2度の育休を「おめでとう」で送り出す職場。ふるさと納税から議会事務局まで、部署を超えて知見が広がる宍粟市役所の仕事
宍粟市役所
「おめでとう」——育休を報告した時、上司からかけられた第一声はそんな一言でした。
宍粟市議会事務局で働く植田さんは、入庁8年目。ふるさと納税、国勢調査、地域おこし協力隊関連業務と、部署を異動するたびに新しい仕事に携わってきました。
2度の育休取得を経ても変わらない、職場の温かさと仕事のやりがいについて伺いました。
巡り合わせで見つけた転職先。銀行員から宍粟市役所へ
ーまずは、植田さんのこれまでの経歴を教えてください。
植田:出身は京都府福知山市です。大学卒業後は地元に戻って地方銀行に就職しました。総合職だったので、窓口業務から営業まで幅広く担当していました。
ー銀行から宍粟市役所への転職は、どのようなきっかけだったのでしょうか。
植田:今の夫が宍粟市の出身で結婚を考えるタイミングで宍粟市で働きたいと思い、就職活動をしていました。
ちょうどその時期に、夫の親戚がたまたま実家に果物を届けに来て、「息子の彼女が宍粟市で就職活動をしている」という話の流れから、宍粟市役所の10月採用の募集を教えてもらったんです。
ー面接では、志望動機についてどのようにお話しされたのですか。
植田:宍粟市の田園風景など、ゆったりとした雰囲気が好きだということを話しました。実際に、夫と付き合う中で何度も宍粟市に来ていて、田んぼにオタマジャクシがたくさんいるような自然の風景がすごく好きだったんです。
当時は市役所の仕事について、「住民票の発行やまちづくりに関する事務をこなしている」という、ぼんやりとしたイメージしか持っていなかったというのが正直なところです。
ふるさと納税から国勢調査へ。地域を歩いて学んだ「伝える」仕事
ー平成30年10月に入庁されてから、最初は地域創生課に配属されたそうですね。どのようなお仕事を担当されていたのですか。
植田:メインで担当していたのは、ふるさと納税と国勢調査です。ふるさと納税では、返礼品を紹介するポータルサイトの更新や、寄付をしてくださった方への発送管理、新しい返礼品の選定、事業者さんとの調整などを行っていました。
ー令和2年には国勢調査もありましたね。準備から本番後の業務まで、どのような流れになるのですか。
植田:1年前から、市全域の調査区の確認や調整が始まります。元々いる調査員だけでは足りないので、自治会さんや職員にも協力をお願いして、調査員を確保していきました。
住民の方から調査票が返ってきたら、記入漏れがないかの確認作業を、調査員をまとめる指導員の方と協力しながら進めます。最終的な集計を合わせて、県の審査を受けて提出するところまでが一連の流れです。
ー国勢調査の仕事で、特に印象に残っていることはありますか。
植田:私は市外から来ているので、地名や地形を知らないことが多かったのですが、市内の全ての町を回って調査員向けの説明会をする中で、市民の方々とふれあうことができたのが良い経験になりました。
また、市民の方から「なぜこんなことをしなければならないのか」という電話をいただくこともあって、どう伝えたら納得してもらえるか、いろいろ考える機会になりました。今行っている事業がなぜ必要なのかを伝える、良い練習になったと思っています。
まちづくり推進課、そして議会事務局へ。法令と向き合いながら広がる知見
ー令和5年には市民生活部まちづくり推進課に異動されていますね。どのようなお仕事を担当されたのですか。
植田:地域おこし協力隊関係と、国際交流協会という外部団体の事務局が、メインの仕事でした。地域おこし協力隊では、募集の対応や、各地域で活動する協力隊員の日報・時間管理・給与関係などを担当していました。
国際交流協会の事務局の業務としては、会議の運営に加えて、年に1回10月にある「宍粟国際ふれあいまつり」という大きなイベントや、定期的に開かれる小さなイベントについて、予算や会計、買い出しの手配といった運営のサポートを行っていました。
