ユニバーサルスタジオジャパンの約5個分!生駒市が挑む規格外の超大規模まちづくりプロジェクトとは?
生駒市役所
「公務員だからこそ、利他的な立場で大きな挑戦ができるんです。」 そう力強く語るのは、生駒市役所学研推進課で課長として働く入庁26年目の浜田さん。インフラ整備や公園管理、都市計画、公共交通を経て、現在は生駒市の未来を担う国家プロジェクト級のまちづくりを牽引しています。
今回は、技術職やまちづくり職を目指す方に向けて、大規模なまちづくりのやりがいや生駒市で働く魅力について、お話を伺いました。
土木・まちづくり職としての原点と多角的なキャリアの歩み
ー本日はご経歴と生駒市の大規模まちづくりについて伺います。まずこれまでのご経歴を教えていただけますか。
浜田:平成13年に入庁しました。大学卒業後すぐに生駒市役所へ入り、最初は水道の整備などインフラ整備の仕事に、技術者として設計や工事管理を担当していました。その後、平成16年から、近鉄けいはんな線の白庭台駅の開業に係る新駅前の広場整備を2年間担当しました。
ー平成18年に開業したけいはんな線の新しい3駅を整備するプロジェクトですね。
浜田:その通りです。生駒市の北部エリアにとって、インパクトの大きい大規模事業です。その後は公園緑地課へ異動になり、公園のリニューアル整備や遊具の設置などを担当しました。加えて市内の街路樹や公園樹木の剪定など維持管理にも関わりました。生駒市は「緑豊かなまち」が特徴ですので、緑を整えてまちの価値をどう高めるかという視点を持って取り組みました。
その後は都市計画や公共交通を担当しました。都市計画では、生駒市全体を俯瞰して「どうまちづくりを進めれば生駒市がさらに良くなるか」を考え、公共交通では「まちとまちを移動でつなぐことによる、全体価値の向上」を考える必要があります。多くの場面で、市民の皆さんとの対話の機会をつくり、まちづくりを考えてきました。技術職・まちづくり職として「整備」「管理」「計画」という、基本となる3つの業務を経験できました。
ー多様な領域を踏破されてきたのですね。
浜田:生駒市は南北に長い地形のため、北・中・南にそれぞれ拠点があります。中心拠点である生駒駅周辺、北の拠点である学研北生駒駅周辺、そして学研高山地区という、大きな3つのプロジェクトを担当し、現在に至ります。


ユニバーサルスタジオジャパン約5個分。未来の生駒市を支える「学研高山地区」のまちづくり
ー現在、浜田さんが担当されている「学研高山地区第2工区」の事業について詳しく教えてください。
浜田:学研高山地区は生駒市の最北部に位置しており、288ヘクタールという非常に広大な区域です。ユニバーサルスタジオジャパンで換算すると約5個分という、全国的にも珍しいスケール感のプロジェクトです。一気に全体を開発するのは現代の社会情勢ではリスクが高いため、実現可能な50ヘクタール程度の単位で段階的に開発を進めています。
ーなぜこれほど大規模な開発に取り組むのでしょうか。
浜田:生駒市はこれまで住宅都市として発展してきました。しかし、今後の人口減少や少子高齢化を見据えると、既存のまちづくりだけに頼るのではなく、将来の生駒市を力強く引っ張る原動力が必要です。新たな原動力を生み出すため、開発を進め産業的な発展を図る計画であり、持続可能な生駒市となるための重要な事業と位置付けています。
ー生駒市の未来を左右する核心的な事業ですね。
浜田:そう捉えています。さらにこの地区は、関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)のクラスターの一つという重要な位置付けがあります。日本全体として新たな文化・学術研究の展開を目指す国家プロジェクトであり、非常に大きな意義を持っています。
産業集積を進めることを大きな軸として、学研都市であることを生かし、研究開発を中心とした産業の集積を目指しています。AIやロボットなどの先端科学技術が生活に溶け込む「サイエンスシティ」をつくることが目標です。
現在先行している約50ヘクタールのエリアについては、6年から7年後の街開きを目指して取り組んでいます。どのような街であれば、快適に、楽しく、豊かに暮らせるかという視点を常に持つようにしています。これからの10年、20年と、生駒市の技術職員・まちづくり職員が長く関わり続けていく一大事業です。まさに一生をかける価値のある挑戦だと感じています。

