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【土木:暮らしを止めない仕事】水は流れ、道は続く。当たり前を守る人たち
【土木:暮らしを止めない仕事】水は流れ、道は続く。当たり前を守る人たち
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2026/07/24
蛇口をひねれば水が出る。道はいつも通れる。その「当たり前」は、誰かが毎日支え、直し続けているから保たれています。大雨の夜も、老朽化した施設の前でも、その手を止めない人たちがいます。
暮らしを止めない仕事は、華やかではないかもしれません。新しい何かを生み出すより、日常のインフラを絶やさず守ることが本分だからです。
今回は、2026年8月7日、東京ビッグサイトで開かれる「公務員キャリアフェス in 下水道展」を前に、全国4人の土木職員の歩みを紹介します。
※各記事の所属・年次はインタビュー当時のものです。

「自分が担当した仕事が、目に見える形で生活に反映されているのはいいなと思います」(成田市役所 下水道課)
ゼネコンで15年間、土木の現場を渡り歩いた土木技師。自分が作ったものが人々の暮らしにどう届くのかを、もっと身近に感じたくて成田市役所へ転職しました。いまは下水道課工務係で、地中を流れる「見えない水の道」を支えています。
下水道施設の維持管理、不具合への対応、新規施設の計画・建設。この三つが仕事の柱です。新築住宅の下水道接続の審査から、老朽化したマンホール蓋の取り替えまで、暮らしの足元を絶やさないよう業者の方々と連携します。
汚水本管の詰まりや、ゲリラ豪雨で水が溢れそうなときの対応も担います。雨が強まるほど、暮らしを止めないための緊張が高まります。天気が荒れる日こそ、この仕事の本領が問われます。
市役所へ転職して一番良かったことは、「住民の方の生活にすごく密着して仕事ができているな」というやりがいを感じていることだといいます。税金が原資だからこその説明責任と公平性を胸に、暮らしの近くで働いています。
関連記事:成田市のインフラを支える!ゼネコンから転職して叶えた、地域貢献を実感できる仕事(インタビュー全文)

「道路を管理する立場として、県民の皆さんが安全に安心して道路を利用できるよう、責任を感じながら業務に取り組んでいます」(高知県 門田さん)
友人に誘われて参加した工事現場の見学会がきっかけで土木職に関心を持ち、地元・高知で貢献したいと県庁へ。防災砂防課で土砂災害から住民を守る業務を、和食ダム建設事務所を経て、いまは四万十町事務所で道路の維持管理と修繕を担っています。
倒木や落石の撤去、舗装の修繕、橋の耐震補強、トンネルの修繕。門田さんの現在の仕事は、すでにある道を安全に保ち続けることです。土木は「地図に残る仕事」とよく言われますが、その地図を消さないよう守るのも、また土木の役割です。
道路を管理する立場として、県民が安全に安心して道路を使えるよう、責任を感じながら日々の業務にあたります。最初の配属だった防災砂防課でも、土砂災害のおそれのある区域を住民に周知し、暮らしを守る仕事に携わってきました。「守る」という一本の線が、キャリアを通じて流れています。
分からないことは上司やコンサルタント、建設会社に積極的に質問し、親身な助けに支えられて知識を重ねてきました。「この人に任せても大丈夫」と信頼される職員になることが目標です。土木職同士の結束も強く、支え合いながら県内の道を守っています。
関連記事:地図に残る仕事に誇りを!高知県庁で地域を支える土木職の魅力とは?(インタビュー全文)

「海が近いからしょうがない、というようにはしたくないです」(竹原市役所 北原さん)
市外の土木建設会社で9年、道路や河川をつくってきた北原さん。結婚を機に地元・竹原市へ戻り、市役所へ転職しました。いまは建設課浸水対策係の係長として、まちを水害から守る仕事の先頭に立っています。
浸水対策係は、平成30年と令和3年に立て続けに起きた豪雨災害を受けて設けられました。
浸水のひどい箇所の復旧や、地域全体の浸水対策を県・国と調整しながら進めます。川の水を排出する水中ポンプ施設の建設など、水と向き合う工事を担います。
道路の係、河川・浸水の係、下水道課の雨水対策の担当まで、分野を横断して約10名の流域治水対策プロジェクトチームを編成しています。
専門ごとに協議を重ねて持ち寄る従来のやり方ではなく、一つのチームとして情報を共有し、まちを水に強くする事業を前へ進めます。豪雨災害のあとのパトロールも、職員自身の目で見て回ります。
海が近いことは竹原市の魅力であり、同時に災害をもたらしうる。だからこそ、海にしろ雨にしろ、いかにまちを水に強い地域にできるかが目標だと北原さんは語ります。
「海が近いからしょうがない」で終わらせない。その一言に、暮らしを守り抜く覚悟が表れています。
関連記事:「海が近いからしょうがない」にはしたくない!〜豪雨災害から立ち上がる広島県竹原市役所 浸水対策係の水害対策〜(インタビュー全文)

「自分が関わった道や水道が、町民の皆さんの生活を支えていると実感できることが一番のやりがいです」(隠岐の島町役場 西森さん)
祖父母の暮らす隠岐の島町で働くことを選んだ西森さん。上下水道課で4年、いまは建設課で5年目。離島という、暮らしをまるごと自分たちの手で支える場所で、インフラを守り続けています。
道路整備の企画・管理から、道路陥没や側溝清掃といった緊急対応まで。「技術職は、そこからインフラを『直すところまで』が仕事」と語ります。草刈りから5,000万円規模の工事まで、現場に立ち続けます。
大雨被害のときは、夜通し現場を巡回し、寝ずに復旧にあたったこともあります。島では、道路が一本なくなるだけで、地域の方々の生活に影響が出ます。だからこそ、「早く復旧してあげないと」という一心で対応にあたります。
完成した道路で町民から直接「ありがとう」と言われ、九年で多くの顔見知りができました。「役場の職員というより『西森さん』として見てもらえる」。離島での暮らしを守ることは、人とつながることでもあります。
関連記事:自分の手で、島のインフラを護る。隠岐の島町役場・土木技術職の誇りとやりがい(インタビュー全文)
下水道の水を流し続ける人、道路や橋を直し続ける人、まちを水害から守ろうとする人、島の夜を寝ずに守る人。仕事の現場はばらばらでも、四人には同じ姿勢が通っていました。
それは、当たり前に流れる水と通れる道を、災害の夜も絶やさず支え・直し続けるということ。気づかれないところで「当たり前」を守り抜く仕事です。
あなたの今日の当たり前も、こうした手に支えられています。




