救急車にも消防車にも乗る。21歳の消防士が語る、丹波市で広く経験できるという強み
丹波市役所
「一番しんどい、助けを求めている人に、一番最初に接触して助けられる」
丹波市消防本部の消防第1係で働く入庁3年目の水本さんです。隣の丹波篠山市の高校を卒業し、消防の道に進みました。
今回は、これから消防士を目指す方に向けて、高校3年生のときの進路の決め方から、消防学校での6か月、そして丹波市消防本部ならではの「兼任」という働き方まで、たっぷりとお話を伺いました。
- 進学は考えていなかった高校3年。「働くんやったら丹波市で」
- 消防士が担う、出動以外の仕事
- しんどいけど、楽しい。勉強し続ける仕事だと知った消防学校の半年
- 無線を聞くまで現場は分からない。先輩が先に立ってくれる職場
- 救急車と消防車を乗り換える。兼任だからこそ広がる経験
■進学は考えていなかった高校3年。「働くんやったら丹波市で」
ーまずは、消防士を選ばれるまでのお話から。高校時代はどのように過ごされていたんですか。
水本:自分は隣の市の高校に通っていたんですけど、そのときは全然、就職先をどこにするかなどは考えずに入学して、入ってからも職のことは考えずにいました。いざ、どこに就職するか、進学するかを考えるタイミングで、家族と話したり、担任の先生と話したりする中で、もともと体を動かすのが好きだったので、体を動かせる仕事はどこかなというところと、丹波市出身なので、せっかく働くんやったら丹波市で働きたい、丹波市の役に立つような仕事を選びたいなというところで、消防本部を選びました。
ー体を動かす仕事はほかにもありそうですが、その中で消防士を選ばれた理由は。
水本:先生たちと話していく中で、自衛隊や警察官などいろいろ出たんですけど、丹波市に残りたいというのが大きかったので、消防士を志望しました。
ー丹波市に残りたいというお気持ちの、一番大きな理由はどこにあったんでしょう。
水本:一番は、実家から通えるというところが大きいですかね。周りに消防や公務員は1人もいなかったので、親戚内で消防士になった人が出たというのは喜ばれましたね。
ー逆に、周りに経験者がいないからこその不安もあったのではないでしょうか。
水本:勤務体系が、一般の会社に勤めている人たちとは変わってくるので、生活リズムが変わるというのが、一番不安としては大きかったですね。
ー実際に24時間勤務が始まってみて、どうでしたか。
水本:そこまで苦なく、馴染めたかなとは思います。思っていたほど、環境との違いはあまりなかったです。
■消防士が担う、出動以外の仕事
ー現在のお仕事の内容を教えてください。
水本:消防なので、救急隊の日は救急の出動も出ますし、火災があれば火災で出動する形です。出動がかかれば出ていくのと、現在は消防第1係に配属されていますので、消防関係の資機材等の管理などをしています。
ー出動する以外に、機材や備品を管理する業務もあるんですね。具体的には。
水本:出動したときに使う資機材の消耗品があるので、その数を管理したり、正常に使えるかどうか点検したりすることです。
ーどんな点検をされるんでしょうか。
水本:ホースの筒先、ホースの先端に付ける、持つ部分があるんですけど、それが正常に作動するかや、水圧に負けずにちゃんと水が通るかなどを、実際に水を通して点検したりしています。
ー1日の流れとしては、機材の管理と出動は、どんな割合になるんでしょうか。
水本:日中は、しなければいけない事務仕事があればするのですが、基本的には訓練をして、夜の間に事務仕事をする感じです。その間に出動があれば、途中で出ていくという形です。

■しんどいけど、楽しい。勉強し続ける仕事だと知った消防学校の半年
ーこれまでで大変だったことを挙げるとすれば、どんなことでしたか。
水本:大変だったことは、もともと自分は勉強があんまり得意じゃなかったので、消防学校に6か月入って、訓練と勉強をするというのと、卒業して本部に帰ってきてからも、消防学校では学ばなかった部分というか、もうずっと勉強していくというところですかね。
ーずっと勉強が続くのは、大変ではないですか。
水本:しんどいですけど、楽しいです。やっぱり勉強したから、次の現場でその知識が生きたという現場もありますので、そういうときには勉強してよかったなというのは思います。
入校先は、三木市にある兵庫県消防学校です。神戸市を除く県内の消防本部の新任消防士が、毎年4月から半年間の初任教育を受けます。
ー消防学校では、どんな時間を過ごされたんですか。
水本:6か月間入って、その中で訓練するんですけど、同じ班が7人で、同じ部屋で毎日寝て、食事を食べて、訓練も同じ班で、みたいな感じだったので、家族が1個増えた感じですね。班でしんどい訓練を乗り越えたりしたら、しんどいですけど、やってよかったなと思えます。
ー同じ部屋で過ごされた方々とは、今も会われるんですか。
水本:年に2、3回は、みんなで旅行に行ったり、食事をしたりしています。
ー同じ班の方と話す中で、丹波市ならではだと感じることはありましたか。
水本:消防では上下関係が厳しいという部分がありますが、丹波市はそうした厳しい慣習もなく、フラットな雰囲気です。
■無線を聞くまで現場は分からない。先輩が先に立ってくれる職場
ー消防隊、救急隊、救助隊と役割がありますが、どの隊としても出動されるんですか。
水本:常に現場に出る体制になっています。消防隊に配備された日は、火災があれば出ますし、救急隊では対応しきれない救急や、道路上で交通の整理が必要なときなどは、消防隊が支援隊として出ます。
ーそれぞれのお仕事で、大変だと感じるのはどんなところですか。
水本:現場に行く途中の無線を聞くまで、どんな現場か分からないというのと、着いて自分の目で見るまでは、現場の全体が把握できないというのがありますので。ある程度準備はしておいて、着いたときに臨機応変に対応できるように、車両に乗っている資機材を全部覚えて、現場に合ったものを使用するというのが、一番大変かなとは思います。
ー資機材を全部覚えるというのは、どのように身につけていかれたんですか。
水本:入ってから半年間、消防学校に入るのですが、そこで基礎知識は身につけます。ただ、帰ってきて配属されて、いざ現場に出るとなると、やっぱり慣れない部分もあるので。毎日、朝点検を行うのですが、その点検のときに資機材の使い方を覚えたり、積載位置、車のどこに乗っているかというのを、一番最初に覚えようというのはあります。
ーそれは、ご自身で決めたことですか。
水本:周りの人に言われて。資機材の使い方と、載っている場所を覚えておいたら、現場ではなんとかなるという。それをまず覚えてくれとは言われたので、それを覚えるようにはしました。

