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【観光からつながるシティプロモーション】観光のその先へ、まちの価値を高める職員たち
【観光からつながるシティプロモーション】観光のその先へ、まちの価値を高める職員たち
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2026/06/08
地域を元気にする仕事として、まず思い浮かぶのは「観光」かもしれません。外から多くの人を呼び込み、街を賑やかにすること。地域活性化の大切な第一歩であり、経済を動かす大きな原動力になります。
そんな観光を「入り口」にしながら、その先を見据え、自治体の現場で挑戦を続ける職員たちがいます。観光をきっかけに街のファンを増やし、住む人も含めて地域全体の価値を高めていく。それこそが、観光からつながる「シティプロモーション」の役割です。
今回は、観光という資源を活かしながら、街の未来を切り拓く4つの自治体の職員たちの声をお届けします。彼らがどんな想いで街や仕事に向き合い、やりがいを感じているのか。地方で働くこと、街をプロモーションすることの面白さがここにあります。

「今まで空き家だった場所に明かりが灯り、観光客と地元の方が談笑している光景を見たときは、これまでの苦労が吹き飛ぶ想いでした」 (平戸市役所 小川さん)
平戸市の小川さんが取り組んだのは、商店街全体を一つのホテルと見なす「アルベルゴ・ディフーゾタウン」の推進です。過疎化による空き家課題を観光の力で解決し、一過性で終わらない滞在型・関係人口の創出へ向けた「攻め」の施策を展開しています。
過疎化による商店街の空き家増加という課題に対し、商店街全体を一つの宿泊施設と見なす「アルベルゴ・ディフーゾ(分散したホテル)」に着手。空き家を「フロント」や「客室」に再生し、商店街を「廊下」に見立てて街全体に泊まる体験をデザインしました。平戸市は自治体として世界で初めてイタリアの本部から認定を獲得。
最初は戸惑う住民も多かったため、何度もワークショップを重ねて「民間事業者が主役になる」コンセプトを丁寧に説明し、協力を広げていきました。
現在は宿泊施設3棟、飲食店3店舗が稼働し、令和8年度にも新施設がオープン予定です。さらに平戸観光をアップデートするため、世界中を旅しながら働く「デジタルノマド」の誘致にも注力。
「一過性の観光」からインバウンドも含めた「滞在型・関係人口の創出」へ大きく舵を切っています。また、高速道路の開通を機に近隣自治体と連携し、自分たちのまちだけでなく「エリア全体」という広い視野での広域観光プロジェクトも実施しています。
平戸はイベントが非常に多く、準備から運営まで土日に現場へ出ることも珍しくありません。「定時で帰れる公務員」のイメージとは異なり、体力勝負な面も多々あります。
しかし、今まで空き家だった場所に明かりが灯り、観光客と地元の方が談笑している光景を見る瞬間や、まちが一番盛り上がる中心で汗をかける充実感は、観光課ならではの大きな醍醐味です。
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「観光の担当だからといって観光振興だけを見ていればいいわけではなく、市民の方々の生活もしっかり見なければなりません」 (宮古島市役所 譜久島さん)
宮古島市の譜久島さんが取り組んだのは、下地島空港-羽田空港間の路線枠の維持や「宮古島観光デジタルマップ」の作成、そして「宿泊税」の導入です。市民と観光客の双方がWIN-WINになれる持続可能な仕組みづくりに挑戦しています。
入庁1年目に下地島空港の「羽田発着枠政策コンテスト」を担当。島全体を盛り上げるため関係各所と何度も議論を重ねて提案書をまとめ、国土交通省へプレゼンに挑みました。無事に枠を獲得し、直行便が飛び、多くの人が訪れる光景に行政の仕事の喜びを実感しています。
民間企業から転職した譜久島さんは、税金を使う重みを常に意識し「本当に市民のためになるか」を自問自答しています。
「単なる観光案内だけでなく、宮古島が抱える課題を解決したい」そんなマインドから、企業版ふるさと納税を活用し「宮古島観光デジタルマップ」を作成。
観光客が万が一の時に避難できるよう多言語の防災機能を盛り込みました。さらに大型イベント施設「JTAドーム宮古島」の360度ビュー機能を付け、島外の主催者が遠隔で会場設営のシミュレーションをできるようにしました。
現在取り組んでいる「宿泊税」の導入は、観光客増加による環境やインフラへの負荷を、観光客にも一部負担してもらう持続可能な仕組み(条例)づくりです。
「観光の担当だからといって観光振興だけを見ていればいいわけではなく、市民の方々の生活もしっかり見なければなりません。観光客と市民、双方がWIN-WINになれるバランスをどこに落とし込むのか、その調整にはいつも頭を悩ませています」