技術と事務が融合し1つの街を創るチーム体制
ー事業を進める学研推進課はどのようなチーム体制なのでしょうか。
浜田:学研推進課は13名のチームです。そのうち土木などの技術職が約6名、事務職が約7名という構成になっています。職種に関わらず一体となって動いています。
ー具体的な役割分担について教えてください。
浜田:チームは大きく3つに分かれています。1つ目は道路などのインフラ設計や造成計画・事業計画を作成する基盤整備チーム。ここには土木職を中心に配置しています。2つ目は企業誘致や都市計画、公共交通、環境などを担当するチームです。そして3つ目が財政計画や地権者の皆様との合意形成・関係構築、プロモーションを担うチームです。
13名のうち20代が1名、30代が4名、40代が4名で、経験豊富なOBの方にも来ていただき一緒に取組んでいます。まちづくりには多くの分野があるので、若手の意見を含め多様な意見を取り入れることは必要ですし、それぞれの立場で個々の能力を発揮し、活躍してもらうことを考えながら、チームを編成しています。
実際、技術系の職員は建設コンサルタントなどの専門家とともに、インフラ整備計画や事業計画を作成し、別の職員は企業誘致や都市計画、事務や財政に長けた職員は予算管理や地権者情報の管理といった形で取組んでいます。
ー多様な専門性を持ったメンバーが集まっているのですね。
浜田:チーム分担はしていますが、出来上がるまちは1つです。そのため定例ミーティングや朝礼、互いに学びあう勉強会、また日常的なコミュニケーションを通じて、細かい情報共有や意見交換を欠かさず行い、深い共通認識が持てるように取組んでいます。自分以外の他者の視点を理解することがまちづくりには非常に重要です。
ただ、守備範囲が非常に広いため、1つ1つの要素を深く掘り下げる時間を確保することが難しく大変な点だと感じます。しかしチームでやっていくものなので、私は課長として、課員が行う個々の仕事の効果が最大限高まるようにマネジメントの役割に取り組み、各課員はそれぞれの専門性を生かしてスペシャリストの役割を担う。そのバランスを取っていくことが難しさであり、楽しさでもあると思っています。
まちづくり協議会から準備組合、組合設立というように、事業には多くの段階があります。その一つひとつの段階が上がったときには、事業推進の手ごたえをしっかりと感じることができますし、達成感は自分自身でつくっていくものだと考えています。

公務員だからこそ描ける大きな夢。挑戦心を持つ仲間を求めて
ー外部の専門家とも深いつながりがあると伺いましたが、いかがですか。
浜田:大学の先生方や研究者、民間企業、デベロッパー、奈良県や国など、多様な外部の方々と協議を進めています。若い職員にとっても、第一線で活躍する専門家から直接学びを得られる環境であり、日々成長を感じながら仕事に打ち込める絶好のフィールドです。
ーこの事業に関わってみたいという方に、伝えたいことはありますか。
浜田:専門性や知識は業務の中から得ることができるので、挑戦してみたい、まちづくりに取組んでみたいという気持ちを持っているかどうかが一番のポイントだと思っています。この事業を通じて「自分の成長につなげたい」、そうした前向きな気持ちを持って飛び込んできてほしいですね。
ー民間ではなく行政でこの仕事に携わる意味は、どんなところにあると思いますか。
浜田:民間企業だと5年、あるいはもっと短いスパンで結果や成果、利益を求められることが多いと思いますが、行政のまちづくりはそうしたスパンではありません。まちの整備が完了した後の人の暮らしやまちの運営、将来の発展、そうした視点を持ちまちづくりに関われることが、すごく贅沢なことだと思っています。行政でしか感じることのできない関わり方が、きっとあるはずです。
ー最後に、これからまちづくりを目指す方へメッセージをお願いします。
浜田:「学研高山地区第2工区」の事業は、研究成果や新たな先端技術の社会実装、次世代の移動手段を実証など、いわば実証実験都市でもあります。人のチャレンジを許容するまちをつくろうとしている、そのまちづくりにチャレンジできるというのは、面白いことだと思うんです。取り組む先には、AIの発展などでこれからますます複雑になっていく社会課題の解決にも、向き合っていけるはずです。

ー本日はありがとうございました。
今回の取材を通じて、生駒市が推進する学研高山地区のまちづくりが持つ圧倒的なスケール感と、それに情熱を傾ける職員の皆様の熱量を強く実感しました。これだけの広さの土地に未来のサイエンスシティを描く仕事は、まさに自治体職員の醍醐味と言えます。公務員だからこそ、長期的な視点で果敢に挑戦できる環境が生駒市には整っています。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年8月取材)
この記事の官公庁・自治体
生駒市は、昭和50年代から新興住宅地の開発が続き、都心部へのアクセスの良さ、生駒山や矢田丘陵に囲まれた緑豊かな環境、定評のある子育て・教育環境の良さを活かし、大阪のベッドタウンとして発展してきました。市民の皆さんの定住意向率は87.2%と高い水準を誇ります。 主役である市民が仲間を得て、夢をかなえ、 自分らしく輝きながら暮らせるまちになることを目指しています。 このまちの未来をつくろう。いっしょに。
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