地元・八戸への恩返しを胸に。技師として市民生活に寄り添う温かな日々

八戸市役所

2026/10/04

「公務員の技術職」と聞いて、一日中デスクに向かって設計書と向き合う姿を想像する方は多いかもしれません。

 

しかし、八戸市役所の建設部港湾河川課で働くSさんの毎日は、そのイメージを大きく覆すものです。時にはヘルメットを被って自ら草刈り機を手に取り、水路用地の伐採作業に汗を流し、現場で足場と闘いながら測量を行います。

 

高専で水質を学び、地元八戸市への強い愛着から市役所の門をたたいたSさん。当初抱いていた「お役所は堅い場所」という偏見は、温かくサポートしてくれる先輩たちや、現場作業の後に市民から届く「ありがとう」の温かい言葉によって見事に吹き飛びました。

 

地域に密着して人の役に立つ喜びと、自らの手でまちを綺麗にしていく直営作業の魅力を、等身大の言葉で語っていただきました。

 

水質研究から地元行政へ。地元八戸市のために選んだ「公務員」という道

ー入庁前は学校でどのようなことを学ばれていたのですか?

 

S:私は地元の工業高等専門学校に通っていまして、そこでは主に水質に関する研究などを行っていました。研究室がちょうど水関係を扱う分野だったのですが、小川原湖に属する姉沼川という川がありまして、そちらと水質がどのような関係にあるのかという研究に打ち込んでいました。

 

ーもともと水質を学ぶために高専に進学されたのですか?

 

S:いや、中学生の頃は一級建築士になりたいという夢があり、建築の分野に進むために高専を目指したんです(笑)

 

ですが、学校に入って授業を受けていくうちに、建築よりも地質や水質の方が面白そうだなと感じるようになり、徐々にそちらの分野へ興味が変わっていきました。

 

ー就職活動の際は、民間企業や他自治体といった選択肢も考えていたのでしょうか?

S:いえ、八戸市役所以外は全く考えていませんでした。民間企業について調べたり、受験したりすることはありませんでした。地域のために働きたいという思いが固まっていたので、合格したら八戸市役所に入ろうと決めていました。

 

ーそこまで強く八戸市役所を志望された理由は何だったのですか?

S:私は生まれてからずっと八戸で育ってきたのですが、中学生の頃からボランティア活動に参加するのがすごく好きだったのです。活動中、地域の方々から「ありがとう」と感謝の言葉を言っていただける機会が多くて、八戸は本当に温かい街だなと実感していました。

 

昔から地元がずっと大好きでしたので、地域のために役立つ仕事がしたいと考えた時に、思い浮かんだのが八戸市役所でした。

 

「お役所仕事」のイメージが一変!温かい先輩たちと出会えた安心の職場環境

 

ー入庁前、公務員や市役所の仕事に対してどのようなイメージを持たれていましたか?

 

S:正直にお話ししますと、すごく硬いイメージがありましたね(笑)決まった業務が多い、デスクワーク、のように、どちらかというとネガティブなイメージが多かったかもしれません。

 

ただ、それでも誰かのために働きたいという思いが強かったので、八戸市役所で働きたい、公務員になりたいという気持ちに変わりはありませんでした。

 

ー実際に八戸市役所に入庁されてから、そのイメージは変化しましたか?

 

S:はい、いい意味で全然違っていました。職場に入ってみると、先輩方が本当に優しくて驚きました。困ったことがあったらすぐに相談しやすい環境を作ってくださっていますし、仕事の相談はもちろんですが、たわいもない雑談などもできて、すごく信頼できる先輩方に囲まれてお仕事ができています。

思っていたような硬い雰囲気は全くありませんでしたね。

 

ー業務とは異なりますが、八戸の伝統行事である「八戸三社大祭」にも職員として参加されたようですね。

 

