「市役所の異動は『社内転職』」―4部署を渡り歩いて見えた、公務員という仕事の奥行き
真庭市役所
「市役所の異動って、他の会社に転職するぐらいガラッとやることが変わるんです」
そう語るのは、真庭市役所スポーツ・文化振興課で働く入庁9年目の植田さん。環境課、交流定住推進課、財産活用課を経て、現在は4つ目の部署に所属しています。ごみ収集の現場から市民活動の支援、財産管理、そしてスポーツ・文化振興まで、部署が変わるたびにまったく異なる業務に向き合ってきました。
今回は、異動を重ねながら仕事の幅を広げてきた植田さんに、それぞれの部署で得た経験や、そこから見えてきた公務員という仕事の奥行きについて、たっぷりとお話を伺いました。

入庁1年目。ごみの現場で気づいた「見えない仕事」の大切さ
ー植田さんの入庁前のご経歴を教えてください。
植田:大学は人文学部社会経済学科で、経済や社会の仕組みについて学んでいました。もともと真庭市の出身ではないですが、両親や祖父母が真庭市の出身で、幼いころから祖父母のもとへよく遊びに来ていました。
就職活動では「これがやりたい」という強い軸があったわけではなく、人のためになる仕事をしたいという思いから、幅広い経験ができる公務員を選択肢の一つに考えるようになり真庭市役所に入庁しました。
ー入庁後、最初に配属されたのはどのような部署だったのでしょうか。
植田:最初は環境課に3年間在籍し、ごみ・廃棄物関係の業務を担当しました。市民の方が利用するごみ袋の担当や不法投棄への対応、リユース・リサイクルの啓発活動を行う市民団体の事務局などです。当時、真庭市ではごみの減量化や循環型社会の実現を目指し、生ごみや浄化槽汚泥などからバイオ液肥をつくり、再び資源として活用するという事業を進めていて、その資源化施設をどこに建てるかという用地選定の住民説明会にも同席させてもらいました。
ー現場に出る業務が多かったのですね。
植田:はい。公務員は事務職というイメージがあったのですが、実際にはパソコンに向かうだけの仕事ではないと、最初の年に痛感しました。大変な仕事でしたが、今振り返ると、ごみ収集の現場で頑張っている方たちがいるからこそ、街のなかにごみが目立たないという、真庭市の環境を支える存在に気づくことができました。
誰もが気持ちよく過ごせる環境の裏には、地域をひたむきに支えている人たちがいる。その人たちをちゃんと見て、支えていかなければいけないと感じました。

