愛知で6年働き、雲仙市へUターン。移住相談を担う職員が伝える「まず1回来てみて!」
雲仙市役所
「どの部署に行っても、地元のためになる。それがいちばんのやりがいです」
そう語るのは、雲仙市役所 地域振興部 地域づくり推進課で、移住や定住、空き家の活用を担当する入庁5年目の海出 淳(かいでじゅん)さん。入庁5年目です。
雲仙市で育ち、高校卒業後は愛知県の製造業へ。約6年間働いたのち、民間企業などでの経験者を対象とした「社会人経験枠」で、2022年4月に入庁しました。
水道課、農林課を経て、いまの部署へ。異動のたびに仕事は大きく変わりましたが、軸にあるのは地元への思いです。今回は、Uターンの経緯や移住相談の現場、働きやすさについて話を聞いていきます。
- 愛知の工場勤務から市役所へ。「地元に帰る」を目標に選んだ公務員試験
- 水道課の現場から移住の窓口まで。異動のたびに広がった仕事の幅
- Uターンの経験を、相談者の背中を押す一言に。移住相談の現場から
- 休暇は取りやすく、工場での経験も生きる。雲仙市で働き、暮らす毎日
愛知の工場勤務から市役所へ。「地元に帰る」を目標に選んだ公務員試験
ーまず、高校を卒業したあとの進路を教えてください。
海出:高校までは雲仙市で育ち、できれば九州、なかでも長崎で働きたいと思っていました。ただ求人があまりなく、当時の先生から愛知県の会社の求人を紹介してもらいました。やりたいことも特に決まっていなかったので、受けてみることにしたんです。
ー愛知では、どのようなお仕事をされていましたか?
海出:自動車関連の工場で、製造ラインの作業を担当していました。決まった持ち場で黙々と手を動かし、お客さんと話す機会もなく、市役所の仕事とは正反対です。
ー雲仙市に戻ろうと考えたのは、なぜですか?
海出:年に数回、ゴールデンウィークやお盆、お正月に帰省すると、地元に残った友人たちから「早く帰ってこいよ」と言われていました。自分も帰りたい気持ちはずっとありましたが、資格があるわけでもなく、どうすればいいか分からなかったんです。
そんなとき、愛知の会社を勧めてくれた先生に相談しました。先生が、社会人経験枠で雲仙市役所に入った方に聞いてくれて、今年も募集があると分かりました。それまで公務員は考えていませんでしたが、「大変でも勉強して受けてみたらどうだ」という助言をもらい、挑戦を決めたんです。
ー公務員の受験先として、雲仙市を選んだ理由は何ですか?
海出:いちばんは、地元だからです。きれいごとに聞こえるかもしれませんが、地元のためにという気持ちは、受験したときも今も変わりません。雲仙市の試験に受かるまで、何度でも受けるつもりでした。
ー工場から市役所へ、仕事の内容は大きく変わります。不安はありませんでしたか?
海出:ありました。前の職場ではパソコンをまったく使わず、お客様と電話をした経験もなかったからです。そこで入庁する前に、会計年度任用職員(任期を定めて働く職員)として、人事課で2か月ほど働きました。「パソコンや電話対応を勉強しておいた方がいいよ」と助言をもらい、パソコンの本を買って練習しましたね。

水道課の現場から移住の窓口まで。異動のたびに広がった仕事の幅
ー入庁1年目の水道課では、何を担当されましたか?
海出:配属先は、水道課の中で現場を担当する給水班です。主な仕事は、浄水場の点検、家を建てるとき等の給水の申請受付、漏水の修理の3つです。1日に1回は、みんなが外の現場に出ていくような職場でした。
ー2年目と3年目の農林課では、どのような仕事を担当されましたか?
海出:畜産を担当しました。国や県が行う家畜(牛・豚・鶏など)の頭数調査への対応と、補助事業の受付が主な仕事です。受付のほか、補助事業の完成検査で現場に出向くこともありました。品評会などの大会に足を運び、会議の後の懇親会にも参加するなど、農家さんと顔を合わせる機会の多い仕事です。
ー水道課から農林課へ、仕事の内容はどのように変わりましたか?
海出:初めて補助事業を扱ったので、手順や書類の郵送、電話対応、会議の企画と準備まで、一から教えてもらいました。水道課の現場の仕事とはまったく違い、市役所らしい事務の仕事を経験できた2年間です。農家さんと信頼関係を築けるよう、力を入れていました。
ー現在の部署では、どのような仕事を担当されていますか?
海出:移住と定住、空き家の利活用の推進が担当です。朝はメールの確認から始まります。決まった流れはあまりなく、窓口・電話・メールでの相談、補助事業の対応や空き家の現地確認、移住の相談が日によって入ります。相談はオンラインと窓口の両方で受けていて、年に数回は県外の移住相談会にも出張します。
ホームページやSNSに載せる写真、動画、文章をまとめるのも仕事です。発信する楽しさがある一方で、市の公式の情報なので、責任も感じます。農林課で補助事業に携わった経験は、いまの仕事にも生きています。
ー入庁5年目の現在、ご自身の成長を感じる場面はありますか?
海出:トラブルや問い合わせがあったときに、誰に聞けばいいかが分かるようになりました。市役所全体で共有している資料も、どの課もしっかりそろえているので、調べればすぐに答えが見つかります。1年目は問い合わせにあたふたしていたので、成長を感じます。

