地元に戻り、地元を支える。子育てをしながら働く、新宮市役所職員のUターンストーリー

新宮市役所

2026/08/21

「地元のあったかさに、受け入れてもらった気がした」

 

そう振り返るのは、新宮市役所・地域保健課地域包括推進係で働く、入庁7年目の嶋田さん。医療ソーシャルワーカーとして九州で約9年間勤めたのち、シングルマザーとして子育てをしながら新宮市にUターンし、現在は社会福祉士の資格を活かしながら高齢者の相談業務にあたっています。

 

今回は、公務員を目指す方に向けて、子育てをしながらUターンを決めた経緯や、地元だからこそ感じる仕事の魅力について、たっぷりとお話を伺いました。

 

 


 

Uターンのきっかけ。想定外だった決断と、地元に受け入れられた安心感

ーまずは、嶋田さんのご出身や進学先について教えてください。

 

嶋田:父の地元が新宮市で、私自身も1歳の頃にこちらへ引っ越してきたと聞いています。新宮高校を卒業するまではずっと新宮市で過ごしました。

 

大学進学では、九州の大学を選びました。福祉系の学部を志望していたので、国公立を中心に絞り込んだ結果、九州の大学に決まったという経緯です。そのまま現地で就職することになり、大分と福岡を合わせて14、5年ほど九州で過ごしました。

 

 

ー大学卒業後のキャリアについても教えてください。

 

嶋田:医療ソーシャルワーカーとして、大分で4年半ぐらい、そのあと福岡に移って同じぐらいの期間、勤務していました。

 

病院の地域連携室という部署で、主には患者さんの入院中の相談から退院に向けた支援をしていました。高齢の方が多かったので、介護保険を申請して地域のケアマネージャーさんに繋いだりするポジションが多かったですね。

 

 

ー戻ってくるという決断の決め手について教えてください。

 

嶋田:これに関しては本当に想定外だったんですけど、福岡で結婚・出産したのち、シングルマザーになるという決断をして、それを両親が受け入れてくれて、帰ってきたという流れです。ちょうど仕事を休んでいる時期の出来事だったので、もう戻る以外の選択肢はなかったというのが率直なところですね。

インタビュー風景

育児しながらの公務員試験。「経験したことしか喋れない」で挑んだ面接

ーなぜ公務員という道を選ばれたんですか?

 

嶋田:資格は持っていましたが、地元の求人状況を見ながら、子どもをどう育てていくかを考えた時に、公務員一択という思いに至りました。社会福祉士としての募集枠があったのですが、私が受験した時は年齢要件に引っかかってしまったので、一般事務職として受験しました。

 

志望動機としては、「せっかく公務員として働くなら地元の新宮市がいい」という思いが根底にあり、加えて、実家が市役所から徒歩5分もかからない場所にあり、保育園も目の前にあるという環境の良さも、決め手になりました。

 

 

ー試験内容としてはどんな内容でしたか?

 

嶋田:一次で筆記試験があって、二次が論文と面接の試験でした。当時子どもが1歳ぐらいだったので、夜寝かせてから勉強する日々でした。当時はまだ実家に住んでいたので、両親にも子育てを手伝ってもらいながら、勉強時間を確保していました。

 

 

ー面接で今でも覚えている質問はありますか?

 

嶋田:「この予算の範囲内で、皆さんならどのような計画を立てますか」と聞かれたことをよく覚えています。予算の使い方については全く見当がつかない上に、当時は医療機関での経験しかなかったので、答えに詰まりながらも必死に考えました。

 

そこで、戻ってきてから両親の友人など近所の方々に相談を受けることが何度かあったというエピソードを挙げ、「そうした方々が市役所に相談しやすくなるような企画を立てたい」という趣旨のお話をしました。

新宮市役所の庁舎外観
新宮市役所の庁舎外観

苦手な事務と向き合いながら。子育て推進課から地域包括支援センターへ

ー最初に配属されたのはどんな部署でしたか?

 

嶋田:令和2年度に入庁し、子育て推進課の家庭児童相談室という部署に配属になりました。子どもの養育のことや虐待に関することを取り扱う部署で、日常的な育児の相談に対応したり、虐待の通告が入ったら児童相談所と一緒に対応したりしていました。

 

 

ー事務の面ではいかがでしたか?

 

嶋田:補助金の申請業務をしていたんですが、正直、その業務は今までの経歴にはなかったこともあり、未だに得意とは言えません。かなり大きな金額を扱うので、プレッシャーも大きかったですね。

 

 

ー現在の部署の業務内容を教えてください。

 

嶋田:令和7年度から地域保健課の地域包括推進係、いわゆる地域包括支援センターになります。高齢者の相談窓口で、一番多いのは介護保険に関係するご相談ですね。介護保険を申請して、その先のケアマネージャーさんに繋いだりしています。

 

社会福祉士の役割としては、成年後見制度についてなどの高齢者の権利擁護に関する相談を担当しています。

デスクワークの様子

新規事業の立ち上げから見えた、相談業務の本当のやりがい

ー特に印象に残っている業務はありますか?