S:そうなんです(笑)人事課からお声掛けいただいたこともあり、入庁してから、八戸三社大祭の山車の引き手の先頭に立つ「手古舞(てこまい)」という先導役を務めさせていただきました。

 

踊るわけではないのですが、「じゃがら」という上部に鈴がついた長い棒をついて歩く役割です。元々お祭りの屋台のボランティアなども好きだったのですが、こうして市の伝統行事に直接関わることができたのも、すごく貴重で楽しかった思い出ですね。

 

 

デスクワークだけじゃない!現場で汗を流す「直営作業」も担う。

ー現在の所属部署と、日頃の具体的な業務内容について教えていただけますか?

 

S:私は入庁2年目で、現在は建設部の港湾河川課河川水路グループに所属しています。主に市内の河川や水路の管理を担当している部署です。

 

その中でも私は、水路の補修工事の手配や、水路用地内の草刈り、浚渫(しゅんせつ)作業などを担当しています。

 

ー草刈りなどは事業者に委託するだけでなく、現場対応することもあるのですか?

 

S:そうなんです。あまりにも大きな木などの作業は専門の業者さんにお願いするのですが、小規模なもので自分たちで対応できると判断したものは、自分たちで現場に向かって直接伐採作業や草刈りを行います。

 

市が直接このような作業を行うことを「直営作業」と呼ぶこともあります。夏場などの時期は特に草刈りの要望が多くなりますので、ほぼ毎日のように現場へ出かけて作業をする週もあります。

 

ー働き方についても、入庁前のイメージとギャップはありましたか?

 

S:すごく大きなギャップでしたね(笑)市役所の仕事というのは、自分で設計書を作成して業者に委託する、いわゆる発注者としての業務が主だと思っていたので、まさか自分が現場へ赴いて草刈り機を持って直接作業するとは思っていませんでした。

 

学校で草刈り機の使い方を教わるわけではないので最初は驚きましたが、入庁後の研修や現場指導などで学びながら実践していきました。

 

ー高専時代に学ばれたことで、現在の現場業務に活きている部分はありますか?

 

S:授業で行っていた測量の実習はとても役に立っていますね。現場を見に行って自分で測量をして、それをもとに設計書を作成して発注するという流れがあるのですが、測量機器の扱いなどは学校での経験が活きています。

 

ただ、学校の校庭のように整備された場所とは違って、実際の河川や水路は足場が非常に悪い過酷な現場ばかりですので、そこも現場ならではの大変さと面白さがありますね。

 

市民からの「ありがとう」が原動力。連携して掴んだ達成感

ー入庁1年目を振り返ってみて、特に苦労されたことや大変だった部分はどこですか?

 

S:一番大変だったのは、スケジュール管理ですね。どの仕事の期限がいつまでで、それまでにどう進めれば良いのかという1年間の全体像を把握するのが最初はとても難しかったです。

 

学校ではスケジューリングまでは習わないのでとても苦労しましたが、周りの先輩方に「これはいつまでに終わらせれば大丈夫だよ」と優しく教えていただきながら、アドバイスをもらって乗り越えることができました。

 

ー逆に、業務の中で一番面白さややりがいを感じる瞬間はどのような時ですか?

 

S:私は元々体を動かすことが大好きですので、自分たちで現場に出て伐採などを行う直営作業がすごく楽しいですね(笑)市民の方からお電話などでいただいた要望に対して現地で立ち会いを行い、作業を完了させた後にお電話を差し上げるのですが、その時に市民の方から「綺麗にしてくれてありがとう」と直接感謝の言葉をいただけるのが一番嬉しい瞬間です。

 

目に見えて水路や草が綺麗になりますし、市民の皆さんの役に立っているという実感がモチベーションになっています。

 

ーこれまでの業務中で、特に思い出に残っているエピソードなどもありますか?

