お役所のイメージを覆す風通しの良さ。高校新卒職員の不安を安心に変えた、糸田町役場の温かい人間関係
糸田町役場
「役場って堅いイメージだったんですけど、たくさんの方が話しかけてくれて、人間関係がすごくいいんです」
そう笑顔で振り返るのは、糸田町役場健康福祉課国民健康保険係で働く、入庁2年目の白石さん。高校を卒業してすぐに地元・糸田町役場へ入庁し、現在は保険証の交付や国民健康保険税の徴収などを担当しています。
今回は、公務員を目指す方に向けて、入庁までの経緯や国民健康保険係の仕事内容、そして職場の雰囲気について、たっぷりとお話を伺いました。
- 地元愛と手話。中学生から抱いていた「役場で働きたい」という思い
- 「息を吸うのが怖いぐらい」。緊張の採用試験と入庁後に変わった印象
- 保険証交付から滞納整理まで。国民健康保険係のリアルな仕事
- 黙々と仕事、という想像は外れた。糸田町職員が語る職場の温度感
地元愛と手話。中学生から抱いていた「役場で働きたい」という思い
ーまず、白石さんのご出身と、公務員を目指すようになったきっかけを教えてください。
白石:生まれも育ちも糸田町で、小中学校も地元の学校に通っていました。糸田町には高校がないので、隣の市にある高校に進学しました。特に公務員を目指すコースがあったわけではなく、周りは大学に進学する人が多かったのですが、私は中学生の頃から、将来は市町村で働きたいという思いがずっとありました。
きっかけは小学生の時に参加した、糸田町主催の野外学習です。夏休みに青年の家という施設に1日泊まって、みんなでカレーを作ったりワークをしたりするもので、学校主催の林間学校ではなく役場が企画から関わっているものでした。それを見て楽しそうだなと興味を持ったのが、市町村で働きたいと思ったきっかけです。
ー市町村で働きたいという思いがあった中で、最終的に糸田町を選んだ理由は何ですか。
白石:生まれ育った町で、子どもたちと関わっていきたいという思いがありました。それと私は手話をやっているので、糸田町で行われている手話の勉強を通じて、聴覚に障害がある方への貢献もしていきたいと思い、地元の役場に決めました。
手話は中学2年生の時から始めました。ちょうどコロナ禍で、何か勉強を始めたいと思ったのがきっかけです。もともと保育園の時に指文字を少し勉強していたので、手話への抵抗はありませんでした。決定的だったのは、近所に聴覚に障害がある方がいて、その方とコミュニケーションを取りたいと思ったことです。

「息を吸うのが怖いぐらい」。緊張の採用試験と入庁後に変わった印象
ー当時の試験内容について教えてください。
白石:一次は糸田町役場での筆記試験、二次はグループワーク、三次は副町長、教育長、総務課長や外部の方が同席する個人面接という流れでした。面接では手話について深掘りされたほか、「なぜ始めたのか」「どのように貢献していきたいのか」といったことを聞かれたのを覚えています。
ー面接の雰囲気で印象に残っていることはありますか。
白石:面接では、そうそうたる方々を前に、かなり緊張しましたね。中でも総務課長は貫禄があり、怖そうな方だなという印象でした(笑)。実際に入庁してからも、総務課長とはあまり話す機会がないのですが、庁内で挨拶をした時にすごく優しく挨拶を返してくれるので、イメージはだいぶ変わりましたね。
ー入庁前に不安だったことはありますか。
白石:アルバイトの経験がなかったので、上司との関わり方や、町民の方と接する機会が多いことによる言葉遣いには、大きな不安がありました。また、仕事には責任が伴うため、どのように責任を果たしていけばよいのかということも、よく考えていましたね。

保険証交付から滞納整理まで。国民健康保険係のリアルな仕事
ー現在の具体的な仕事内容を教えてください。
白石:国民健康保険係として、保険証の交付や、病院にかかる際の資格が適正に使えているかの確認、国民健康保険税の徴収などを主に行っています。税の徴収では、滞納されている方もいらっしゃるので、そこは慎重に、上司と話し合いながら進めています。
そのほか、病院で払いすぎた医療費を、領収書をご持参いただいて還付する高額療養費の手続きや、年に1回受診できる特定健診の受付なども担当しています。
ー保険証の交付は、どのようなタイミングで行うのですか。
白石:新規の加入者の方には窓口で交付し、すでに加入している方には、7月の中旬から下旬にかけて保険証を印刷し、更新後の保険証を郵送でお送りしています。
窓口が最も混み合うのは4月の初めで、加入や脱退の手続きなどを合わせて、多い時で20人ほど対応することもあります。係は3人いるので、3人で振り分けて対応しています。3月に退職される方が多いため、4月が一番忙しい時期ですね。

