「冠水した街の光景が、今でも目に焼きついて」——霧島市の土木技師が語る、災害と向き合った日々

霧島市役所

2026/09/15

「冠水した街の光景が、今でも目に焼きついて」——そう振り返るのは、霧島市役所建設部建設施設管理課で働く、入庁7年目の土木技師・林さん。

 

前職はゼネコンで現場監督を6年間務め、地元・霧島市に貢献したいという思いから転職を決意しました。令和2年度の入庁後は農林水産部耕地課、令和5年度からは建設部建設施設管理課で、道路や農地・農業用施設の維持管理に携わっています。

 

今回は、霧島市の土木職を目指す方に向けて、災害対応の現場で味わった苦しさと、その先にあるやりがいについて、たっぷりとお話を伺いました。

 

 

 

 


 

重機に憧れた少年が、霧島市役所へ。ゼネコンの現場監督から見つけた新たな志

 

ーまずは、林さんの簡単なご経歴について教えてください。

 

林:出身は霧島市です。高校まで、ずっとこの土地で育ちました。高専では土木工学を専攻し、5年間、専門的な授業を受けながら学んでいました。進学のときは、正直まだふんわりとしたイメージでしたが、幼いころから土木の建設機械が好きでして。パワーショベルのような重機を見て、「かっこいいな」と思ったのがきっかけです。

 

 

ー高専をご卒業後、ゼネコンに就職されたと伺いました。

 

林:はい。元請けとして工事を請け負う会社に6年間勤め、下請け業者さんと工事を進めながら、現場監督の業務を行っていました。かなり残業も多く、休日出勤もある、ハードな仕事だったと思います。

 

 

ーそこから、なぜ公務員の道を選ばれたんですか。

 

林:前職で最初に携わった現場が、市の事業として進める大きな都市整備事業でした。5年間、同じ現場で市の土木技術職員の方々と一緒に仕事をする中で、工事の知識が豊富なだけでなく、地域の方々に誠実に向き合う姿勢を見ているうちに、「自分もやってみたい」という気持ちが芽生えたんです。

 

ちょうど将来のことを考えるようになった時期でもあり、せっかくなら家族や友人がたくさんいる霧島市に帰って、少しでも役に立てたらという思いで、入庁を決めました。

 

 

対象は水路から道路へ。霧島市の暮らしを守る、土木技師の日々の仕事

 

ー入庁後、最初はどのような部署に配属されたんですか。

 

林:令和2年度に、農林水産部の耕地課に配属されました。農業を支える農道や農業用水路といった施設の維持管理や改修、そして大雨や台風で農地・施設が壊れた際の災害復旧事業に取り組んでいました。

 

 

ー日々の維持管理は、具体的にはどのような対応をされていたんですか。

 

林:農家さんや耕作者の方からの通報のほか、パトロールで見つけたものも含めて、都度現場を確認して対応していました。老朽化した箇所の補修や、農道に開いた穴の補修など、細やかなメンテナンスが日常業務の中心でしたね。

 

 

ー令和5年度からは建設部の建設施設管理課に異動されていますが、今はどのようなお仕事をされていますか。

 

林:対象が道路になったという点以外は、耕地課と近い内容だと思います。日頃のメンテナンスに加えて、道路の維持工事、そして災害時の復旧対応を行っています。工事発注件数も他部署に比べて比較的多い方で、舗装の打ち替えを行う修繕工事や、老朽化した橋の補修工事、場合によっては橋の架け替え工事など、規模の大きな工事に携わることもあります。

 

 

ー前職での経験が、今の仕事に生きていると感じることはありますか。

 

林:ゼネコン時代に1級土木施工管理技士の資格を取得しました。工事の品質や出来栄え、正しいやり方でものづくりがされているかを確認するための知識で、今は発注者側として業者さんの工事を細かく確認する立場にありますので、その知識が非常に役立っていると感じます。

 

 

「これが地域の暮らしの支えになっている」。目に見える成果がもたらすやりがい

 

ー土木技師として働く中で、どんなところにやりがいを感じますか。

 

林:私たちの仕事は、施設のメンテナンスや維持工事を通して、成果がすぐに形になります。「これが地域の暮らしの支えになっているんだ」と思える瞬間があって、そこにやりがいを感じますね。

 

 

ー特に印象に残っているお仕事はありますか。

 

林:耕地課で最初に担当した工事です。田んぼに用水を送るための「転倒ゲート」という施設があるんですが、それまでは農家さんが直接、危険で足場の悪い場所まで行って操作しなければいけませんでした。そこで、国の補助金を活用して、パソコンやスマートフォン等から遠隔で操作できる設備を取り付ける工事を担当したんです。

 

 

ー農家さんからは、どんな反響がありましたか。

 

林:現地まで行かなくても、家から操作ができるようになったことを、「本当にありがとう」と言っていただきました。あれから6年ほど経ちますが、今でもその方とお会いすると、「あの時はありがとうね」と声をかけていただくことがあって、非常にうれしく思います。

 

 