Uターンの経験を、相談者の背中を押す一言に。移住相談の現場から
ー雲仙市が力を入れている移住・定住の取り組みについて、聞かせてください。
海出:若い世代や子育て世代に移住してほしいという方針は、私が異動する前からありました。ほかの市町が行っていないような、市独自の補助事業も用意しています。ただ制度があるだけでなく、資料を作って配るなど、周知や情報発信にも力を入れています。
ー移住相談の中で、ご自身のUターンの経験が役に立った場面はありますか?
海出:最近、雲仙市内の小浜町というエリアへの移住を希望する方から、相談がありました。仕事と家賃の面で決めきれず、1年ほど通いながら探していらっしゃいますが、いい空き家にはなかなか出会えていません。
私も愛知にいたころは、早く帰りたいと思いながら、次の仕事も決まっていませんでした。それでも試験を受けると決めたとき、「とりあえず帰るために頑張るか」と思えて、気持ちが前に進んだんです。その経験を伝え、悩み続けるより、まず住んでみるだけでも気持ちは変わるのではないかと助言しました。
「希望の一軒家がなくても、アパートなどはどうでしょうか。1回来るだけでも、きっと楽しいですよ」とも伝えたところ、その方も「まずは引っ越そうかな」と話していて、少し背中を押せたのかなと思っています。
ー移住を考えている方からは、どのような内容の相談が多いですか?
海出:仕事に関する相談がいちばん多く、次が住むエリアと家賃についてです。家賃が思ったより高いと驚かれるエリアもありますが、人気のエリアなので、それだけ需要も高いと説明しています。
ーどのタイミングから相談できますか?
海出:住んだことのないまちの物価や家賃を知りたい、という相談だけでも大丈夫です。移住や引っ越しを考え始めたら、気軽に連絡してほしいです。
ー相談の結果、雲仙市が合わないと分かった場合は、どうされていますか?
海出:県全体で移住相談会が開かれる機会が多いので、その方に合う市町の担当者につなぐこともあります。移住は人生の大きな節目なので、いろいろなまちを見て、納得して選んでほしいと思っています。そのうえで雲仙市を選んでもらえたら、うれしいです。
ー仕事のやりがいは何ですか?
海出:水道課では、水漏れを早く直すことで、困っている人の役に立てました。農林課では、農業を続けてくれる若い世代を応援したい気持ちで仕事をしていました。
いまの部署では、人口が減って空き家が増えるなかで、移住する人や地元に残る人を1人でも増やしたいです。空き家も放置せず、リフォームして売ったり貸したりして、使ってもらえるようにしたいと考えています。

ー本日はありがとうございました。
海出さんのお話からは、どの部署でも、その場で得たものを次の仕事に生かしてきた様子が、話の端々から伝わってきました。とくに、地元へ戻る道を探して悩んだ自身の経験は、相談者の気持ちに向き合ううえで大きな支えになっているようです。
雲仙市での暮らしや仕事が気になった方は、雲仙市の受験も含めて、まず気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年10月取材)
この記事の官公庁・自治体
雲仙市は長崎県の島原半島北西部に位置し、日本初の国立公園に指定された山々と有明海と橘湾に面した美しい海岸線といった豊かな自然が魅力のまちです。 主な産業は農業、漁業、観光業で、「雲仙温泉」と「小浜温泉」の2つの温泉街がある全国有数の温泉地でもあります。 温泉や地元の人の温かさに触れて「ほっと」することができる雲仙市。これからも市民の皆さまや来訪者の皆さまが「ほっと」できるようなまちであり続けるために、私たちと一緒にまちづくりをしませんか?お待ちしております。
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