民間と行政、双方の合意が必要な高いハードルを一つひとつ乗り越えていく粘り強さの中に、行政職ならではの魅力を感じながら進めています。
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「島原市民にとってはありふれた何気ない風景でも、東京の方から見ると素晴らしい風景に映る。私たちも魅力を再発見させてもらっています」 (島原市役所 佐藤さん)
島原市の佐藤さんが取り組んだのは、映画やテレビのロケ地を観光資源として活用する「ロケツーリズム」の仕組みづくりです。作品の誘致だけでなく、放送後の名産品販売やふるさと納税まで見据えた「稼ぐ仕組み」を構築しました。
従来の受け身の姿勢を捨て、ロケ地になりそうな場所を選定。あえて一般の観光客向けではなく、映像制作のプロに深く刺さる「しまばらロケーションガイド」を制作しました。
佐藤さんは年に5〜6回は東京へ赴き、制作者たちの意見を反映してガイドを常にバージョンアップさせています。毎年ロケハンツアーも実施し、制作者に島原市の街並みを見てもらっています。
市長に同行して年2回参加するマッチング会では、映画の誘致にも成功。また、作品の大小を問わずきめ細やかにサポートすることで業界内の口コミを広げています。
さらに、番組の企画書段階からふるさと納税の返礼品や特産品が取り上げられるように「逆提案」し、放送後に名産品が売れる仕組みまで作り上げています。
ロケで島原市が取り上げられたことにより、毎年10億円から20億円ほどの広告換算効果があると分析していると、佐藤さんは語ります。メディア露出は場所の賑わいやふるさと納税の申込数増加へ直結しています。
「ロケツーリズム班の働きによって、メディアで取り上げられた物が注目されたり、場所が賑わうのが嬉しいです。島原市民や地元企業がうるおってこそですから」
取り組みを広報紙で紹介するうちに、市民から「最近テレビに島原が出ることが多いよね」と言われることも増え、成果が伝わっている喜びを実感しています。
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「私自身、以前はうきは市を説明するのに『久留米市の隣です』って言っていたんです。でも今は、市民の皆様が自信をもって『うきは市出身だ』と言えるようになってきている」 (うきは市役所 手島さん)
うきは市の手島さんが取り組んだのは、「フルーツ王国うきは」としての地域ブランディングと対外的なシティプロモーションです。知名度向上に向けた施策を通じて、市民が街に誇りを持てる状態にすることを目指して走り続けてきました。
うきは市の「うきはブランド推進課」は4つの係で、地域の資源を活かして街の魅力を高める仕事をしています。ブランド戦略係が担当する対外的なプロモーションでは、知名度向上だけでなく市民の誇りを醸成することを目指しており、手島さん自身も以前は出身地を「久留米市の隣です」と説明していた当事者でした。
梨が41種類、ブドウが58種類、柿が19種類といったように、1年中果物が豊富に収穫できる強みを活かし「フルーツ王国うきは」としてのPRをマスコミ等で展開。週ごとに異なる品種が店頭に並ぶ様子は県内外で大きな話題を呼びました。
さらに、フランスのワイン産地(ボルドー、アルザス)と似た特徴的な環境を「うきはテロワール」と名付けて新たなPRも開始しました。現在は道の駅うきはの改修や関西圏へのPRも計画中です。
このような取り組みによりコロナ禍でも多くの観光客が訪れ、カフェやスイーツ店が急増。全国唯一の「水道代タダのまち」という暮らしの豊かさや、新しく10軒ほどの宿泊施設がオープンしたことで宿泊施設の少なさといった課題も解消されつつあります。
「市民の皆様が自信をもってうきは市出身だと言えるようになってきていると実感していまして、それが私はとても嬉しいです。この部署ができて約10年の一番の成果だなって思っています」
地道な発信の結果、街の名前が広く知られ、手島さんは市民が手に入れた「自信」の中に大きなやりがいを感じています。
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4つの自治体のアプローチはそれぞれ異なりますが、挑戦を続ける職員たちの視線の先には、常に「ここに暮らす人たちの暮らし」があります。
観光客を呼び込んで終わりではなく、そのエネルギーを街の未来や市民の幸せに還元していく。それこそが、観光からはじまるシティプロモーションの本質であり、行政で働く面白さの一つです。
時には地道な調整の積み重ねや体力勝負な一面もありますが、自分が仕掛けたプロジェクトによって、市民が「この街が好きだ」と胸を張れるようになる喜びは、何物にも代えがたいものがあります。
自分のアイデアと熱量で、大好きな街の未来をカタチにしていく。そんな温かくてクリエイティブなフィールドが、自治体の現場に広がっています。




