数々の選択肢の中で見つけた。人と繋がり挑戦し続ける、病院事務という働き方

中東遠総合医療センター

2026/08/18

静岡県掛川市と袋井市が共同で運営する中東遠総合医療センター。ここで働く入職2年目の大鐘さんは、人間ドック・健診センターで日々多くの受診者と向き合っています。大学時代は外国語学部で中国語を専攻し、就職活動では空港のグランドスタッフなど民間企業を中心に検討していたという大鐘さん。なぜ最終的に、公務員として「病院事務」という道を選んだのでしょうか。そこには、留学生寮で経験した「人の不安に寄り添う喜び」と、生まれ育った地元・静岡への温かい想いがありました。実際に飛び込んだ現場には、受診者からの「ありがとう」があふれ、若手でも責任ある業務や他機関との連携事業に挑戦できるエキサイティングな日常が広がっていました。入職後1年が経過した今、大鐘さんが実感しているやりがいと、病院事務の本当の魅力に迫ります。

 


憧れの県外生活を経て気づいた地元の魅力と、「病院」という新たな選択肢

ーまずは、大鐘さんが入職されるまでの経緯について、簡単に教えていただけますか?

 

大鐘:よろしくお願いします。私は静岡県磐田市の出身で、県内の高校を卒業した後に京都の大学に進学しました。大学では外国語学部に所属して、中国語を専攻していました。

 

ー大学は京都に進学されたのですね。京都を選んだのには、特別な理由があったのでしょうか?

 

大鐘:実は、高校生の頃から「一度は県外に出て一人暮らしをしてみたい」という強い憧れがありました。そんな中、京都を選んだ理由は2つあります。

 

1つは、外国語に興味があった私にとって、観光客や外国人が非常に多く行き交う京都という街がとても魅力的だったからです。そして、もう1つは、私が大の抹茶好きだったことです(笑)静岡もお茶で有名ですが、京都の抹茶文化にもすごく惹かれていたんです。

 

実際に通ってみて、京都ではとても充実したキャンパスライフを送ることができました。

 

ー大学卒業後は、静岡へ戻ることを決めていたのですか?

 

大鐘:いえ、最初は地元に戻ると決めていたわけではありませんでした。大学4年生の就職活動では、県外と県内の両方で並行して選考を進めていたんです。

 

ですが、色々な企業や地域を見る中で、改めて静岡県の人の温かさや、生まれ育った地域の素晴らしさに気づくことができました。それで「やっぱり自分が生まれ育った場所で、地域に貢献していきたい」という思いが強くなり、地元での就職を決めました。

 

ー就職活動では、どのような業界を中心に見ていたのですか?

 

大鐘:大学で学んだ語学力を活かしたいという思いが軸にありましたので、空港のグランドスタッフなど、民間企業の観光や接客に関わる分野を中心に受けていました。

ー語学を活かすための航空業界等はよくわかるのですが、「病院」という選択はどういったきっかけだったのですか?

 

大鐘:大学時代に留学生寮で住み込みのアシスタントを経験していたことが大きなきっかけです。寮生活の中で、体調を崩した留学生の病院受診に何度も付き添い、通院のサポートを行いました。

 

言葉や文化の異なる土地で病気になり、大きな不安を抱えている留学生の心に寄り添う中で、不安を和らげられたことにとても深いやりがいを感じたんです。そんな経験から、「語学力を活かしながら人の不安に寄り添う仕事」として、病院という選択も考えるようになりました。

 

ー中東遠総合医療センターを選ばれた理由も教えていただけますか?

 

大鐘:一番の理由は、中東遠総合医療センターは、掛川市と袋井市で構成される企業団が運営する公立病院であり、公務員として働けるということです。

 

また、単一の市だけでなく2つの市が合同で設立した大きな総合病院であるため、より多くの地域住民の方々と関わることができますし、これからインバウンドや外国人の患者さんが増えていく中で、自分の語学力も活かせるのではないかと感じて応募を決めました。

 

「病院事務」のイメージを覆す。人と温かく繋がる現場

ー現在の大鐘さんの業務について教えてください。

 

大鐘:私は現在、人間ドック・健診センターに所属しています。業務内容としては、人間ドックや各種健診を希望される受診者様からの事前予約の受付や調整、健診当日の窓口受付対応を行っています。

 

さらに、受診が終わった後に各企業や契約団体へ検査料金の請求を行う事務処理まで、健診に関わる一連の事務手続き全般を担当しています。

 

ー入職前に抱いていた「公務員」や「病院事務」のイメージと、実際に働いてみて感じたギャップはありましたか?