 

嶋田:子育て推進課の時に、新規事業で子育て用品支給事業という、市内の1歳未満の乳児がいるご家庭におむつやお尻拭きを配布する事業を担当しました。

 

行政関係の事務が苦手で、何をどこに確認していいかも分からず、ずっと不安でしたが、上司や同僚、他の部署の方の協力もあって、どうにか形になったかなと思います。

 

一般事務職として採用されましたが、実際には社会福祉士としての専門性を生かして働いている面が大きかったので、この新規事業の立ち上げから運用までを担当できたことは、とても貴重な経験になったと思います。

 

 

ーお仕事をする中で、やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

 

嶋田:相談窓口に来られる方はみなさん悩みや不安を抱えているのですが、市役所の窓口だけで答えが出ることの方が少なくて。

 

それでもお話を聞いて、一緒に考えていく中で、最終的に「相談してよかった」と言ってもらえた時が、一番のやりがいだなと思います。

窓口対応の様子

両親の支えと地元の温かさに育まれて。仕事と子育てを両立できる理由

ー仕事と子育ての両立について、残業や休暇制度はいかがですか?

 

嶋田:普段は定時で帰れる日も多いのですが、相談の内容によっては対応が夜遅くなることもありますし、夜間に開催される会議や、災害時の対応など、子どもを優先できない場面も出てきますが、そうした時も両親に支えてもらいながら、なんとかバランスを取っています。

 

休みについても、子どもの行事や体調不良など必要な時に取りやすい環境で、周りの方にも理解していただけているので、とてもありがたいです。子どもの看護休暇も活用してきましたし、夏季休暇は子どもの夏休みに合わせて取得するなど、できるだけ家庭の事情に合わせた形で調整させてもらっています。

 

 

ー新宮市に戻られて改めて感じた、新宮市の魅力や地元の良さについて教えてください。

 

嶋田:もう本当に、人と人が近くて温かいところですね。近所の方が「おかえり」と声をかけてくれたり、小さい頃からお世話になったおじさんおばさんが「これってどうなん?」と頼ってきてくれたりします。そういう方たちのためになる仕事ができたらいいなと思いますし、今度は私たちが支える番だなという気持ちもあります。

 

あとは子育ての環境として、自然が本当に良くて、川で遊んだりもできますし、良くも悪くも小さい町なので、すべてが近隣で完結するというか、学校もすぐ近くにあります。

 

私自身も同じ環境で育ってきたので、我が子が同じ道を歩いて学校に行っているのを見ると、なんだか感慨深い気持ちになります。

子育て風景

ー最後に、公務員を目指す方へメッセージをお願いします。

 

嶋田:市役所は多岐にわたるご相談が寄せられる場所なので、これまで社会人として積んできた経験は、どんな分野であっても入ってみて改めて生かせる職場だなと感じています。

 

行政という立場は、それまで働いてきた現場とは役割が異なる部分もありますが、現場を経験してきたことはすごく力になると思って仕事をしているので、Uターンを考えている方には、ぜひ新宮市で力を発揮していただけたらなと思います。

職員の写真

ー本日はありがとうございました。

 

シングルマザーとなり、想定外の形で新宮市に戻ってきた嶋田さん。その決断を静かに受け止めてくれたのは、両親であり、地元の温かさでした。

 

苦手な事務仕事に向き合いながら新規事業を形にしてきた粘り強さ、そして「相談してよかった」と言われることに見出したやりがいには、Uターンならではの実感がにじんでいます。

 

地元に戻り、「今度は自分が支える番」。そう語る嶋田さんの姿は、地元を思う誰かの背中をそっと押してくれるはずです。

 

 

取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年7月取材)

職員インタビュー

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新宮市は、和歌山県、奈良県および三重県の県境が隣接する紀伊半島の東南部に位置して太平洋に面し、温暖で高湿多雨な気候風土により豊かな水資源と樹木育成に恵まれた素晴らしい自然環境の中にあります。 世界遺産登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」の熊野古道「大雲取越え」「小雲取越え」「高野坂」や川の参詣道「熊野川」など、熊野の海や山や川の織りなす豊かな大自然にあふれています。 新宮市では、『市民の誰もが元気で心豊かに暮らすまち』『新宮に住んでみたい、住み続けたいと思えるまち』を実現するため、“人とまちが輝き、『未来』へつなぐまち 新宮市”の創造を目指しています。 また、移ろいゆく時代にあっても変わらない市職員としての3つの心、“感謝”と“情熱”と“誇り”を持って職務に取り組み、市民と向き合う職員を求めています。 私たちと一緒に、“人とまちが輝き、『未来』へつなぐまち 新宮市”を創っていきましょう。

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