前例踏襲より、まず身近な改善から。春日市役所・文書管理検討チームの挑戦
春日市役所
「変えたり、変更するのはパワーがいるし、心配事もある。でも、それを超えた楽しさや、やりがい、達成感がある」
そう語るのは、春日市役所経営企画課で企画担当として働く末永さん。今年度発足した「文書管理検討チーム」のリーダーを務めています。チームには、子育て支援課発達支援担当の大野さんと、都市整備部都市計画課の井上さんも参加。年齢も経験も異なる3人が、日々の業務の合間を縫いながら、市役所の「当たり前」を見直す取り組みを進めています。
今回は、チーム発足の経緯や現場の声を集める中で見えてきたことを聞きました。あわせて、これから春日市役所を目指す方へのメッセージも伺いました。
- 前例踏襲より、まず身近な改善から。文書管理検討チーム誕生の理由
- 探しても見つからない資料、伝わりにくいルール。現場が抱えていた小さな不便
- 人ではなく、環境を変える。ヒアリングで大切にしていること
- エネルギーの塊、丁寧な仕事人。信頼で結ばれた3人が伝えたいこと
前例踏襲より、まず身近な改善から。文書管理検討チーム誕生の理由
ー最初に、皆さんの自己紹介をお願いします。
末永:経営企画課企画担当の末永です。行財政改革というテーマのもと、今年度から配属されています。
大野:子育て支援課発達支援担当の大野です。特別支援学級等、特別支援教育に関わる仕事をしています。あわせて、市内の各学校で働く会計年度任用職員(1年ごとに任用される職員)に関する仕事もしています。
井上:都市整備部都市計画課の井上です。屋外広告物の許可申請や部の庶務のほか、ブロック塀の撤去にかかる補助金の受付・交付決定などを担当しています。
ー文書管理検討チームは、どのようにして立ち上がったのでしょうか。
末永:行財政改革を進めるにあたって、まず何から手をつけられるかを考えたんです。そこで目を向けたのが、日々の仕事の土台になっている文書の整理でした。通知や決まり事、マニュアルなどがスムーズに探せて、負担感なく仕事ができる環境をつくることが大切だと考えたんです。大きな取り組みを動かす前にまずは身近なことからと考え、動き出しました。

ーメンバーはどのように選ばれたのですか。
末永:本当は手を挙げてもらう形にしたい気持ちもあったんです。ただ、時間的な制約があったことに加え、若手・中堅の意見を確実に集めたいという思いもありました。前向きに取り組んでくれそうな職員を、人事課に推薦してもらいました。
ー大野さんと井上さんは、声をかけられたとき、どのように感じましたか。
大野:実は最初、上司よりも先に末永さんから「よろしく!」と言われたことが始まりでした。日頃から、自分にできることには、前向きに取り組みたいと考えているので、所属長に確認した上でお受けしました。
井上:私は部長から直接声をかけていただいたんです。最初は具体的にイメージできていませんでした。それでも、「自分でいいのだろうか」という気持ちと、選んでいただけたうれしさの両方がありましたね。

探しても見つからない資料、伝わりにくいルール。現場が抱えていた小さな不便
ーこの文書管理検討チームは、どのくらいの規模で進めているのですか。
末永:チーム全体では9名体制で進めています。「デジタル」「財務会計」「文書管理」「現場の意見・運用の集約」という4つのサブチームがあるんです。大野さんと井上さんは、現場の意見や運用を集約するチームを担当しています。
ー実際に、チームではどのような課題に取り組んでいるのですか。
大野:チームが動き出して1〜2か月ほどですが、今は現場の状況を洗い出している段階です。通知や電子文書が、同じ職場内でもどこにあるか分からなかったり、全庁で使うマニュアルも探しづらかったりする状況があります。まずはそこの整理をどうするか、試行錯誤しているところです。
ー現場の声を集めるうえで、工夫していることはありますか。
大野:職員デジタルツールのアンケート機能を使って、業務用チャットの使いやすさなどを職員に聞いています。項目づくりはメンバーで話し合いながら、生成AIも活用して整えたんです。実際に集めてみると、受け答えに負担に感じている人がいることが分かりました。
一方で、メッセージを送っている側は気づいていない、というギャップもありました。そこから、新しい発見がたくさん生まれています。
ーそうした声は、どのように改善へつなげているのですか。
井上:チャットは便利な連絡ツールです。ただ、いつでも送れるからこそ、「とりあえず連絡してみよう」と気軽に連絡することが多くなってしまったり、限られた一部の人に業務連絡が集中してしまう面もあります。それらを踏まえて、誰もが使いやすくなるようにという視点でガイドラインを整理し、すでに全庁に展開しているところです。