 

S:田んぼの中にある水路の整備工事を担当させていただいた時のことです。地権者の方たちと事前にお話しして密に連携を取りながら工事を進めていく必要がありました。

 

地域の皆さんとの連携を保つことは非常に大変でしたが、無事に工事が完了した時には大きな達成感がありました。地権者の方とも良い信頼関係を築くことができ、とても心に残っているお仕事です。

 

大きな河川の設計へ挑戦!市民の暮らしに寄り添い続ける技術職としての未来

ー入庁して1年余りが経ちましたが、ご自身の成長を感じる部分はどのような点ですか?

 

S:人とコミュニケーションを取る機会が学生時代よりも格段に増えましたので、市民の方々とお話しする際の言葉遣いや接し方はすごく意識するようになりました。

 

市民の方から「話しにくい」とか「この人は信頼できない」と思われないように、柔らかい雰囲気づくりを心がけています。以前よりも市民の皆さんとスムーズにお話しできるようになってきたかなと感じています。

 

ー今後、八戸市役所の技術職として挑戦してみたいことや夢はありますか?

 

S:先輩方が担当されているような、大きな河川の設計や発注工事に挑戦してみたいですね。市が管理する準用河川(土橋川や大渡川など)で、水流が原因で侵食されてしまう崖を防ぐためのカゴマット(※1)の設置や、ボックスカルバート(※2)などの整備といった大きな構造物の工事設計に関われるようになりたいです。

 

もちろん、市民の皆さんからいただく身近なご要望への対応も一つひとつ丁寧に進めていきたいと思っています。

※1:自然環境の保護と護岸の安定を両立させる多自然型護岸工の構造物
※2:地中に埋設される箱型の鉄筋コンクリート構造物

 

ー業務をより良くするための「事務改善」にも意欲的に取り組まれているとお聞きしました。

 

S:定期的に実施されるアンケートなどで「もっとこうしたら業務がスムーズになるのではないか」という提案をさせていただくことがあります。

 

やらなくても困らないことかもしれませんが、少しでも八戸市を良くしたいという地元愛があるからこそ、気づいたことは積極的に発信したいと思っています。

 

ー最後に、これから八戸市役所や技術職を目指す方々へメッセージをお願いいたします!

 

S:市役所は市民の皆さんにとって最も身近な自治体ですし、市民の皆さんからの信頼があってこそ成り立つお仕事だと思っています。

 

市民の皆さんの声に常に耳を傾け、寄り添う姿勢を忘れずに仕事に取り組むことがとても大切だと実感しています。

 

最初は硬いイメージを持っていた私ですが、入庁してみると毎日が思った以上に楽しく、八戸市役所に入って本当に良かったと感じています。地元が好きで誰かの役に立ちたいという思いがある方は、ぜひ一緒に働きましょう!

 

ー本日はありがとうございました。

 

「地元・八戸がずっと大好きなんです」インタビュー中、Sさんが繰り返し口にされたこの言葉に、Sさんの仕事に対する熱量のすべてが詰まっていると感じました。

 

高専で学んだ技術を携え、ヘルメットを被って草刈り機を手に現場を駆け回る姿は、従来の「お役所」のイメージとは異なるものです。市民からの「ありがとう」の一言を糧に、水路の整備から大きな河川の設計という未来へ目を輝かせる姿からは、地域を支える技術職としての頼もしさが溢れていました。

 

八戸の暮らしと笑顔を守る温かな担い手が、ここで育っていると感じる取材でした。

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年7月取材)


 

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八戸市は、平成29年に当市は中核市へ移行し、近隣の7町村と八戸圏域連携中枢都市圏を形成しながら、北東北地域の住民生活と地域経済を支える拠点として、更なる飛躍を遂げています。さらに、市発展のため、人口減少・少子高齢化の進行やグローバル化・デジタル化の進展に加え、グリーン社会の実現に向けた取組の加速化や、水産資源確保・中心市街地の賑わい創出に関する取組など、様々な課題へ立ち向かっています。

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