「なりわい塾」の卒塾式で見た、人が変わっていく瞬間
ー2つ目の部署ではどのような業務を担当されましたか。
植田:交流定住推進課という部署に3年間在籍しました。地域づくり活動を頑張っている方への補助金など、市民の方の活動を支援する業務が中心です。なかでも担当していたのが「真庭なりわい塾」という事業で、真庭市の農山村エリアの集落をフィールドに、そこで暮らす方々の生き方や働き方をワークショップや実践形式で学び、これからの生き方を考えてもらう人材育成塾の運営に携わりました。私が担当していたころで6、7期生ほど、現在は10期生ほどまで続いている事業です。
ーこの業務で印象に残っている場面はありますか。
植田:1年間の締めくくりとして、毎年1月ごろに行われる卒塾式です。塾生の方が「学びを通じて数年後の自分はどうなっていたいか」を発表するのですが、そこで、この1年間の学びを経て実際に真庭市へ移住し、地域の一員として生きていきたいと語る方の話を聞くことができました。塾生だった方が地域の一員になっていく過程を間近で見られることに、非常にやりがいを感じました。
多彩な仕事がある。異動のたびに広がる知識と人のつながり
ー3つ目の部署はどのような業務でしたか。
植田:財産活用課という部署で2年間、公用車や建物などの財産管理を担当しました。災害時に建物の共済・保険を活用する業務などもあり、これまでとは真逆で、市民と接するというよりも組織の中で物事を管理していく業務が中心でした。数字を追ったり状況を確認したりする仕事がほとんどでしたが、市役所業務を支える仕事を通じて、知識が広がったと思います。
ー現在の部署について教えてください。
植田:現在はスポーツ・文化振興課で1年目です。スポーツ少年団やスポーツ推進員、地域でスポーツ推進を担っていただく市民の方々の事務局を持っています。文化面では、真庭市内で唯一の重要文化財である旧遷喬尋常小学校の校舎を活かした活用方法を考える業務も担当しています。
ー4つの部署を経験されて、異動に慣れるコツのようなものはありますか。
植田:異動のたびに扱う知識がまったく変わるので、最初はいつも大変です。ただ、どの部署も事業には計画があり、その計画に基づく事業は法律や条例に基づいて行われているという基本的な構造は共通しています。基本を早めに押さえておくと、ある程度応用が利くようになるので、異動直後はそこを意識して吸収するようにしています。
部署が変わるたびに関わる人も大きく変わりますが、以前の部署で仕事をした方と別の部署でまた仕事がかみ合うということも増えてきました。経験を重ねるほど人のつながりが広がり、それが今の仕事の助けになっていると実感しています。
子どもと過ごす土日、そして後輩へ。真庭市役所で働くということ
ー残業やワークライフバランスについてはいかがですか。
植田:残業の量は部署によってかなり左右されます。財産活用課のときは業務量が多く残業もありましたが、交流定住推進課では残業自体は少ない代わりに、真庭なりわい塾などのイベントで土日にフルで出勤する月もありました。現在のスポーツ・文化振興課では、各種団体の会議が夜から始まることもあり、その分残業も増えますし、スポーツや文化関連のイベントで土日に出る機会も多くなっています。ですが、働いた分の振替休暇もしっかり取得できるので、ワークライフバランスを保てていると感じています。
ーご家庭との両立はどのように工夫されていますか。
植田:結婚して子どもが1人いるのですが、早く帰れる日はしっかり子どもの相手をするなど、メリハリをつけるようにしています。土日が休みのときは、子どもを連れてどこかへ出かけることでリフレッシュしています。休暇についても、仕事との兼ね合いを見ながら申請すればしっかり取ることができています。

ー今年度から後輩ができたそうですね。
植田:はい、今年度から同じ部署に2年目の後輩がいる状況で、初めて後輩の指導やアドバイスに悩む立場になりました。自分自身、上の人から怖い雰囲気で話しかけられると話が入ってこなかった経験があるので、後輩には自分から笑顔で話しかけることを心がけています。
ー最後に、真庭市役所を目指す方へメッセージをお願いします。
植田:市役所の異動は、時には転職に近いくらい業務内容が大きく変わることもあります。大変な面もありますが、そのぶん幅広い経験や知識、そして人とのつながりを得ることができる仕事だと思います。真庭市役所は、優しい方が多い穏やかな職場だと思います。さまざまな仕事に挑戦しながら成長できる環境で、皆さんと一緒に働けることを楽しみにしています。ぜひ、真庭市役所を目指してください。
ー本日はありがとうございました。
オンライン越しの取材でしたが、ごみ収集の現場から市民活動の支援、財産管理、そしてスポーツ・文化振興まで、4つの部署でまったく異なる業務に向き合ってきた植田さんの歩みからは、異動のたびに知識も人のつながりも積み重なっていく市役所の仕事の奥行きが伝わってきました。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年7月取材)
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目指しているのは中山間地域のモデル地域「真庭」! 真庭市は岡山県の北部に位置し、鳥取県境に接する人口5万人弱のまちです。 「安心安全」そして「持続可能性」をキーワードに、全国に先駆けて木質バイオマス発電や生ごみの液肥化を核とした資源循環型の生活基盤の整備を進め、中山間地域のモデルを目指しています。 また、多様性を受け入れ、住む人が、いつまでも住み続けたいと思える「多彩な真庭の豊かな生活~真庭ライフスタイル~」の実現に取り組んで日々進化しています。
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