 

大鐘:大きなギャップがありました。入職前は、病院の事務職というと「黙々と事務をこなす仕事」というイメージを勝手に持っていたのですが、私が配属された人間ドック健診センターは、病院の事務組織の中で最も来院者とお話しする機会が多い部署でした。

 

電話での予約受付や当日の窓口案内など、毎日本当にたくさんの方とコミュニケーションを取ります。良い意味で想像と全く違っていて、人と接することが好きな私にとって、このギャップは嬉しいものでした。

ー人と直接関わる現場だからこそ感じられる、仕事の面白さややりがいについて教えてください。

 

大鐘:やはり、受診者様から直接感謝のお言葉や温かいお褒めの言葉をいただけた瞬間に、一番のやりがいを感じますね。お電話でご予約を伺う際や窓口で対応する際に、相手方が気になっていることについて詳しくご説明したり、ご不安な点に丁寧にお答えしたりする機会が多くあります。その対話を通じて「ありがとう」「安心した」と言っていただけると、心から嬉しくなりますね。

 

若手でも責任ある業務に挑戦!一から創り上げる手応えと達成感

ー窓口業務以外にも、プロジェクト等に携わる機会があるのでしょうか?

 

大鐘:はい。当院の事務職は、若手のうちから本当に色々な挑戦をさせてもらえる環境があります。特に印象に残っているのが「休日健診」の企画・運営です。

 

通常、人間ドック・健診センターの営業は平日のみですが、お仕事などのご都合で平日に受診できない方のために、年に数回、休日に特別検検診を実施しています。

 

直近で実施された7月の「休日婦人科検診」において、私がメイン担当者として一から準備と運営を任せていただきました。事前の広報や申し込み受け付け、当日の準備から実施に至るまでの工程を担当しました。

 

今回は想定を大幅に上回る大変多くの方からお申し込みをいただいたため、事務処理の手順を整えるだけでも一苦労でした。さらに、当日は事務職だけでなく、看護師さんや臨床検査技師さん、診療放射線技師さんといった多くの医療職の方々と一緒に動く必要があります。そのため、関係各所と入念な調整を行いながら準備を進めていくプロセスが最も大変でした。

ー他職種の方々との調整を乗り越えて無事に当日を終えた時は、大きな達成感があったのではないでしょうか?

 

大鐘:まさにその通りです。当日は大きなトラブルもなく無事に多くのお客様をお迎えすることができ、一から準備したイベントをやり遂げた時には、大きな達成感を感じました。「自分も病院組織の一員として仕事をしたんだ」という自信に繋がりましたね。

 

ー他にも、外部組織と連携した取り組みにも携わっていたと伺いました。

 

大鐘:そうなんです。当院の人間ドック・健診センターでは、名古屋大学との共同研究で「歩行検査」をオプション検査として提供しています。これは受診者様の歩き方の癖を測定し、将来的に寝たきりになるリスクなどを分析・予防するための先進的な検査です。

 

私も先輩と一緒にこの共同事業の担当を任せていただいています。入職前は、まさか病院の事務職として大学の研究室や民間企業の方々と一緒に仕事ができるなんて思っていませんでした。こうした多様な外部組織と連携しながら新しい価値を作っていける点も、当院で働く大きな面白さだと感じています。

 

専門用語の壁を乗り越え、メリハリある働き方を実現

ー医療現場で働くにあたり、最初は専門知識などの面で戸惑うことも多かったのではないでしょうか?

 

大鐘:大学では外国語を学んでいたため、医療に関する知識は全く持っていませんでした。入職当初は、職場内で飛び交う専門用語や、医療職の方々が当たり前のように使う英語の略語が何一つ理解できず、大きな不安を感じていました。

 

ーどのようにしてその壁を乗り越えられたのですか?

 

大鐘:隣についてくださった教育担当の先輩のおかげです。当院の人間ドック・健診センターには、私と年齢の近い先輩がいます。先輩方に一つひとつ丁寧に教えていただき、メモを取りながら覚えていくことで、徐々に用語や流れが理解できるようになりました。今では自分自身がその略語を使ってスムーズに業務や会話ができるようになっていて、自分の成長を実感しています。

ー年齢の近い先輩方が近くにいるのは心強いですね。ちなみに、若手職員としての「働きやすさ」についてはいかがでしょうか?