ー現場では危険な場面もあると思いますが、不安はありませんか。
水本:現場で危険な箇所があっても、上席の方々が常に目を配ってくださり、危険な行為や行動をしたときは止めてくださいますし、帰ってからも活動の振り返りをしてくださるので安心です。
ー職場は何名くらいで動かれているんですか。
水本:全体の職員は1係と2係に分かれていて、1係にいるのが22人です。そのうち、同じ日に泊まるのが11人から12人ぐらいですかね。同じ係に女性が1人、反対の係にもう1人います。年齢層は、30代、40代が多いです。
ここからは、取材に同席してくださった丹波市消防本部の垣崎さんにも、お話を伺います。
ー垣崎さん、女性の消防吏員の方も活躍されているんですね。
垣崎:消防庁を中心に女性消防吏員の活躍推進に係る取組を積極的に実施しています。丹波市消防本部には、現在女性消防吏員が2名在籍しております。女性が活躍できる職場を目指しておりますので、男性・女性ともにご応募していただきたいです。
ーいま在籍されているお2人は、どんなふうに働いていらっしゃいますか。
垣崎:2名とも若手職員で、話しやすい環境になっていると思いますし、2名ともバリバリ現場で活躍しております。採用された際には、頼れる先輩ではないかと思います。

■救急車と消防車を乗り換える。兼任だからこそ広がる経験
ーいま消防士になろうか迷っている方に、水本さんから丹波市で働くおすすめのポイントを教えていただけますか。
水本:兼任というのもあって、やっぱりいろんなことを経験できるのが兼任の強みかなというのと、幅広い知識が付くというのが、一番強いかなと思います。
ー兼任というのは、具体的にどういう働き方になるんでしょうか。
水本:出動車両は、消防隊、救急隊、救助隊と決まっているんですけど、たとえば救急隊は3人なんですけど、現場に着いてもう1人が欲しいなというのがあったら、支援隊から1人が救急車に乗って、4人で病院まで搬送します。そういう融通が効くんです。兼任だからこそ、いろいろな知識を持った人がいるというのが、強みかなと思います。
ー垣崎さんから見て、規模の大きな消防本部とは働き方がどう違うのでしょうか。
垣崎:規模の大きな消防本部では、業務が専任化されていることが多いかと思います。例えば、救急係に配属されれば、基本的には救急業務を中心に経験を積んでいく形になります。
一方、丹波市のような消防本部では、一人の職員が複数の業務を兼任するため、災害の種別や状況に応じて、救急車と消防車を乗り換えたりすることもあります。
専門性を深く身につけられることは規模の大きな消防本部の特徴だと思いますが、私たちのような消防本部では、消防・救急・救助など幅広い分野の知識や技術が求められます。その分、さまざまな業務や災害現場を経験できることは、大きな特徴あり、強みだと感じています。
ー水本さんが、この仕事で一番やりがいを感じるのは、どんなときですか。
水本:救急現場とかに行ったら、しんどそうな感じで、一番最初に接触するのは救急隊やと思うんです。そういう人たちに接して、観察して、処置を行い、病院に搬送した際に、お礼を言われることがたまにあるんですけど、そういうときが一番やりがいを感じますかね。

ー最後に、これから進路を考える方、消防士を目指す方へメッセージをお願いします。
水本:兼任なので、いろんなことを経験できて、幅広い知識が付くというのが、一番強いところだと思います。
ー本日はありがとうございました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年9月取材)
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兵庫県のほぼ中央に位置する丹波市は、本州一低い中央分水界「水分かれ」を有し、古くからこの地に生物多様性や、人の行き交いをもたらし、寛容性の高い風土を育んできました。 丹波市の美しく豊かな自然、歴史、優しさや温もり溢れる人と人のつながり(縁)を未来に受け継いでいくため、市民の皆さまと手を取り合い、「一人ひとりがしあわせを実感できるまちづくり」の実現を目指しています。
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