「私たちのほうから、市民に近づく仕事」座間市クリーンセンターで、ごみを集め、子どもたちの未来へつなぐ仕事

座間市役所

2026/09/02

「普通は、市民の皆さんが市役所に行くじゃないですか。そうではなくて、私たちごみ収集員は、逆に私たちのほうから市民に近づく仕事なんです」

そう語るのは、座間市クリーンセンターで働く入庁7年目の奥脇さん。県内の大学を卒業後、システムエンジニアとして働き、他自治体での臨時職員を経て「自動車運転手兼環境整備員」として、令和2年度に入庁しました。

現在は市内のごみ収集を担当しながら、クリーンセンターの特色である啓発活動のリーダーも務めています。収集業務の一日から、子どもたちに分別を伝える活動、そして職場の様子まで伺いました。

 


配車表を見るところから、「自動車運転手兼環境整備員」の一日が始まる

ーはじめに、担当業務について教えてください。

 

奥脇:メイン業務は座間市のごみの収集です。それと同時に、現在ではごみ削減の啓発活動もしています。

 

ー1日の流れを教えていただけますか。

 

奥脇:勤務開始が8時半から。まず配車表で、どのコースの、どの仕事をするのかが表示されるので、それを見て指定されたパッカー車に乗ります。午前中は12時半までですが、それだけですべてのごみを取り切れるわけではありません。可燃ごみですと早ければ午後3時、遅ければ4時半ぐらいまでかかります。

ー収集が終わったあとは、どのようなお仕事を?

 

奥脇:手袋などの備品を自分たちで洗ったり、車の洗車を1台ずつ丁寧にしています。空いた時間は啓発活動の準備をします。

 

啓発活動で使うものは、基本的には手作りなんです。木で作って温かみを出したり、職員が絵を描いたり。17時までやっている仕事ですね。

1年目で気づいた「合っていない」。臨時職員のごみ収集で見つけた天職

ーもともとはシステムエンジニアをされていたと伺いました。

 

奥脇:入って1年目で、自分に合っていないなと思ったのが最初のきっかけでした。

 

そのころ他の自治体の臨時職員になり、そこでもごみ収集をしていました。そのときに公務員の勉強をスタートさせて、1年ほど働いたころに座間市の募集を知って応募しました。

 

ー臨時職員としてごみ収集のお仕事をされて、どういうところを面白いと感じられたのですか。

 

奥脇:まず、人とのコミュニケーションが楽しかったです。前職はパソコンと向き合ったりで、限られた人でしか仲良くならない環境でした。でも収集は市全体を職員全員でやるので、センターの60人ぐらいと協力して仕事をします。

 

それと同時に、市民にとても近い職場なんですよね。普通だったら、市民の皆さんが市役所へ行くじゃないですか。ごみ収集は逆に、こちらから市民に近づく仕事で、その距離感が自分の中でとても温かみがあって、これが天職なのかなと思いました。

 

ーごみ収集のお仕事の解像度が高い状態で入庁されたのですね。入庁前のイメージと、ギャップはありましたか?

 

奥脇:ありました。他市にはない特色が、啓発でした。運転手兼環境整備員という形で入庁したので、収集が主な業務なのかなと思っていましたが、入ってみると全然違いました。

 

これから入ってくる人には、収集業務だけではなく啓発活動も業務の1つだと知っていただけたらと思います。

カラーボールの色分けから始める。5つのごみ袋が、1つになる授業

ー啓発活動のリーダーもされていると伺いました。

 

奥脇:人員の配置や打ち合わせは後輩に任せたりして、中身を考えるのは自分ともう一人の啓発担当です。先代のリーダーもいるので、若い子たちの知恵も貰いながら、どうすれば子どもたちに楽しく教えられるのかを考えています。

 

ー来週も啓発活動で講座が予定されていると伺いました。どのような内容なのでしょうか?

 

奥脇:対象は小学校1年生から3年生です。「分別」と言葉は分かるけど、実際よく分かっていないというのが低学年の子どもたちの実態なんです。

 

まずカラーボールで、赤は赤、青は青と色分けをしてもらう。ここで分けることが分別なんだな、と学んでいただきます。でも実際のごみは、そんな簡単な色ではないです。

 

じゃあどうすればいいんだろう、となります。そこで、実はマークが付いているから、初めてマークを学んで、ごみを手に取って分ける遊びをします。

ー分けるところまでで終わり、ではないのですね。

 

奥脇:分けるだけの遊びだと、なぜ分別が良いのか分かりません。なので、ごみ袋を5つ用意して、分別されていないプラスチック、ペットボトル、アルミ、燃やすごみを入れます。

 

すべて分別すると、最後に残るのは燃やすごみだけ。それが1袋に収まるようにまとめて、「5つあった袋が1袋に減ったよ」と。分別するとごみ自体が少なくなるんだよ、というところまでセットでお勉強します。

 

ー子どもたちの反応はいかがですか?