ー実際に働いてみて、大変だと感じることはありますか。
白石:人と関わることが多いので、自分の伝え方には気を遣いますし、時には町民の方から厳しい言葉をかけられることもあります。最初にそれを経験した時は、「こんなに言われるものなんだ」と驚きました。
ー逆に、やりがいや達成感を感じる瞬間はありますか。
白石:滞納されている方と話をして、実際に支払っていただけた時は、「交渉に時間はかかったけど話してよかった」と思いますし、達成感がありますね。滞納している方との交渉では、1時間ほど話すこともあります。
また、保険証交付や高額療養費の窓口対応の中で、「手続きしてくれてありがとう」と感謝していただけることもあります。数として決して多いわけではありませんが、そうした言葉をいただけると、この仕事のやりがいを感じます。

黙々と仕事、という想像は外れた。糸田町職員が語る職場の温度感
ー入庁前は、役場にどんなイメージを持っていましたか。
白石:外から見ていた頃は、役場に対して堅いイメージを持っていました。黙々と仕事をこなし、あまり会話をしないような職場ではないかと想像していたんです。
ですが、実際に入庁してみると、そのイメージとは大きく異なっていました。先輩方から気さくに声をかけていただく機会が多く、想像していた以上に人間関係がいいんです。
ー研修制度や教育体制についても教えてください。
白石:入庁前の3月最終週には、電話の取り方や話し方、言葉遣いといったビジネスマナーの研修がありました。4月1日の辞令交付を終えると、すぐに各課へ配属となり、その日から実務がスタートします。最初はできることが少ないため、窓口や電話での先輩の対応を見て学ぶところから始まりました。
教育係には同じ係の女性の方についていただき、国民健康保険係を長く担当してきたベテランの方だったこともあり、とても話しやすい方でした。加えて、5月と10月には研修センターに県内の市町村の新人が集まる合同研修もあり、5月はビジネスマナーの基本を、10月は人権研修やクレーム対応といった実践的な内容を学びました。
ー職場の雰囲気について、もう少し聞かせてください。
白石:昼休みも、「休日に何をした」とか「このお店のパフェが美味しい」とか、仕事から離れたコミュニケーションも活発で、とても話しやすい雰囲気です。同期は私を含めて3人と少ないので、一期上の先輩たちと一緒に休日にご飯に行くこともあります。
ー残業やお休みの取りやすさはいかがですか。
白石:町民の方が帰った後にしかできない業務もあるので、残業は定期的にありますが、時間外勤務手当はしっかり支給されています。月末や、3月・4月・保険証を更新する7月は残業が多くなりますが、それ以外の日は割と定時で帰れることが多いです。
休みは、保険証の更新時期などの忙しい時期を避けて、周りに相談しながら取っています。夏季休暇は5日間あり、役場全体で100%の消化率を目指しているので、しっかり取得できました。
ー最後に、公務員を目指す学生の方にメッセージをお願いします。
白石:糸田町役場は職員の年齢層に幅があり、同年代の方はもちろん、30代・40代の方も含めて皆さん話しやすい雰囲気です。年齢が離れた方であっても、まるで親と話しているような感覚に近く、気負わずに接することができています。
私自身、高校を卒業してすぐに就職しても、とても働きやすい人間関係ができているので、ぜひ糸田町に来てほしいなと思います。

ー本日はありがとうございました。
白石さんの語り口からは、地元・糸田町への思いと、日々の仕事への実直な向き合い方が伝わってきました。中学生の頃に抱いた「役場で働きたい」という思いを胸に入庁した白石さん。堅いイメージだった役場が、実際には雑談も交わせる温かい人間関係に満ちていたというギャップは、これから公務員を目指す方にとっても心強いエピソードになることでしょう。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年7月取材)
この記事の官公庁・自治体
糸田町は、福岡県のほぼ中央、田川盆地の北西に位置する面積約8km²、人口約8千人の町です。 車で福岡市から約60分、北九州市から約50分とアクセスは良好です。 一般行政職の職員数は約100名ですので、職員全員の顔と名前が分かるアットホームな職場です。 また、町立の保育所と病院を備えていますので、安心して生活できる公的施設が充実しています。 行政にありがちな縦割り行政が比較的少なく、所属課を超えた横の連携・協力が生きている職場です。 現在、若手職員の交流や研修を充実させていますので、すぐに馴染んで仲良くなってもらえる環境を整えています。 職員数が少ないからこそ、若くても、優秀な意見が割と通りやすい職場になっていますので、皆様の素晴らしい才能を糸田町で発揮してみてください。
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