ー6年経った今もお礼を言われるというのは、すごいことですね。

 

林:そうですね。日頃、当たり前のように使ってもらえている姿を見ると、「あの工事をやってよかったな」と、あらためて思いますね。

 

設置した「転倒ゲート遠隔操作・監視装置」

誕生日の夜に襲った記録的豪雨。命を預かる現場の重い責任

 

ー土木技師として大変だと感じることを教えてください。

 

林:建設施設管理課は、道路の安全な通行を確保することが第一の役割です。倒木や土砂崩れで通行ができなくなった場合、事故や二次災害を防ぎ、早急に通行機能を回復させることが求められます。現場に急行し、その場ですぐに判断を下さなければ次の事故につながることもあるので、「自分の判断が間違っていないか」と不安になることもあります。

 

 

ー特に印象に残っている出来事があると伺いました。

 

林:昨年の8月の大雨です。全国ニュースになるほどの被害だったのですが、その日はちょうど私の誕生日でした。家族に祝ってもらっていたのですが、夜中から雨が降り出し、先輩や上司と巡回に出たんです。

 

 

ーそのときの状況を教えていただけますか。

 

林:現場に出たときには、水がくるぶしくらいまで上がっていたのが、1時間後には膝まで達していました。今まで見たことのない雨で、唖然としましたね。市民の皆さんが大丈夫かという心配はもちろん、私たちが管理する道路が何箇所崩れるだろうと考えながら、その夜からずっと連日、災害対応に追われました。冠水した街の光景は、今でも目に焼きついています。

冠水した国分中央地区

 

ーその後の対応も大変だったのではないですか。

 

林:その年は、災害の取りまとめ担当も務めていました。国の補助金を受けるための復旧設計の申請を進めながら、取りまとめの業務も並行して行っていたので、かなりつらい1年になりました。ただ、道路維持グループはみんな明るく、和気あいあいと取り組めるメンバーだったので、なんとか乗り越えられたのかなと思います。まだ道半ばの道路もありますが、少しずつ落ち着くところまでは来ました。

 

 

年上も年下も分け隔てなく。風通しのよい霧島市役所の働き方

ー職場の雰囲気について教えてください。

 

林:私の職場はみんな元気で、とても明るい雰囲気ですね。年上・年下に関係なく冗談を言い合えるような、楽しい職場です。休日に一緒に飲みに行ったり、ゴルフに行ったりすることもあります。

 

 

ー業務上のコミュニケーションも活発なんですか。

 

林:はい。道路の維持管理は地区ごとに担当が割り当てられていて、対応にバラつきが出ないよう、公平性を保つことが大切なんです。そのためのやり取りは密に行っていますし、設計で難しい部分が出てきたときも、「こういうやり方でやったらいいよ」とすぐにアドバイスをもらえる先輩がたくさんいます。

 

 

ーワークライフバランスについてはいかがですか。

 

林:業務量は多いのですが、コミュニケーションがしっかり取れている分、業務効率も上がっていて、残業はほとんどしていません。ただ、梅雨入りの6月から台風シーズンの10月中旬、道路が凍結する時期は早朝対応も出てくるので、年間を通せば半分くらいは忙しいかもしれません。

 

有給休暇や夏季休暇も、自分のやり方次第で取りやすい環境だと思いますし、私も最大限活用させてもらっています。

 

 

ー最後に、霧島市の土木技師を目指す方へメッセージをお願いします。

 

林:市役所の土木技師の仕事は、成果が形となり、地域の暮らしを支えるために必要不可欠なものです。部署によって仕事の規模も異なりますが、小さくても大きくても、それは必ず市民のためになるものだと思っています。

 

そんな公共基盤を支える仕事に、年を重ねるごとに使命感が強まり、少しだけ誇りに思えるようになりました。「やりがいを持って働きたい」という方には、ぜひ霧島市の土木技師をおすすめしたいです。

 

 

ー本日はありがとうございました。

 

入庁7年目、霧島市の道と農地を支え続けてきた林さん。取材中は終始明るい表情で、時折笑顔も見せながら、ゼネコン時代の思い出や災害対応の苦労を率直に語ってくれました。

 

冠水した街の光景を今も胸に刻みながら、今日もまた、地域の暮らしを支える現場に立ち続けている。その明るさの奥にある、土木技師としての誇りがとても印象的でした。

 

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年7月取材)

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霧島市は鹿児島県の中央部に位置し、空港や高速道路、鉄道が交差する交通の要衝で、人口約12万3千人の県下第2の規模を誇り発展を続けるまちです。 数々の世界的企業が立地し、革新的な製品を産出する工業地帯であるとともに、天孫降臨神話の地としても知られ、霧島神宮の社殿の一部が国宝に、鹿児島神宮の社殿が国の重要文化財に指定されるなど、歴史や伝統、豊富な自然・観光資源を有しています。 市制施行20年を迎えて、これからますます発展する可能性を秘めています。霧島市がもっと魅力的なまちになるように、一緒に汗を流してくれるあなたからの応募を待っています!

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