ーそして令和8年4月からは議会事務局に配属されています。今はどのようなお仕事をされていますか。
植田:議会運営がスムーズに進むよう、議長のスケジュールやルールの調整、議員さんや職員との内部・外部の調整、視察の受け入れ対応などを担当しています。
ーこれまで様々な部署を経験されてきましたが、大変だと感じることや、逆に部署異動を経て感じる面白さはありますか。
植田:大変なのは、仕事のすべてが法令に基づいているという点です。法令に違反していないか、常に根拠を探しながらチェックする必要があり、気が抜けません。条例や要綱の文章は難しくて、慣れるまでは読むのに苦労しました。
一方で、部署が変わるからこそ色々なことを学べる面もあります。例えば、以前の部署で経験した仕事の全体像や、当時作った資料が、今の部署での新たな業務に思いがけない形で活かされていることに気づくことがあります。
様々な部署を経験する中で点と点がつながっていく実感があり、それがこの仕事の面白さです。
「おめでとう」から始まった育休。温かい職場と、これから働く方へのメッセージ
ー職場の雰囲気について、これまでの経験と比べてどのように感じていますか。
植田:銀行はお金を扱う仕事なので、当たり前ですが常に緊張した雰囲気でどうしても気を使う場面が多かったのですが、市役所は相談しやすい上司が多く、風通しが良いと感じています。
10月採用の同期は3人ですが、同じ4月に入った職員とも交流があり、職員組合のバレー部や青年部の活動を通じて、部署を超えた繋がりもできています。

ーこれまでに2度、産休・育休を取得されたと伺いました。取得する際、職場の反応はいかがでしたか。
植田:2回とも、それぞれ違う課長だったんですけど、報告した時に、まず最初の言葉が「おめでとう」だったんです。それは正直、驚きでもありました。「え、取るの?」みたいな雰囲気は全くなくて、嬉しかったですね。
育休に入る際の引き継ぎについても、「心配しないでいいよ」と、全面的にバックアップしてもらいました。
ー普段の休みの取りやすさや、残業の状況についても教えてください。
植田:担当制なので、休みは自分で調整すれば取りやすい環境です。夏季休暇は6月から9月末までの5日間で、毎年しっかり消化させてもらっています。子どもの体調不良などで使える看護休暇もあり、子ども1人につき年5日、2人なら10日まで利用できます。
残業は部署や時期によって差がありますが、まちづくり推進課ではイベント前に多少ありましたし、地域創生課の頃は忙しい時期が続くこともありましたが、休みを取りながらバランスよく働けています。
ー最後に、宍粟市役所を目指す方へメッセージをお願いします。
植田:宍粟市は、職員も市民の方も、困っていたら声をかけてくれる温かい方が多いです。育休中に出会ったママさんや、色々と話を聞いてくれるお知り合いの方もいて、そういう温かさに触れてきました。
今はそうして出会ってきた身近な人たちの生活に、何か役立てたらいいなと思っています。
ー本日はありがとうございました。
宍粟市役所で8年目を迎える植田さんは、ふるさと納税や国勢調査、地域おこし協力隊の運営サポート、そして現在の議会事務局まで、幅広い部署を経験してきました。
異動のたびに新しい知識を積み重ね、以前の経験が今の仕事につながっていく感覚を楽しんでいる様子が印象的でした。
2度の産休・育休を「おめでとう」の言葉で送り出してくれた職場の温かさも、きっと宍粟市役所らしい魅力のひとつなのでしょう。
取材・文:パブリックコネクト編集部(2026年8月取材)
この記事の官公庁・自治体
宍粟市は、兵庫県中西部に位置し、面積の約9割を森林が占め、「しそう森林王国」と呼ばれる豊かな自然にあふれています。また、「播磨国風土記」の一節により日本酒発祥の地と言われ、“発酵のふるさと”として自然の恵みを古来から受け継ぎ、育まれてきたまちです。
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