 

奥脇:保育園などでは、人形を使って近い距離でお話しします。パッカくんというキャラクターなんですけども、知らない子はほとんどいないんじゃないかなというぐらい有名です。行くと大きな声で「パッカくーん」と言ってくれたり、手を振ってくれたりもします。

 

ごみ収集車って、臭い、汚いというイメージがある職種なんですけども、逆に子どもたちが近寄ってきてくれる。啓発をしてきたからこそなのかなと思います。

 

奥脇:職員がデザインしている収集車も、子どもたちは見に来てくれます。

 

特別な車が座間市に5台あって、保育園の子が散歩の途中で先生と一緒に来てくれたり、「写真撮ってもいいですか」なんて言われたり。大人の方でも「随分綺麗な車だね」と興味を示してくれます。

奥脇:ほかのエピソードでは、7年前に自分が啓発活動で会った子たちが覚えてくれているんです。そのとき6歳だった子が今は13歳とかになっていて、「お兄さんのこと覚えてるよ。あの時、こんなこと言ってたよね」と話してくれたり。だからこそ、適当にやってはいけないなと感じています。

 

子どもたちにとっては1回の講座が意外と思い出深かったりする。記憶に残ってくれているというのは、とても素敵な仕事なのかなと思いますね。

 

剪定枝の情報は、タブレットでリアルタイムに。ごみを減らす仕組みを、次の世代へ

ー次世代に向けて取り組んでいることを教えてください。

 

奥脇:5年ぐらい前から、剪定(せんてい)枝(し)の収集をスタートしています。枝や草むしりの草を、今までは市役所にご連絡をいただいて別の回収業者が取りに行ってましたが、それをごみ捨て場に出していただき、私たちが回収するようにしました。

 

ただ回収するだけじゃなくて、ここで登場するのがデジタル化です。小田急電鉄さんが開発してくださったWOOMS(ウームス)というアプリを使っていて、可燃ごみのルートで「ここの収集場所に草がありました」と報告すると、草回収部隊の地図がリアルタイムで更新される。それを見て、回収部隊が取りに行くという流れです。

 

ーそれが、どのように次世代につながるのでしょうか?

 

奥脇:一般的に、剪定枝って可燃ごみとして捨てられているんです。それを資源として回収して回収業者に持っていくと、そこでバイオマス燃料の加工チップにしてくれます。そういう流れができて、ごみの減量が大幅に進みました。剪定枝収集の認知度も高まって、年々、剪定枝の回収率が増えています。

 

ー「KIDSWOW(キッズワオ)」という取り組みもされていると伺いました。

 

奥脇:「WOW」は驚きの「わお」と、循環させるという意味の「輪っか」をかけています。着られなくなった子どもの服や靴、遊ばなくなったおもちゃを、捨てるのではなく、次のお友達に繋げる架け橋をしています。

 

認可保育園9園で、2週間ぐらいの期間限定で回収をして、他の園で回収した服の無料提供もしています。ごみとしてではなく次の方に繋げるんです。それが次世代への取り組みの1つなのかなと思っています。

 

ー逆に、これから課題になりそうだと感じていることはありますか?

 

奥脇:これから製品プラの回収が始まると、収集品目が増えます。収集車は詰められる量が決まっているので、1回で運べなければもう1回運ぶことになります。だからこそ、新しく入ってくれる人が新しい風を吹かせてくれれば、より一層仕事が盛り上がるのかなと思います。

 

元大工も、元電気工事士も、元営業もいる。「無駄な経験が一つもない」職場

ーチーム一丸となって啓発に取り組む面白さは、どんなところにありますか?

 

奥脇:ごみ収集って、学校を卒業して最初からごみ収集員になるという人はほぼほぼいなくて、大体皆さん前職があるんですよね。自分で言えばシステムエンジニアですし、営業、大工、デザインをしていた人、電気工事士だった人もいます。

 

だから、全部が全部、無駄な経験というものがないです。物を壊してしまったときも、元職人がいるから「それ直せるよ」とセンターの中だけで完結しちゃう。いろんな人がいるからこそ臨機応変に何でもできるのが、強みだと思います。

ー職場の雰囲気や、働き方はいかがでしょうか。

 

奥脇:昔ながらの風潮もあって、アナログなところもあります。ただ、新しくデジタルを入れたこともあって、新しい風が吹き始めた職場という感じですね。まだまた開発途中、という印象です。

 

また、仕事量は確かに多いです。10月の秋祭りの時期などは、段ボールで作った模型や、輪投げ、玉入れ、ごみに磁石を付けて釣り竿で釣る分別釣りゲームを持って出展します。全部手作りなので、土曜や日曜の出勤もあります。ただ、休みが取りづらい職場ではないんですよ。この前も月曜日に夏休みを取って、同僚と出かけました。

 

ー最後に、受験を検討している方へメッセージをお願いします。

 

奥脇:確かに体力がいる仕事ではあるんですけど、決してすごい体力が必要というわけではないので。普通以上じゃなくてもいいんです、平均値ぐらいで全然いいので、誰でも飛び込んできてもらえたらいいなと思います。

 

それと同時に、今自分ができることは本当に些細なことでも何でもいいです。得意分野を活かせる職場なので、気楽に応募して、新しく仲間になってください、という感じですかね。

 

ー本日はありがとうございました。

 

「市民に近づく仕事」。奥脇さんがそう語ったとき、それは家の前まで車を走らせる物理的な距離のことだと受け取っていました。けれど話を伺ううちに、そうではないと気づきます。保育園に出向き、祭りに出展し、7年前にごみのルールを教えた子どもが中学生になって声をかけてくる。近づく距離は、まちの時間にまで及んでいました。

画面越しに聞いた講座の説明は、カラーボールの色分けから5つの袋が1袋になるまで、そのまま情景が浮かぶほど具体的でした。手を動かし続けてきた人の言葉なのだと思います。

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年8月取材)

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水がおいしい。空が青くて広い。 緑や川などの自然が豊富。 大凧まつりは盛り上がるし、夏のひまわりは圧倒的に美しい。 みんなが感じている「やっぱ、座間が好き!」を共有しながら、座間市をずっと住み続けたい豊かなまちにしていきたい。 それが、市民、団体、企業などと行政が一体となってアクションを起こす座間市のシティプロモーションのテーマです。

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