人ではなく、環境を変える。ヒアリングで大切にしていること
ー声を集めながら、大切にしている考え方はありますか。
大野:業務改善の取り組みが人に紐づいてしまいがちなので、着目する先を人ではなく環境に置くようにしています。生成AIに相談したり、メンバーと協議したりするときも、同じ視点を大切にしています。「この人だからできる」ではなく、「環境が整えば誰でもできる」という視点です。
井上:最初のチーム会議で、末永さんが「意見にマイナスの発言をするのはやめよう」と伝えてくれたことをよく覚えています。そうした配慮ができる方が、春日市役所には多いように感じています。
ー本来の業務と両立しながら取り組むのは大変ではないですか。
井上:自分の担当業務を行う中でタスクの優先順位を管理しながら進めています。チーム全体の会議も月1回程度で、負担感はそれほど感じていません。むしろ、普段の業務とは違う視点で考える時間が、良いリフレッシュになっている部分もあります。
ー若手・中堅の意見を引き出すために、意識していることはありますか。
末永:自分は少し上の世代なので、逆にこの世代の皆さんが今の職場で何を感じているのかを知りたいと思っています。自分の軸は責任を持って考えつつ、そこに違う視点をどれだけ加えられるかを意識しています。

エネルギーの塊、丁寧な仕事人。信頼で結ばれた3人が伝えたいこと
ーお互いのことを、どんな人だと紹介しますか。
大野:末永さんとは、以前所属した課で一緒でした。そのとき末永さんは、窓口改善のプロジェクトをされていたのですが、エネルギーの塊のような方。「末さんについていこう!」と、自然と周囲を思わせてくれる、頼れる存在です。
井上:末永さんは、職場でも評判をよく耳にしていて、明るく元気な雰囲気はいつも変わりません。実際に一緒に仕事をしてみて、優しさの中に芯があって、頼りがいのある方だと感じています。
末永:大野さんは、物事への向き合い方が本当に丁寧で、真っ向勝負するタイプ。会議でも必ず発言してくれて、周りの取り組みにも一言添えてくれる。人としてとっつきやすい雰囲気を自分からつくってくれる、頼もしい存在です。
井上さんは、彼が福岡県への派遣に出る直前、駐車場で見かけた後ろ姿に「頑張ってこいよ」と声をかけたことをよく覚えています。柔らかい雰囲気で話しかけやすく、仕事でも自分の意見をきちんと伝えてくれます。
ー井上さんは、福岡県への派遣や民間企業でのお仕事も経験されています。そうした経験も踏まえて、外から見た春日市はどのように映っていますか。
井上:民間企業や県庁への派遣を経験しているのですが、規模も雰囲気もまったく違います。その中で感じることは、春日市役所には「人」に魅力があるということです。話しやすい方が多いと感じています。
ー最後に、春日市役所を目指す方へメッセージをお願いします。
井上:楽しくいい人に囲まれながら仕事をしたいなら、春日市役所です。
大野:私自身、30歳で転職して10年ほど経ちますが、この選択をして良かったと感じています。「公務員としてこんな仕事がしたい」というイメージの先に、本市があれば嬉しいです。
末永:仕事は楽しいことばかりではありませんが、一緒に楽しみながら取り組める仲間がいれば、頑張れます。世代や部署の垣根を越えて取り組める職場を、私たちも目指しています。その思いに共感してくれる方に来ていただけたら、うれしいです。

ー本日は、ありがとうございました。
インタビューを通して伝わってきたのは、肩書きや世代を越えて意見を言い合える、3人の率直な関係性でした。前例を踏襲するのではなく、まずは身近なところから変えていく。その姿勢は、これから春日市役所で働く方にとっても、心強い支えになるのではないでしょうか。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年9月取材)
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