 

大鐘:働きやすさに関しては、本当に恵まれていると感じています。基本的にお休みがカレンダー通りですので、家族や友人と予定を合わせやすくて助かっています。

 

また、残業についても「自分の仕事が終わったら周囲に気を遣いすぎず帰る」というメリハリのある文化が定着しています。「先輩が残っているから帰りづらい」というような雰囲気は全くありません。

 

ーお休みもしっかり取れていますか?

 

大鐘:ものすごく取りやすいです(笑)

 

若手であっても非常に有給休暇が取りやすい環境です。私の場合、1年目の時から年休やリフレッシュ休暇なども含めて、年間で20日以上休暇を取得させていただきました。

 

休む時はしっかりと休み、働く時は集中して働く、という考えの方が多いので、プライベートも存分に楽しむことができています。

 

ー語学力を活かしたいという想いがあったかと思いますが、外国人患者様と接する機会などはありましたか?

 

大鐘:はい。当院の周辺エリアでも外国人の受診者様が少しずつ増えてきており、窓口や電話で英語や中国語を接客で使う機会が時々あります。

 

ただ、日常会話でのコミュニケーションは取れても、命や健康に関わる「医療専門用語」を外国語で正確にお伝えすることは非常に難しく、自分の知識不足を痛感することもあります。そのため、今後は医療分野に特化した外国語の資格取得に向けて勉強を進め、より正確で安心感のあるサポートもできるようになりたいですね。

 

「偏ったイメージ」の先にある可能性。未来の仲間へのエール

ー今振り返ってみて、「この病院を選んでよかった」と感じるのはどんな時ですか?

 

大鐘:病院事務という枠組みの中にありながら、本当に多種多様な業務やキャリアに挑戦できると実感した時です。

 

もし民間企業で特定の職種に就いていたら、決まった範囲の業務しか経験できなかったかもしれませんが、当院の事務職であれば、経営や医療事務、システム管理など、本当に幅広い部署が存在しており、誰でも異動して活躍できる可能性があるんです。

 

ー病院や事務という言葉のイメージにとらわれない働き方ができるのですね。最後に、就職活動を行っている求職者や学生の皆さんへ、メッセージをお願いいたします!

 

大鐘:「病院事務職」と聞くと、もしかしたら裏方として病院を支える「事務」というイメージしか湧かない方が多いかもしれません。ですが、実際に飛び込んでみると、想像以上にたくさんの人と深く関わり、イベント企画や外部連携など幅広い業務にチャレンジできる魅力的なフィールドが広がっています。

 

医療の専門知識がゼロの状態で入職した私ですが、当院には優しく親身になってサポートしてくれる温かい先輩方や仲間が揃っています。知識や経験がなくても、安心して飛び込んできてほしいです。

 

入職後のギャップをなくすためにも、ぜひ実際に働いている職員のインタビューや生の声に触れて、自分の理想とする働き方を見つけてみてください。

 

皆さんと一緒に働ける日を楽しみにしています!

 

ー本日はありがとうございました。

 

京都での大学生活や民間企業への就職活動を経て、「生まれ育った地元に貢献したい」という真っ直ぐな想いで中東遠総合医療センターの門を叩いた大鐘さん。インタビュー中、留学生を支えた思い出や、一から準備した休日検診の達成感を語る姿は、とても生き生きとしていました。「専門知識ゼロからのスタートだった」と振り返る大鐘さんを優しく包み込んだのは、どんな質問にも隣で耳を傾けてくれる先輩たちの存在と、部署の垣根を越えた温かいチームワークでした。受診者からの「ありがとう」を原動力に、専門語学の勉強という新たな目標に向かって歩み続ける大鐘さんの笑顔は、病院事務という仕事の新しい可能性を物語っていました。

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年7月取材)

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当院では患者さまに高度な医療を提供するために、専門の医療スタッフが一丸となって活動しています。 さまざまな場面において多職種協働によるチーム医療を展開し、チームの意思疎通を図るためのカンファレンスやラウンドなども積極的に行っています。 また、患者中心の医療を目指して、スタッフだけでなく患者さまやご家族もチームに参画できるようコミュニケーションを大切にしています。 医療に関わるすべてのスタッフが職種の強みを存分に発揮し、患者中心の理想的なチーム医療を目指しています。 医療のプロフェッショナルとして、ともに高みを目指す、そんなみなさんをお待ちしています。

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