展していきました。今年6月には、こども政策課と公園緑地課が連携した市民団体のプレーパーク活動支援施策が公益社団法人こども環境学会からも高い評価を受け、表彰していただくことができました。


グリーンインフラと流域治水~持続可能なまちづくりへ~
ー子育て支援からさらに環境や防災の分野へも取り組みが広がったのですね 。
包國:子育て支援団体の方々とイベントに取り組んだことがきっかけで、里山整備に取り組む市民団体の方々ともつながることができました。里山整備団体の方々とは、放置竹林の整備により排出された竹からバイオ炭を作り、土中に埋めてCO2を固定化するカーボンニュートラルの取り組みを始めました。その取り組みが発展し、現在では国の研究機関とも連携しながら、バイオ炭づくりの研究支援を行っています。
また、大学生との里山整備活動も進めています。毎年、IVUSA(NPO法人国際ボランティア学生協会)という学生ボランティア団体の協力を得て、里山自然公園内の竹林を整備し、伐採した竹を活用して、「森のようちえん」と一緒に竹遊具を制作しています。竹遊具は1年程度で劣化してしまうため、1年前に制作した竹遊具はバイオ炭にして再利用しています。
このように佐倉里山自然公園では多くの里山整備団体の方々に活動していただいていますが、団体メンバーの高齢化や人材不足が課題となっています。持続可能な里山環境の保全・活用をしていくため、里山整備活動を担う人材を育成し、世代交代を促進することを目的として、2024年に「佐倉里山大学」を開校しました。
さらに佐倉里山自然公園の耕作放棄地を活用して雨水を一時貯留し、河川の氾濫を防ぐ「流域治水」のモデル事業を千葉県や大学等の研究機関とともに進めています。
ー公園活用から環境保全や防災へ波及していくのはすごいです 。
包國:「子育て支援」「環境保全」「流域治水」と一見するとバラバラに見える施策ですが、すべては一つのイベントで出会った市民団体の方々とのご縁がきっかけでした。
面白い人は面白い人とつながっています。行政が枠組みを決めるのではなく、市民の熱意に寄り添いサポートすることで、取り組みが広がり市全体に還元されていくことを実感しました。
お金がないからこそ知恵が出る~公民連携の神髄とポリシー~
ー事業を進める上で常に大切にされているポリシーは何でしょうか 。
包國:何よりも大切にしているのは、「佐倉市のため、佐倉市民のためになるか」という点です。人口減少が進む時代、自治体の財政や人員には限界があります。しかし、「予算がないからできない」と諦めるのではなく、専門知識を持った民間企業や市民団体の方々との公民連携・市民協働により、市の課題解決の糸口が見えてくると思います。
ー理想的なパートナーシップとはどのような形でしょうか 。
包國:行政は、各分野のプロフェッショナルなノウハウを持っているわけではありません。だからこそ、現場で活躍する民間事業者や市民団体の方々が力を発揮できるような制度づくりや環境整備、庁内調整を行政が担うことが重要です。
一方的なお願いや押し付けではなく、お互いのメリットが一致する「Win-Winの関係」を築くこと、相手を信頼し自分という人間を信頼してもらうことで、予算を大きくかけなくても、価値ある市民サービスを継続的に生み出すことができます。

新しい風を吹き込む未来の仲間へ~何事にも挑戦する情熱を~
ー現在の業務内容と今後の展望を教えてください 。
包國:今年4月からは佐倉の魅力推進課のシティプロモーション班に所属し、企業版ふるさと納税や移住定住施策、佐倉PR大使などの業務を担当しています。企業版ふるさと納税などで自ら資金を獲得し、その財源を原資として移住定住や子育て支援につながる施策を展開する仕組みを作ることが現在のミッションです。
今年度は下準備を行い、来年度以降にスタートダッシュを切れるよう準備を進めています。
ー佐倉市役所を目指す方へメッセージをお願いします 。
包國:最初から特別な知識や高度なスキルを持っている必要はありません。何よりも大切なのは「佐倉市のために何かしたい」「新しいことに前向きに挑戦したい」という情熱と姿勢だと思います。
かつての自分自身が先輩方にしてもらったように、新しく入ってくる後輩の皆さんがやりたいことに積極的に挑戦できるよう、全力でバックアップして支えていきたいと思っています。

ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年7月取材)
今回のインタビューを通じて、包國さんの佐倉市に対する深い愛着と、前向きに立ち向かう姿勢が印象に残りました。情熱を持った職員が挑戦できる風土が佐倉市役所には根付いています。
この記事の官公庁・自治体
【佐倉で才能が開花する】 中世、千葉氏の拠点として、江戸時代は江戸の東を守る要衝地として繁栄した、房総最大の城下町、佐倉。 幕末から明治にかけて、日本の近代化に大変な貢献をした偉人を綺羅星のごとく輩出した佐倉。 歴史・自然・文化に彩られた佐倉には、ひとを育てる風土があります。 そして、今も昔も多様な「人の力」が佐倉を支えています。 この佐倉の地で、あなたもあなた自身の才能を大きく育て、美しく咲かせてみませんか?
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